使用する水を変えると、コーヒーの味に変化はあるのか その1

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  •  コーヒーの抽出
  •  水とコーヒーと味わい

水出しコーヒー

いつかやろうと思っていてずっと先延ばしにしていたテーマですが、そろそろ水出しコーヒーの季節も過ぎようとしているのでやろうと思います。

はじめに

水出しコーヒーの味の検証は浸け置きとか氷出し(水出しってことで)とか過去に試していましたが、どれも浄水器を通した水道水で行っていて、水の種類を複数用意してその違いを比較するという事はしていませんでした。

最近、ふとしたきっかけで水の種類とコーヒーの味わいの比較をしたくなり、近くのスーパーの飲料コーナーを見てみると幾つかの種類の水が鎮座していたので、そこから3種類ほどピックアップして購入し、それぞれの水を使用して抽出した珈琲の味わいを比較することにしました。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:ケニア カングヌ
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):1
  • ドリッパー:青芳製作所 カフェテリアドリッパー
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • 使用した水:水道水(浄水)、いろはす、エビアン、コントレックス
  • 水の量:360cc

コーヒーの抽出方法の決定

最初に問題だったのが、ホットコーヒーを抽出するか、冷たいコーヒーを抽出するか、という点です。ホットコーヒーを抽出するデメリットとしては、お湯を沸かさなければならないので、水の量がある程度必要、少なくとも胃の中に収まる量以上はなければならないという点です。水道水なら蛇口を捻れば出てきますが、ミネラルウォーターはお店でしか買えないですし、お金もかかるので、なるべく無駄には使いたくはないので、考えた結果、今回は水出しコーヒーで比較することにしました。

次に、水出しでも、点滴での抽出と、浸け置き(浸漬法)での抽出がありますが、複数の水を比較するにあたって水以外の差異はなるべく無くしておきたいので、容器とコーヒー粉があれば抽出可能な浸漬法でのコーヒー抽出を行うことにしました。点滴だと、同時に抽出を開始するために複数の点滴用器具を用意しなければならないので、コスト面で断念しました。

水出しコーヒーの抽出

方法が決まったら、コーヒーを抽出します。細引きにした20gのコーヒー豆を瓶容器に入れて、360ccの水を注ぎます。分量については、水以外の条件が揃えば良いと考えたので今回は適当です。水を加えたらよくかき混ぜて、蓋をして冷蔵庫へ。9時間ほどで取り出して、ドリッパーで濾過します。

浸漬法水出しコーヒー

以前の浸け置きでの抽出を行った際には、ペーパーフィルターで濾過したら目詰まりして結構時間がかかった記憶があるので、今回は金属フィルターのドリッパーを使用して濾過してみることにしました。が、結局こちらでも意外と時間がかかってしまいました。

濾過後の水出しコーヒー

濾過後。おおよそ300cc程度のコーヒーが抽出できました。

水出しコーヒーを飲む

ボトルコーヒー

飲みます。4つコップを用意するのが面倒だったので、ストローを瓶に挿して直接頂きます。

今回使用した水は、瓶が並んでいる画像の左から、浄水器を通した水道水、いろはす、コントレックス、エビアンです。今回の水出しコーヒーの比較のポイントとして、水の硬度に注目しているので、硬水から軟水までバラバラになるように用意してみました。ですが、どの水がどの程度の硬度だったかはあえて記憶しないであやふやにしておいて、先入観を減らします。答え合わせは飲んだ後に。

まずは水道水で抽出した水出しコーヒーから。飲むと、意外と薄い。コーヒー粉の量が足りなかったかも。苦味と酸味がバランス良く、程々に感じられます。次に、いろはす。こちらは全体的な味わいとして水道水より薄く感じられます。苦味も酸味もあり。次はコントレックスを飲みます。口に含むと、びっくりするくらい苦い。同じコーヒー豆で抽出したとは思えないレベル。そして酸味は感じられない。最後にエビアン。こちらも水道水といろはすに比較してかなり苦く感じられましたが、コントレックス程ではありません。こちらも、酸味はあまり感じられませんでした。

一通り飲んだので、ここで硬度の答え合わせ。

  • 水道水:およそ50mg/L(全国平均値)
  • いろはす:36.1mg/L
  • コントレックス:1468mg/L
  • エビアン:304mg/L

調べて見ると、WHOの基準では120mg/L以下が軟水、それ以上は硬水と区分けされるようなので、水道水といろはすは軟水、コントレックスとエビアンは硬水に分類されます。それで、硬度とは水の中に含まれているカルシウムとマグネシウムの含有量の事らしいです。ミネラルってやつですかね。硬度の計算式もちゃんと規定のものがあるようですが、水の話はこの辺で。

水の違いによる水出しコーヒーの色の違い

せっかくなので色も見てみます。色はエビアンが一番濃い気がしますね。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 硬度の高い水を使用して水出しコーヒーを抽出すると、苦味が強くなる

考察など

結果を書いた後にふと、もしかして水自体が苦いからコーヒーが苦く感じたのでは?と思ったのでコントレックスをそのまま飲んでみましたが、苦くはありませんでした。しかし、非常に飲みづらい。飲み込むときにつっかえる感じがしました。

さて、今回は明確に味わいに差が出たので楽しかったです。コントレックスの群を抜いた苦さは凄まじい。グッと苦い水出しコーヒーを飲むなら、超硬水をおすすめしたいと思います。ただ、そのかわりに酸味はあまり感じられませんでした。水道水で抽出したコーヒーの味わい的に、もともと薄めだったせいもあるかもしれませんが。また、同じくエビアンもコントレックスほどではなくとも、際立った苦味を感じられました。こちらは硬度的にコントレックスが1468mg/、エビアンが304Lmg/Lと5倍近い差がついているのですが、苦味自体はそれほどの開きを感じられませんでした。そうなると、苦味が濃く抽出される要因は硬度ではないのかもしれません。もしくは、一定以上の硬度になるとその何らかの要因は飽和してしまう、とか。含有するミネラルの比率とか。突き詰めて考えようとするとなかなか難しいですね。

もう少し単純にして、硬水という括りで考えてみます。ミネラルの含有量が少ないのが軟水、多いのが硬水とするならば、コントレックスやエビアンに浸かっていたコーヒー粉は多くのミネラルと接触していた事になります。つまり単純に考えれば、ミネラルがコーヒーの苦味をグッと引き出した要因というわけですね。で、ミネラルが多いほど苦くなる。でも、その分酸味は感じられにくくなる。それで、ミネラルの含有量の多い水でもそのままでは苦いわけではない、という点も踏まえると、コーヒーの成分とミネラルがくっつく事で、苦味が際立ち、逆に酸味は引き出されなくなる、もしくは、ミネラルによって短時間でより多くのコーヒー成分を引き出すことができる、という可能性が挙げられます。ただ問題なのは、それは果たしてコーヒーの本来のものが抽出されたのか、それともコーヒーとミネラルがくっつく事で生まれた何かなのか。まあ、コーヒーと水は切っても切れないものですので、その辺りを争点にするのはナンセンスでしょうか。

この観点については、もっと長時間、コーヒーの抽出が飽和するくらい水につけておいて、その時の軟水と硬水の味わいを比較して、同じぐらいの濃さであるならば、ミネラルはコーヒーの抽出を促進?する効果があるという可能性が高い事がわかりますし、そうでないのなら、ミネラルとコーヒーのあわせ技でガッツリとした苦味が生まれた、という可能性が高くなるでしょう。まだ水は余っているので、次回はこの点について検証してみましょうか。

と、嬉しくなって硬水のことばかりについて触れてしまいましたが、逆に軟水はミネラルが少ないことによって味が薄かった分、酸味はほんのりと感じることができました。これだけ見ると、ミネラルは酸味の抽出を阻害する可能性も考えられます。もしくは、ミネラルとくっついてどっかに行ってしまったとか。色々考えてもいまいちピンとくる答えにたどり着けませんが、これまでの検証で、酸味は苦味よりも溶け出しやすいのではないか、という可能性について示唆してきたので、前述のどちらでもなく、単純に苦味にマスクされてしまって酸味が感じられにくくなっただけかもしれません。

ちょっと気になるのは、コントレックスをそのまま飲んだときに感じた飲みづらさが、コーヒーのときでは感じなかった事です。これについては、ストローでちびちび飲んだせいかもしれないので、次はそこもちゃんと確認しておきたいと思います。あと、色味が硬度が高いほど濃い、というわけではない感じなのも気になるところです。

さいごに

硬水は日本人が普段飲まないので、お腹がゆるくなる場合があると聞いた事がありますが、早速そんな感じになってきました。ミネラル強い。これはやはり、味についてもミネラル特有の効果説が有力でしょうか。

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