使用する水を変えると、コーヒーの味に変化はあるのか その3

  •  
  •  
  •  コーヒーの抽出
  •  水とコーヒーと味わい

コーヒープルーフ

このテーマについては一段落したことにしようと思いましたが、たまたま手元に酸味の強いコーヒー豆があったので、ダメ押しでもう一度検証してみたいと思います。

はじめに

前々回前回と水の違いと味の違いを比較して、硬水で水出しコーヒーを抽出すると何故かグンと苦くなる事がわかっていますが、それでは酸味しか無いようなコーヒー豆を使用しても同じような結果になるのか、というのを今回試して行きたいと思います。

前回の考察では、硬水はカフェインだけ溶け出しているため苦いのではないか、と書きました。今回、本当に酸味しか無いようなコーヒー豆を使用しても、同じように硬水で抽出した水出しコーヒーが苦くなるという結果になるのならば、その可能性もまた増すのかなと考えています。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:コスタリカ グアカ農園
  • 焙煎度:ミディアムローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):1
  • ドリッパー:青芳製作所 カフェテリアドリッパー
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • 使用した水:水道水(浄水)、コントレックス
  • 水の量:180cc

水出しコーヒーの抽出

今回使用するコーヒー豆は酸味系で、しかも浅煎り。コーヒー豆を購入するときに酸味の美味しいものをと聞いたらこの豆を推され、良かれと思って浅煎りにしてもらいましたが、普通にホットコーヒーで抽出すると酸味ばかりで正直美味しくない。いや、コーヒー豆は良いものなのですが、酸味が特徴だから浅煎りにすれば良い、ということではないようです。勉強になりました。

ちょっと話がそれました。つまり、もう酸味オブ酸味なわけです。苦くなるはずがない。これを硬水に投入して苦くなるのか、試してやろうという算段です。前回までは4週類の水で試していましたが、今回は主に硬水の分析が主なので水道水とコントレックスの2つで試します。20gのコーヒー豆を挽いて、180ccの水を入れます。とここで、ちょっと気になる現象が。

沈殿するコーヒーと分離するコーヒー

水を入れた直後の瓶。色が薄いほうが硬水、コントレックスを注いだものです。今までもこうだったかは見ていなかったのでなんとも言えませんが、これは気になります。ただ、水を注ぐ勢いを変えたつもりはありませんが、水道水のほうが勢い良く水が注がれただけかもしれません。

水出しコーヒーを飲む

軟水と硬水の水出しコーヒー

今回も長めに、27時間水に浸して抽出しました。左が水道水、右がコントレックス。まず、水道水の方を飲みます。浅く煎られたコーヒーの香りと、酸味が口の中に広がります。苦味は全くと行って良いほど感じられません。

次に硬水、コントレックスで抽出したものです。グラスを顔に近づけたとき、水道水で抽出したものよりも香りはせず、口に含むと、酸味はなく、苦味が感じられます。これまでの検証のものよりは、浅煎りのせいか苦味は控えめですが、水道水で抽出したものとは全くの別物と言って良い味わいです。そしてやはり、前々回、前回のコントレックスで抽出したコーヒーと似通った味でした。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 硬度の高い水を使用して水出しコーヒーを抽出すると、カフェインのみが抽出される可能性がある
  • 水出しコーヒーを抽出するなら軟水を使用する方が良い

考察など

ここまで来ると、まず硬水で水出しコーヒーを抽出してもコーヒーの持ち味は活かせないといって間違いないでしょう。使用するなら軟水ですね。そして、今回の酸味ばかりのコーヒー豆を持ってしても苦いコーヒーとなった事を考慮すると、やはりコーヒーの味わいというのでしょうか、大切な成分が抽出できていないことも考えられます。

そうなると、やはり前回の考察に書いたように、硬水はミネラルが溶け込んでいるためあまりコーヒー成分が溶け出す隙間がなく、コーヒーのカフェインのみが溶け出した事で苦くなってしまうのでしょうか。と、ここで自分で言った事を否定するようなってしまうのですが、もしコーヒー成分が溶け出さないけれどカフェインが溶け出す、つまりカフェインが先行して溶け出すなら軟水のコーヒーもカフェインが溶け出していて、同じくらい苦くなって良いはずなんですよね。そうなると考えられる可能性が2つくらいまた出てきて、1つは硬水に含まれるミネラルがコーヒーに含まれる何らかの成分によって変質すること、もう1つはカフェインとミネラル&コーヒー成分は”別枠”である、ということです。

前者については、ミネラルと繋がる何らかのコーヒー成分は、カフェインなどのコーヒーに共通する成分でしょう。これは3回の検証において硬水で抽出したコーヒーの味わいが似通っていることから、自然とその可能性が強いと思います。まあカフェイン以外はよく知らないのですが。後者は、要するにカフェイン、もといコーヒー豆に共通する成分は溶け出せるけど、その他のコーヒー豆独特の味わい・旨味成分はダメ、と言うことです。これについてはデカフェの方法の一つである水を使用したカフェイン抽出方法からこういう可能性もあると考えていて、確か水を用いたデカフェではカフェイン以外のコーヒーの成分が飽和状態まで溶けこんだ水にコーヒー生豆を浸すことでコーヒー豆からカフェインのみを抽出する、という原理でデカフェを行っていると聞いたことがあるので、ここで言うコーヒー成分が硬水中に溶けているミネラルに置き換えられるのであれば十分通用する考えかと思います。

2つの可能性のうち、現時点で現実味が強いのは後者のカフェインは別枠で、カフェインのみが溶け出すことで苦くなるという考えでしょうか。コーヒーの持ち味が抽出されない=ミネラルで飽和状態になっているから、苦い=カフェインが溶け出しているから、コーヒー豆にかかわらず同じような味=カフェインはコーヒー豆の種類にかかわらず含まれているから。ただ、そうすると軟水の方は何故苦くないのか、という点については解決できていないんですよね。苦しいですが、カフェインは本来苦味を感じるほどのものではなく、コーヒー成分が溶け出すとマスクされてしまっていて目立たないけれど、でもコーヒー成分が無いと目立つ・・・・。うーん、通らないですね。これは。

さいごに

結局決め手には欠けてしまいましたが、酸味の有無に関係なく硬水は無慈悲であるということはわかりました。また、違う検証の題材も思いついたし、水出しコーヒーは軟水で抽出するべきだと改めて確信したので、収穫はありました。

コメントを残す


CAPTCHA