使用する水を変えると、コーヒーの味に変化はあるのか その2

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  •  コーヒーの抽出
  •  水とコーヒーと味わい

コーヒーは水溶性

前回湧いた疑問について解消していきます。

はじめに

1回目の検証では、硬水で水出しコーヒーを作るとすごく苦くなる、といった結果を書きました。これについて、硬水はコーヒーの成分の抽出を促進する効果があるのか、もしくは水によって味が変化したのか、という切り分けを今回は行えればなと思います。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:コロンビア ナリーニョ スプレモ
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):1
  • ドリッパー:青芳製作所 カフェテリアドリッパー
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • 使用した水:水道水(浄水)、いろはす、エビアン、コントレックス
  • 水の量:180cc

水出しコーヒーの抽出

今回は、前回とほぼ一緒の構成で行いますが、豆の種類と水の量、抽出時間を変更です。まず、水は前回は細引きのコーヒー豆20gに対して360ccとしましたが、水道水といいろはす、軟水に分類される水で抽出したものは味が薄かったので、今回は水の量を半分の180ccとしました。また、抽出時間は、硬水のコーヒー成分の抽出速度の上昇効果の有無を調べるためにより長く、丸1日、24時間以上の抽出することにしました。ただ、24時間でコーヒーの成分が水に溶け出仕切るかどうかは分からないので大体の時間設定ですが・・・。ちなみに、検証開始時点で25時間ほどです。

これらをステンレスフィルターのドリッパーで濾して、コーヒーを抽出します。

水出しコーヒー

濾過した後。やっぱり量は大分少ない。

水出しコーヒーを飲む

今回も便に直接ストローをさして賞味。先に軟水組から。水道水で抽出したものは、苦味と酸味バランス良い感じ。味が薄いということもなく、いろんなものがしっかり感じられます。次にいろはす。こちらも薄くはありませんが、水道水で抽出したものと比べて苦味が若干感じにくく、酸味は感じやすい。また、香りが豊かというか広がる感じがします。

次に硬水に分類されるコントレックスとエビアンで抽出したコーヒーを飲みます。コントレックスで抽出したものは、飲むと、軟水で抽出したものの上を行く苦さ。軟水で抽出した水出しコーヒーが薄かったということはないのですが、こちらは更にその上。最初にほんのり酸味が舌の上に感じられるかなーというくらいで、殆どが苦味に支配されています。また、なんだか香りがないというか広がらないというか。風味に欠ける気がします。最後にエビアン。こちらもやっぱり苦味優先ですが、酸味はコントレックスよりも感じられます。また、香りもこっちのほうがまだ感じます。

硬水で抽出したコーヒーを飲んだ後に再度軟水で抽出したコーヒーを飲むと、やっぱり別物、酸味もしっかり感じられます。

一応、前回の検証でも書いた、今回使用した水の硬度の一覧も書いておきます。

  • 水道水:およそ50mg/L(全国平均値)
  • いろはす:36.1mg/L
  • コントレックス:1468mg/L
  • エビアン:304mg/L

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 硬度の高い水を使用して水出しコーヒーを抽出すると、苦味が強くなり、コーヒーの持ち味が抽出されない可能性がある

考察など

今回の検証で、硬水を使用した水出しコーヒーの抽出において、コーヒーの成分が抽出されるのが早くなるのではなく、硬水独自の成分によってコーヒーの味わいが変化するということはほぼ確実といっていいと思います。「ほぼ」、なのは、今回の25時間の抽出において、コーヒーの成分がどのコーヒーにでも抽出し切られた、という事を証明することができないためです。例えば極端な話、1年間水につけたら同じ味わいになる可能性がないわけでもありませんからね。まあ、これについては少なくとも一般の人間において計測は不可能な項目だと思われますので、言及するだけ無駄なのでしょうが。

それはさておき、そうなると、今回注目すべきは酸味についてでしょう。前回は味が薄かったためor酸味の少ないコーヒーだったため分かりませんでしたが、今回使用したコーヒーについては軟水で抽出したものは確実に酸味を感じられました。しかし、硬水で抽出したもの、特にコントレックスで抽出したものはそれをほとんど感じることができませんでした。考えられる原因としては、一つは苦味が強すぎてわからなかった、一つは酸味の抽出がされなかった、といったところでしょうか。前者については、ちょっと考えにくい気がしています。ホットコーヒーの場合、冷めたときに酸味が感じやすくなりますが、そうならば冷たい水出しコーヒーは酸味を感じやすくても良いはずですし、コーヒーとは違いますが、料理でお酢を使用したとき、周りの味がどうであれお酢の味は感じられます。お酢と一緒にして良いかは分かりませんが、酸味という観点で見るならば、前述のことから苦味によって酸味がわからなくなった説は弱いかと考えます。

そうなるとやはり、硬水の成分によって酸味が抽出されにくくなった、もしくは、コーヒーの成分自体が大きく変質してしまったとかでしょうか。今回の検証で気づいたのですが、コーヒー豆を変えてもコントレックスで抽出したコーヒーの苦味は前回のものと同じ印象を受けました。その観点から、硬水を使用する事でコーヒー成分自体が大きく影響を受けてしまう、もしくは、コーヒーの成分によって硬水に多量に含まれるミネラルに何らかの影響があり、水自体の味が強くなってしまうか、という考えに至りました。後者はつまり、言うなれば「水出しコーヒーを飲もうとしていたら、アレンジした硬水を飲んでいた」といった感じです。

ここまで書いてふと、ある可能性に思い至りました。というのも軟水と硬水がミネラルの含有量の違いだと言うなら、ミネラルの少ない軟水のほうがコーヒー成分が溶け出す隙間が多く、硬水はミネラルが既に多量に溶け込んでいるせいで、コーヒーの成分が溶け出す隙間があまりないのではないか、ということです。軟水が隙間が多いというのはあくまで予想ですが、それならば、少し上に書いた、硬水主体の、コーヒー成分の影響を受けたミネラルウォーターを飲んでいる、といった表現もあながち間違っていないのではないかと思います。そして、コントレックスで抽出した水出しコーヒーの味の似通った味わいになる点についても、その可能性を示唆しているかと考えます。

前述のことが正しいとした場合、水側はミネラルが原因と考えられますが、コーヒー側は何が原因でそのような効果を生むのでしょうか。酸味のあるコーヒーも、ないコーヒーも、共通するのはカフェインでしょうか。その他の成分ももちろんあるのでしょうが、そこまでは調べきれません。今、カフェインについて軽く調べてみましたが、カフェイン自体は「苦い」そうです。カフェインは水溶性なようなので、カフェインがミネラルたっぷりの硬水中に溶け出して、苦味がマシマシ、でも水の中はそれでほとんど飽和状態、コーヒーの成分は溶け出しきれず、結果苦いだけの水の完成。なんていうのはどうでしょうか。

そうなると恐ろしいのが、硬水で出したコーヒーは言うなればカフェイン水ということになります。ただ、香りもいまいち、酸味もいまいちとなる結果を見てみると、あながち間違っていないかも・・・。そして逆に軟水を使えば、ミネラルが少ない=水中に溶けている成分が少ないことで、より水の中にコーヒーの成分が溶けだして美味しいコーヒーが楽しめる。なんだかそれなりにきれいにまとまった気がするぞ。

さいごに

想像含め色々書きました。真偽の程はここでは分かりませんが、実際の味の感じ方など含めた上で、あながち外れてないんじゃないかなとは思っています。少なくとも、軟水を浸かったほうがコーヒーの個性を感じ取れるのは間違いないはず。当初の予定よりワクワクというか、楽しめたので今回の検証はそれだけでも十分収穫でした。

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