沸騰させていないお湯でコーヒーをドリップすると、どんな味になる?

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水を2回沸騰させるとよろしくない、という話があるようですが、お湯を沸騰させない場合と沸騰させた場合を比較すると、そこに違いはあるのでしょうか(コーヒー的な意味で)。

水を沸騰させないでコーヒーを淹れると?

水を2回沸騰させると化学変化で毒性になる、みたいな話を最近耳にしました。その話自体は信憑性が無いのでどうでも良いのですが、ふと、沸騰させたお湯と沸騰させていないお湯の違いってあるのかな?という疑問が湧きました。沸騰だけにね。

例えば、私はいつも88℃のお湯を使用してコーヒーをドリップするのですが、一度沸騰させた後に88℃まで温度を下げたお湯を使用しています。そうではなくて、沸騰させていない88℃のお湯を使用してコーヒーをドリップした場合、沸騰させた同じ温度のお湯を使用したそれと味に違いはあるのか、ということです。

同じ88℃のお湯でも、沸点にタッチしたかどうか、経緯が違えば表情も変わるかもしれません。今回はそれを確かめてみたいと思います。

コーヒーを淹れる条件

今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。

  • 使用したコーヒー豆:マヌコーヒー クジラブレンド
  • 焙煎度:シティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約87℃
  • 蒸らし時間:20秒
  • 抽出量:130ml

コーヒーを淹れる準備

コーヒーを淹れる準備をします。今回は、福岡出張時に購入したマヌコーヒーのクジラブレンドを使用して、沸騰させたお湯と、沸騰させていないお湯の2パターンでコーヒーをドリップしていきます。

ガラスのカップに入ったコーヒー豆

今回使用するマヌコーヒーのクジラブレンド。酸味が強めのコーヒーです。

もう一つ、今回のキーとなる水。とは言っても、なんてことはない、水道直結型のカートリッジ式浄水器を通した普通の水道水(浄水)を使用します。

コップに入った水

いつもコーヒーをド淹れるときに使用している浄水。コップをちゃんとキレイにしてから写真撮ればよかったと思っています(後悔)。

あとはコーヒー豆を挽いて、やかんに水をたっぷりと入れて火にかけて、ドリップに備えます。

沸騰させた/させないお湯でコーヒーを淹れて飲む

水を火にかけた後が、今回の検証で一番重要なポイントです。まずは沸騰させていないお湯でコーヒーを淹れるために、温度計でお湯の温度を測りながら火にかけていきます。

温度計が差し込まれたやかん

沸騰しないように注意しながらお湯を沸かします。85℃くらいでも、やかんの底にはフツフツと気泡が見え始めていました。

コーヒーのドリップ時にお湯の温度が88℃になるようにするためには、コーヒーポットに注いだとき、お湯の温度が下がることを考慮しなければいけません。そのため、88℃よりも少し高い、91℃くらいまで温度を上げた後、火から下ろしてコーヒーポットに注ぎます。同時に温度計もコーヒーポットに差し直して温度を計測。すると、88℃よりも少し低い87℃くらいになりました。目標値から少し反れましたが、2杯目の温度をこちらに合わせる事にして、そのままコーヒーのドリップを開始。130mlのコーヒーをドリップしたら、すぐ2杯目の準備をします。

2杯目は、1杯目を淹れている間にボッコンボッコンに沸いていたお湯を使用します。およそ3分くらい沸騰していたでしょうか。お湯をコーヒーポットに移して温度計を差し込み、温度が87℃になったらコーヒーのドリップ。淹れ終わったらカップに注いで飲み比べます。

まずは、沸騰させたお湯を冷ましてドリップしたコーヒー。一口飲むと、強い酸味が来て、程よい苦味も感じます。飲み込むと酸味がスッといなくなりますが、後に苦味の余韻が残ります。なかなかパンチのあるコーヒーです。

そして2杯目、今回のメイン、沸騰させていないお湯でドリップしたコーヒーを飲みます。飲むと、味の全体像は変わらずといった印象。ただ、輪郭がボケている感じがします。メリハリが無いと言うか、キリッとしていないというか。もたつく感じです。また、沸騰させたお湯では、飲み込んだあとに残る”コーヒー感”みたいなのがしっかりあるのですが、こちらはそれが無い気がします。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • コーヒーのドリップに使用するお湯は、一度沸騰させたほうが良いかもしれない

考察・感想

所感としては、コーヒーを淹れる場合、お湯は一度沸騰させたほうが美味しいコーヒーになると思いました。ただ、自分もまだまだドリップの腕は一流とは言えないと思うので、ほんのちょっとだけ、そういった技量による味の差異という可能性も含めて結論としようかと思います。

言い切る自信がない理由としては、沸騰させる・させないで今回感じた差が生まれる理屈が思い浮かばないというのもあります。通常、コーヒーをドリップする時にお湯を沸騰させる主な理由は、カルキ抜き(塩素抜き)であって、沸騰させると化学変化が起こって美味しくなるから、とかいう理由では無いかと思います。今回、浄水器を通した水道水(浄水)を使用しましたが、使用している浄水器のメーカーページに行って除去できる物質の項目を見てみたら、残留塩素と記載がありました。全部除去できるのかどうかは分かりませんが、仮に全て除去できているとする場合、水を出した時点で塩素は除去されているので、沸騰させるメリットが無いわけです。

そうなると、味に違いがでるのは塩素とは別の要因があるわけですが、それがお湯のせいなのか、自分のドリップの腕のせいなのか、検討つかないわけです。最近は連チャンでドリップしても味のブレは無いと感じていますが、お湯の違いで味の違いが出る理由も分からないので、消去法でそれを疑うしかないのです・・・。

ただ、単純に扱いやすさという観点では、やっぱりお湯は一度沸騰させたほうが良いと思います。やかんからコーヒーポットにお湯を移したときの温度の低下など、温度調整のことを考えると、ピッタリ合わせようとするよりも、高いところから下げていくほうが簡単ですからね。

さいごに

やってみたは良いですが、イマイチ理屈がわからず曖昧な締めになってしまいました。これについてはぜひ個々人に自宅で試してみて頂いて、その差を実感してみてもらうのが良いかと思います。

4 件のコメント
    • サバビー
    • (2020-10-19 14:07)

    今コーヒーを淹れていて、ふとこの疑問が湧いたので(沸騰だけに)調べたらこちらに辿り着きました。まさに知りたかったことが丁寧に検証されていてとてもスッキリしました。これからは堂々と一度沸騰させたお湯でコーヒーを淹れます。
    ありがとうございました!

      • nifunifu
      • から サバビーさんへの返信 
      • (2020-10-20 23:07)

      コメントありがとうございます!
      稚拙な内容ですが、お役に立てたのであれば何よりです。

    • お豆
    • (2021-06-19 10:00)

    興味深い実験ありがとうございます。
    一杯のコーヒーをいかに美味しくするかを考えてるので参考になりました。
    お湯が沸騰させたものとさせてないお湯の違いは、お湯の中に含まれる空気の量です。
    沸騰させたものは空気の量が比較的少なく、沸騰させてないものは空気の量が比較的多いです。
    これが、ドリップするときに何らかの影響を与えているかも知れません。
    ちなみに紅茶は沸騰直前の99℃のお湯を注ぐと空気が多いので、茶葉がポットの中で回りやすく美味しくできるようです。

      • nifunifu
      • から お豆さんへの返信 
      • (2021-06-19 17:39)

      コメントありがとうございます!
      空気の量、という着眼点はなかったので、非常に参考になります。

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