特別な道具は不要。氷で冷たい水出しコーヒーを抽出する

冷たいコーヒーの美味しさの定義

冷たいコーヒーという事で、パッと思いついたのが”水出しコーヒー”でした。水出しでも種類が分かれて、コーヒーの粉を水に浸して抽出するタイプと、ゆっくり点滴で水を落としてコーヒーを抽出するタイプとあると思いますが、今回は点滴でコーヒーを抽出する方法で水出しコーヒーを淹れてみたいと思います。

今後は数回にかけて”冷たくて美味しいコーヒー”について検証を行っていく予定ですが、基準をぶれないようにするために、初めにその美味しさについて定義しておきたいと思います。定義としては、ホットで抽出した時により近い良さが感じられることとします。

いろいろ考えましたが、分かりやすく以上の一点を基準としました。”より近い”としたのは、流石にアイスでホットと同じ味わいを出すのは無理ではないかと思ったためです。また、”良さ”はコーヒー豆の持つ苦みや香り、酸味などの個性的な部分が感じられるかどうか、という意味です。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

• 使用したコーヒー豆：アンデスマウンテン
• 焙煎度：シティローストぐらい
• コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ)：4
• ドリッパー：メリタ 1×2(陶器)
• サーバー：ハリオ ドリップポッドウッドネック
• フィルター：ハリオ V60用ペーパーフィルター01（白）
• 秤：ハリオ ドリップスケール
• 豆の使用量：20g

水出しコーヒーの抽出方法

水出しコーヒーというと、コーヒー専門店に置いてある木とガラスでできたレトロチックで大きな水出しコーヒー用の器具が必要なのでは？と思う方もいると思いますが、自宅にそんなものは置いていないので、手元にあるもので代用します。

コーヒーを淹れる人なら自宅にあるものでしょう。ガラスの容器はハリオのネルドリップ用のサーバーです。無くても普通のコーヒーサーバーで代用できますが、その分ドリッパーが追加で一つ必要になります。

使い方としては、まずハリオのネルドリップ用のサーバーに、ハリオのV60ドリッパー用のフィルターを入れます。そこに挽いたコーヒー豆を入れたら、サーバーの上にメリタの一つ穴ドリッパーをのせて、そこに氷を敷き詰めて準備完了です。

あとは氷が解けて、自然に流れ落ちてくるのをひたすら待ちます。

ホットコーヒーを飲みつつ、水出しコーヒーが溜まるのを待つこと2時間20分。ようやく120cc程度のコーヒーを抽出できました。

溶けた氷からできた水出しコーヒー。

2時間も待った水出しコーヒーはさぞかし美味しいのだろうと一口。すると、まず味が薄い。色味も薄く、カップの底が透けて見える。今回使用した豆は、ホットで抽出すると酸味も感じられるものでしたが、それもほとんど感じられません。ただ、口当たりはまろやかな気がしました。

考察など

総評すると、氷を利用した水出しコーヒーは失敗でした。ホットで良いと感じた部分が、この水出しコーヒーでは感じられませんでした。よくよく考えると、アイスコーヒー用の豆というと深煎りが基本なので、そもそもシティロースト程度の豆を使用したのが敗因かもしれません。しかしそうなると、冷たいコーヒーにおいて酸味をホットコーヒーと同じように抽出することはできないのでは？とも考えてしまいます。

味が薄かった原因はおそらく、点滴の速度でしょう。氷が溶けて水滴になる速度にまかせて抽出しましたが、その速度が早すぎたのです。本来の点滴式の水出しコーヒーであれば、水を滴下するコックの開き具合を調整して点滴の速度を調整し、一晩ほど時間をかけてコーヒーを抽出することを考えると、2時間での抽出が早すぎるというのは明らかでしょう。

そうなると、氷を溶かして水出しコーヒーを作る場合、氷の溶ける速度を遅くする必要があります。今回は室温で放置しましたが、これを冷蔵庫に入れて抽出するようにすれば、氷が溶ける時間が遅くなってしっかりと味のある水出しコーヒーを抽出できるかもしれません。時間のコントロールは氷の溶ける速度任せになってしまうのであまり融通は効かないですが、特別な道具が必要ないというアドバンテージはあるので、今回は失敗しましたが、手法を突き詰めればこれはこれで有用でしょう。

さいごに

良いと感じた点も挙げましたが、かかった時間と内容を考えると、最悪の滑り出しとなりました。ただ、改善すべき点なども見えた部分があるので、まったく無意味じゃなかっただけ良しとしたいと思います。ただ、今回うっかり、複数の挽き具合で試すのを忘れてしまっていました。次回はどのような方法で冷たいコーヒーを出すかはまだ未定ですが、複数の比較をちゃんと取るようにしたいと思います。