抽出に使用するドリッパーによる、コーヒーの味の違い その6
- 抽出器具
- ドリッパーの種類による味の違い
ちょっと久しぶりにドリッパーの比較をしたいと思います。今回はロトドリッパーと、私界隈では新入りのエアロプレスの比較を行います。
はじめに
ドリッパーによる味の違い -5回目-を最後にこの検証はしていませんでしたが、最近エアロプレスを購入した事と、手持ちのコーヒー豆が同じ種類のものが2杯分しかなかったので(3杯分あったら別の検証をやるつもりでした)、ちょうど良いと思ってドリッパーの比較を行う事にしました。
今回はデファクトスタンダード、ロトドリッパー101とニューカマー、エアロプレスで同じ種類のコーヒーを抽出して、味の比較をします。最近この手の検証はしていないので、ほんのちょっと気合いが入りつつ、検証スタートです。
条件
今回の検証は以下の条件下で行いました。
- 使用したコーヒー豆:ブルンジ ブルボン
- 焙煎度:シティローストぐらい
- コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):1・4
- ドリッパー1:カリタ 101ロトブラウン(陶器)
- ドリッパー2:エアロビー エアロプレス
- フィルター:カリタ 珈琲屋さんのコーヒーフィルター102(白)
- 秤:ハリオ ドリップスケール
- 豆の使用量(ロト):20g
- お湯の温度:94℃
- 抽出量:120cc
コーヒーを抽出する
先にロトでコーヒーを抽出します。ナイスカットミルのメモリは4を使用。前回の検証時に101用のフィルターを切らしていたのを忘れていてそのままだったので、今回もロト101に102のフィルターを使用しました。来週までには買っておこう。
ロトでコーヒーを入れ終えたら、続いてエアロプレスでコーヒーを入れます。ナイスカットミルのメモリは1を使用します。エアロプレスのレビュー記事の後に、ちょっと調べてみたら、どうやら「インバート法」なる入れ方があり、今回はそちらを試すことにしました。エアロプレスの公式な入れ方としては、フィルターを筒にセットしたらそこにコーヒー粉を入れて、カップに乗せてお湯を注いでかき混ぜて押し出す方の筒を押し込む、という順序ですが、これだとお湯を注いだ時点で少しずつカップにコーヒーが落ちてしまいます。インバート法はコーヒー粉を入れる筒に、押し出す方の筒をセットしたら逆さにして、そこにコーヒー粉を入れてお湯を入れ、かき混ぜたらフィルターをつけてひっくりかえしてカップに注ぐ、というものです。こうすることで、お湯を注いだりかき混ぜている間にお湯が外に漏れることもなく、より濃いコーヒーを抽出できるらしいです。公式がそれを望んでいるかはわかりませんが。イメージが湧かない人は検索してみてください。
ちょっと長くなりましたが、2つのコーヒーが出揃ったら、飲み比べます。
飲み比べ
まずロトで抽出したものを飲みます。ガツンとみかn、じゃなくて酸味がきます。かなり強めです。飲み込むと甘みが感じられ、そのあとにほどよい苦味がきます。全て飲みこみ終えると、多量の唾液の分泌を感じました。香りは、例えがちょっとわからないかも。酸味が強いので果物系かな?と一瞬感じましたが、なんか違うような。
入れた直後の写真です。後に掲載するエアロプレスの写真と比較用に。
つぎにインバート法でいれたエアロプレスの方を飲みます。エアロプレスの方が短時間で入れられるので、湯気もたくさん出ていました。あと、一応130cc程度の量を測って注いだのですが、ちょっと量が少なかったのは反省。飲んでみると、味は、濃い、いや薄い?凝縮された感じがしますが、酸味はロトで入れたものよりも感じず、全体的にまとまった印象。まとまった、というのは、なんというか最初の一撃に全てを込めてる感じ、と言えば良いのでしょうか、だいぶ後が引かない味わいになっています。味わいが劇的に変わったという感じではありません。ロトで入れたコーヒーが「線」だとしたら、インバート法のエアロプレスで入れたコーヒーは「点」といった感じ?でしょうか。
湯気がたくさん出ています。油のようなものも見えますが、一応フィルター通ってるはずなんだよなあ。
今回の結果
今回の結果をまとめると、以下のようになります。
- カリタのロトドリッパーとエアロビーのエアロプレスで同じ豆で入れたコーヒーを比較すると、エアロプレスで入れたコーヒーはロトで入れたコーヒーを凝縮したような味わいになる。
考察など
味の方向性は変わらず、しかし確実に印象は違いました。エアロプレスの方式的には、圧をかけてコーヒーを抽出するというエスプレッソに似た特徴もあってか、ロトドリッパーで入れたコーヒーよりも密度が高く感じられたのでしょうか。一番気になった点としては、今回使用したコーヒー豆はかなり酸味が強いものだったのですが、それがロトドリッパーで入れたものに比べて、エアロプレスで入れたものはかなり弱く感じたという点です。飲み比べの部分でそれぞれのコーヒーの味の印象を「線」と「点」と表現しましたが、これの言わんとするところは持続時間の話で、ロトドリッパーで入れたコーヒーは、口に含んで酸味を感じたら、しばらくそれが続く感じでしたが、エアロプレスで入れたコーヒーは、最初の酸味の感じ具合は似ていても、すぐどこかに消えてしまいました。これは果たして酸味が弱くなったというべきか、わかりませんが、仮にそうだとした場合、パッと思いつくところで2つの理由が考えられます。
1つは、圧力の問題。こちらはロトドリッパーにはない部分で、ようは絞りあげられる形でコーヒーが入れられる訳ですが、このとき、理由は不明ですが、圧力がかかっているせいで酸味の成分が上手く抽出されない、という考えです。書いておいてなんですが、普通に考えたら、圧力が高ければそれだけ成分がにじみ出ると思うので、この線はないと考えています。しかし、圧力がかかる事で成分がより抽出されるなら、もっと酸味が強いはず、というジレンマもあります。そこで、もう一つ思い浮かぶ原因に焦点を当ててみます。
もう一つの問題が、お湯に触れている時間の問題。エアロプレスは全体で1分もお湯に浸かっている時間はありません。ですので、それだけお湯にコーヒーの成分が溶け出す時間も短いわけで、それをカバーしているのが圧力、なんじゃないかなという考えです。つまり、圧力でロトドリッパーなどのハンドドリップで入れるコーヒーよりも多くの成分を抽出できるけど、そのぶんお湯に浸かっている時間は少ないから、その点でハンドドリップに負けている部分もあって、結果的に全体的にハンドドリップより濃いわけではなく、かつ違った味わいに感じるのではないか、という事です。
そう考えると、酸味が多く抽出されるためには、どれだけ力が加わるかというよりも、どれだけ長い時間お湯に触れているか、という事なのかもしれません。うーん、これとおんなじ事、もしくは真逆なことを他の検証でも書いたかも。
また、エアロプレスが全体的にまとまった印象を受けたのは、圧力のおかげかもしれません。コーヒー全体の、表面的な成分を効率良くかつ平均的に抽出するという点では、エアロプレスは優れているのかもしれません。
さいごに
今日はコーヒーを飲んでいる途中から何時間も歯の神経の痛みが続いていて、若干駆け足気味に書いてしまいました。
せっかくの美味しいコーヒーも、歯のコンディションが悪ければ楽しめません。体のメンテナンスも大切にしましょう。・・・って、なんだかコーヒーと関係ない感じになってしまいましたが、治らない歯痛を感じながら、つくづくそう思います。