抽出に使用するドリッパーによる、コーヒーの味の違い その3
- 抽出器具
- ドリッパーの種類による味の違い
ドリッパーの違いによる味の違いの検証3回目です。今回は前回に引き続き登場のカリタのロトドリッパーと、初登場(かもしれない)の金属フィルターのドリッパーを比較します。
はじめに
第2回目のカリタとハリオのドリッパーの比較では、はっきりと違いを感じることが出来ました。今回はペーパーフィルターと金属フィルターの比較という事で、前回よりも更に違いが生まれるに違いありません。
今回使用するドリッパーは、いつものカリタの3つ穴ドリッパーのロトと、恐らく初登場の青芳製作所のカフェテリアドリッパーです。なお、今回はカフェテリアドリッパーは小さいので、カリタのロトも小さいものを使用しました。
条件
今回の検証は以下の条件下で行いました。
- 使用したコーヒー豆:モカマタリ
- 焙煎度:フルシティローストぐらい
- コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
- ドリッパー1:カリタ 101ロトブラウン(陶器)
- ドリッパー2:青芳製作所 カフェテリアドリッパー(ステンレス)
- フィルター:カリタ 珈琲屋さんのコーヒーフィルター101(白)
- 秤:ハリオ ドリップスケール
- 豆の使用量:20g
- お湯の温度:96℃
- 抽出量:120cc
カフェテリアドリッパーについて
簡単にカフェテリアドリッパーの紹介をしておきたいと思います。カフェテリアドリッパーは2層になっていて、内側の金色のフィルター部分と、それを入れる外側のステンレス部分の2つに分かれています。外側のステンレス部分の底面には小さな穴が10個開いており、フィルター部分から落ちてきた抽出液はそこを通ってサーバーへ落ちていきます。
金色のフィルターの上に挽いたコーヒー粉を投入します。
フィルターを外すと、底面に穴が開いているのがわかります。ちなみに一番下の皿はただの保管用?の受け皿です。
コーヒーの抽出
コーヒーを抽出します。ロトでいつも通りに先に抽出し、後からカフェテリアドリッパーで抽出します。久しぶりに使いましたが、穴の大きさのせいか、ロトよりも抽出液が落ちるのが遅く、お湯が結構長くドリッパー上にとどまっていました。他には、ペーパードリップではない分、端っこにお湯がかかるのを気にしなくてよいという利点があったり、また、条件を合わせるために中挽きで挽きましたが、抽出したコーヒーにほんの少し粉が混じっている程度で、粗挽きではなくても利用できる事が分かりました。
いろいろ発見がありつつも2つのコーヒーの抽出が終わり、飲み比べです。
飲み比べ
まずロトで抽出したものから。どっしりと苦く、チョコ系の香り、ほんの少し舌に酸味のようなものを感じましたが、苦味が全体を支配していました。購入した豆屋さんが深入りにする傾向があるので苦いのかな?もう少し華やかさがあっても良い気がしました。
次に肝心なカフェテリアドリッパー、金属フィルターで入れたものを飲む。と、飲む前に、金属フィルターで抽出すると油が一緒に抽出されてどうたら、というのをよく耳にするので、コーヒーの表面をチェックします。
コーヒーの表面が細かくキラキラしています。これが油でしょうか。正直どう見てもホコリにしか見えませんが、ホコリじゃありません。
こっちはロトで入れたもの。金属フィルターで入れたものとは違い、キラキラ光るものはありません。
チェックが済んだので、改めて飲みます。飲み口はまったりとしたというか、丸い感じがしました。味は、ロトで入れたものよりも薄い、というべきか、柔らかくなったというべきか。交互に飲むと、ロトで入れたほうはガッツリと苦味が襲い掛かってくるのに対し、カフェテリアドリッパーで入れたものはそういう尖った部分がなく優しい感じ。ただ、薄いという感覚とは少し違いました。
今回の結果
今回の結果をまとめると、以下のようになります。
- カリタのロトドリッパーと青芳製作所のカフェテリアドリッパーで同じ豆で入れたコーヒーを比較すると、カリタのロトドリッパーでは尖った味わいに、カフェテリアドリッパーでは丸い味わいになる
考察など
ペーパーフィルターと金属フィルター、普通に考えれば金属フィルターはペーパーに吸収されるものが無い分、相対的に濃く感じても良いと思うのですが、そうはなりませんでした。更に、穴の数はカフェテリアドリッパーのほうが多いのですが、総合的な穴の大きさを考慮すると、カフェテリアドリッパーのほうがお湯が落ちる速度は遅いはずで、実際にお湯が長くドリッパーにとどまっていることを体感もしていました。つまりカフェテリアドリッパーのほうがお湯がコーヒー粉に長く浸っていたのですが、この2つの要因を以てしても濃さという部分でロトに軍配が上がりました。そうなると、ロトのほうが濃く抽出されたのは他の部分に要因があるという事になりますが、思いつくところだとドリッパーの形と、ペーパーに吸収されない部分の差です。
ドリッパーの形ですが、ロトは底面の穴に向かって側面が斜めになっていて溝がありますが、カフェテリアドリッパーは円柱型で、溝などはありません。形の差に注目してみると、円柱型のカフェテリアドリッパーにコーヒー粉を入れたときと、ロトに粉を入れた時、それぞれを比較するとロトは斜めになっている分、お湯が抜ける穴までの高さを稼ぐことが出来ると思います(写真撮っとけばよかった)。つまり、お湯が落下している最中に接触するコーヒー粉の体積は、ロトのほうが大きくなり、それがコーヒーの濃さを生み出したのだと考えます。対してカフェテリアドリッパーは、お湯がコーヒー粉に接触した体積は少なく、濃く抽出されなかったのかもしれません。一言でいうと、抽出効率がロトのほうが良いと考えられる、といったところでしょうか。
ペーパーに吸収されない部分の差については、ペーパーがない分、油のように多くの物が抽出されたはずですが、それらが苦味の部分をかき消したとは考えにくいと思うので、何故ロトのほうが苦かったのか、という点に関しては関係はないと考えています。しかし、カフェテリアドリッパーの味わいはロトが薄くなったというよりは、方向性が違うといった印象を受けたので、油などのペーパーが無いことによって、味が丸く感じられたなどの影響を与えたのは間違いないでしょう。
まとめると、カフェテリアドリッパーで入れたものはロトで入れたものよりも苦味が抑えられ、その分ロトにはない味わいを感じられる、といったところでしょうか。
さいごに
今回の記事の検証結果の部分を書いている最中に、前回の検証結果がざっくりとしすぎていたと少し反省。
さて、ドリッパー比較も3回目まで来ましたが、手持ちのドリッパーも残りわずかなので、とりあえず手元にある分を全パターンとはいきませんが、ざっくり比較するまでこのまま連載で行きたいと思います。意外と違いがあることに今更気づかされたので、自分自身、今後の比較が楽しみです。