抽出に使用するドリッパーによる、コーヒーの味の違い その5

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  •  抽出器具
  •  ドリッパーの種類による味の違い

フレンチプレス編

ドリッパーの比較も連載5回目となりました。今回は常連のロトドリッパーと、それとは大きく性質の異なる、フレンチプレスとの比較を行います。

はじめに

バナーっぽくしようと思ったけどデザインセンスが無いので微妙な感じになったサムネでお送りします。

今回で一旦、ドリッパーの比較は終わりとなります。これまではすべてハンドドリップ同士の比較でしたが、今回はフレンチプレスとの比較となります。とりあえずの最後の相手としては、まあ良いかなと思います。

使用するのは、ボダムのフレンチプレス。ボダムからは形の違うフレンチプレスがたくさん出ていますが、正直形以外は一緒だと思うので、フレンチプレスとだけしておきましょう。対するロトドリッパーは、とりあえず1~2人用の101を使用しました。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:ブラジルサントスNo2
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4・6
  • ドリッパー1:カリタ 101ロトブラウン(陶器)
  • ドリッパー2:ボダム フレンチプレス
  • フィルター:カリタ 珈琲屋さんのコーヒーフィルター101(白)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量(ロト):20g
  • 豆の使用量(フレンチプレス):15g
  • お湯の温度:96℃
  • 抽出量(ロト):120cc
  • 抽出量(フレンチプレス):約300cc

コーヒーの抽出

先にロトでコーヒーを抽出、次にフレンチプレスで入れます。まず、空の器具にお湯を注いで保温し、豆15gをナイスカットミルの6のメモリで挽きます(ロトは4で挽いています)。保温のお湯を捨てて豆を入れ、豆が浸るぐらいまでゆっくりお湯を注いだら、30秒程度蒸らす。その後、ゆっくり全体に満遍なくお湯を注いで、容器全体の8割程度でストップ、蓋をして4分経ったらプレスを下げて抽出完了です。フレンチプレスはあまり使わないので、入れ方はまだまだ試行錯誤中です。

飲み比べ

まずロトで抽出したものから。飲むと、経験が浅いゆえか、例えが見つからない独特の良い香りが広がり、舌全体に薄っすらと酸味のようなものを感じました。メインはキレの良い苦味、と言うのでしょうか、苦味が口全体に広がりつつも飲み込むとスッと消えていく感じ。”キレ”とか”コク”というのがどういうものか良く分かりませんでしたが、今ならわかるような気がします。

今回は見た目も結構違ったので写真も貼っておきます。

ロトで入れたコーヒー

次にフレンチプレス。飲むと、「!?」となりました。なぜかというと、ロトで入れたものが濃すぎたせいか、まったく味を感じなかったからです。急遽水を飲み、口をリセットしましたが、それでもイマイチ。仕方ないのでちょっと時間をおいて、再度飲む。「コーヒー」というよりも茶、「ティー」といった味わい。苦味はほぼ感じず、しかしただ薄いといった感じでもなく、落ち着いた香りと、まろやかな飲み口。ハンドドリップとは違った楽しみ方ができて、これはこれでアリです。

そしてフレンチプレスで入れたほうを飲み終え、ロトで入れたほうを飲むと、ガツンと殴られたようなパンチ力の違い。まったく別物です。

フレンチプレスで入れたものの写真はこちら。茶色く、油がぎっしり出ています。

フレンチプレスで入れたコーヒー

並べるとこんな感じ。違いは一目瞭然です。

ロトとフレンチプレスは全然違う

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • カリタのロトドリッパーとボダムのフレンチプレスで同じ豆で入れたコーヒーを比較すると、ロトは「コーヒー」、ボダムは「ティー」といった印象になる

考察など

ここまで書いておいて何ですが、あまり正確な検証ではなかったなと反省しています。というのも、普段から一般的なコーヒーよりも大分濃く抽出しているのに、フレンチプレスはよくある一般的な分量で抽出してしまったからです。でもやってしまったものは仕方がないので、それを踏まえつつ書いていきます。

まず見た目的な違いですが、ロトは色が黒く油は浮いていないのに対し、フレンチプレスは茶色く油が大量に浮いていました。茶色いのは恐らく、コーヒーの微粉が液体中に含まれているからで、油は焙煎後1週間でたっぷり出てきたものがそのまま抽出されたのでしょう。見た目についてはこれぐらいで。

味の違いについては、まったく性質の異なる抽出方法のため大きく異なるのは普通ですが、最初に書いた抽出量の差異を考慮しても、フレンチプレスは漬け置いた分もっと苦くても良いのでは?感じました。これについては、豆の粗さの違いが考えられます。フレンチプレスの性質上、豆は粗挽きを使用するので、挽かれたコーヒー豆がお湯に接する面積は小さくなり、苦味が溶け出しにくかったのでしょう。しかし、フレンチプレスはその分長くお湯に接しているので、その時間分苦味がでても良いはずです。それを考慮すると、苦味は最初にコーヒー豆に触れた時のお湯の温度にも依存すると考えます。ロトもフレンチプレスも、注ぎ始めのお湯の温度は一緒のため、苦味の溶け出しやすさは一緒、しかし、フレンチプレスは漬け置いている間、温度は下がり続けるため、苦味は段々溶け出さなくなっていき、それに粗挽きという条件が加わり、結果的にロトに苦味が劣る結果になったと考えれば、なんとなく納得できる・・・かな?一言でいうと、苦味を決めるのは、高温でいかに細かく挽かれたコーヒー豆に触れたか、なんじゃないかなってことです。(前にも同じ事書いたような・・・)。それでもって触れている時間の長さは関係ないってことで。

また、決定的な違いである油、これの役割はあんまりわかりませんでしたが、フレンチプレスで入れたものは飲み口がまろやかに感じましたし、ロトで入れた時とはまた違った香りを感じたので、このあたりに関係あるのかなと考えています。しかし、新鮮な豆だったから良いのですが、油がフレンチプレスの味の決め手になっているとしたら、古い豆で入れたら油も出てこないでしょうから、不味いコーヒーが抽出される恐れもありそうですね。

さいごに

とりあえずの区切りとなる検証でしたが、締まりのないちょっと微妙な検証になってしまいました。まとめると、ガツンとコーヒーを楽しみたい人はペーパードリップ、優雅にゆったり楽しみたい人はフレンチプレスといったところでしょうか。手持ちのドリッパーが増えたらまたやりたいと思いますが、次回の初めはもう一度フレンチプレスからやるかもしれません。また、ロトとばっかり比べていたので、時間があればロト以外同士で比較したいですね。

さて、ドリッパー比較に胡坐をかいていたのでネタがありませんが、来週はどうしようかなあ。

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