抽出に使用するドリッパーによる、コーヒーの味の違い その2

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  •  抽出器具
  •  ドリッパーの種類による味の違い

カリタとハリオ

先々週からの2回目、ドリッパーの違いによる味の違いについて検証します。今回はカリタの三つ穴ドリッパーのロトとハリオのV60ドリッパーを比較します。

はじめに

第一回目の1つ穴、2つ穴、3つ穴ドリッパーの比較では、正直大した差を感じませんでしたが、今回は前回よりも性質の異なるドリッパー同士を比較するので、何かしら明らかな違いを感じ取れるはずです。今回の比較に使用するハリオのV60ドリッパーは大きな1つ穴と螺旋状の溝が特徴的ですが、これが果たしてどのような違いを生み出してくれるのでしょうか。

なお今回は、V60ドリッパーが2~4人用の大きなものしか持っていなかったので、カリタのロトドリッパーもそれに合わせて大きいサイズを使用しました。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:マンデリントバコ
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー1:カリタ 102ロトブラウン(陶器)
  • ドリッパー2:ハリオ V60 02ドリッパー(セラミック)
  • フィルター1:カリタ 珈琲屋さんのコーヒーフィルター102(白)
  • フィルター2:ハリオ V60用ペーパーフィルター 02
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:96℃
  • 抽出量:120cc

コーヒーを抽出する

まずカリタのほうから。最近コーヒーをドリップする頻度が落ちたので、元々下手なのが更に下手になっていないか若干心配でしたが、何とか普段通りにお湯を落とすことが出来ました。続いてハリオ、こちらのドリッパーは久しぶりに使う気がします。穴が大きいので、蒸らし時にカリタよりも早く滴下が始まると思いましたが意外とそうでもなく、同程度の湯量で滴下が始まりました。こちらも普段通りの入れ方で抽出完了。

飲み比べ

2つを抽出し終わったら早速飲み比べ。まずはカリタのロトで入れたコーヒーから。口に含むと、全体でグッと苦みを感じ、舌先にはさわやかな酸味を感じられました。スパイシーというか、フルーティーというか、そっち系の良い香り。マンデリンってこんな感じだったっけ?

次にハリオのV60で入れたコーヒーを飲む。最初はあんまり変わらないかも?と思いましたが、2、3口飲んでみると、苦味がカリタのロトで入れたもの程感じられず、代わりに酸味が強く感じられました。特に口に含んだ直後の印象が大分違く、カリタは苦みが強い印象で、ハリオは酸味が強い印象でした。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • ロトの3つ穴ドリッパーとV60ドリッパーで同じ豆のコーヒーを入れると、異なる味わいのコーヒーになる

考察など

カリタのロトは苦く、ハリオのV60は酸味が強く感じ取れたのは、ドリッパーの仕組みでそうなったのか、それともカリタで入れたものよりもハリオで入れたコーヒーでは苦味が抽出されなかったため、相対的に苦味を感じない分酸味を感じたのか。2つのドリッパーの穴に注目して考えるなら、カリタのほうが苦味が強く感じのたのは、お湯がハリオの物よりも長くコーヒー粉に浸っていたからで、対してハリオは、穴が大きい分カリタよりも素早くお湯が滴下されるため、お湯がコーヒー粉に浸っている時間が短くなり、苦味が抽出されなかったのだと考えています。そう考えると苦味の感じ方に差異があったのは納得ですが、相対的な感覚を除いて、酸味の成分はコーヒー粉にお湯が浸っていないほど抽出されることになります。しかし、コーヒーは豆の成分がお湯に溶けだすことでコーヒーになる、という事を考えると、長くお湯に浸っていた場合に酸味の成分の抽出量が減少する、つまりカリタで抽出したコーヒーがハリオで抽出したコーヒーよりも酸味成分が少なくなっているという事は考えにくいと思います。そう考えると、酸味成分というものは変質するものである、もしくは苦味の成分に上書きされるものである、という事が考えられると思います。成分が変質するというのは考えにくいので、苦味に酸味が負けてしまっているのでしょうが、これが真ならば、もう人間の舌の感じ方の問題になってきて、人によっては私が感じ取れなかった、カリタで抽出したコーヒーの苦味によって上書きされた酸味を感じ取れる人もいるのかもしれません。

思いついたことを片っ端から書きなぐりましたが、上に書いたことがすべて正しいとすれば、カリタが苦く、ハリオが酸味が強く感じられたのは、ハリオのドリッパーで入れたものがカリタの物に比べて薄く抽出されたから、という事になりますね。これを薄く抽出されて損と捉えるか、あっさり抽出できて違った味わいを楽しめると捉えるか、人それぞれでしょう。

さいごに

今回の検証は想像よりも違いを感じ取ることが出来て満足です。苦味党はカリタを、酸味党はハリオを、目を覚ましたいとき、リフレッシュしたいときetc・・・。日常のシーン毎やその日の気分によってドリッパーを使い分けるのも良いかもしれませんね。

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