ジャコウネコのフンから採れるコーヒー、コピルアクを飲む

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高級なコーヒー豆として有名な「コピルアク」を頂いたので、レビューしてみたいと思います。

はじめに

最近、普段お世話になっている方からジャコウネコのコーヒーでお馴染みのコピルアクを頂きました。なかなかの高級コーヒー豆を頂いて少しびっくりしましたが、自分では滅多に飲む機会のないコーヒー豆なので、とても嬉しかったです。

せっかくの良いコーヒー豆なので、ただ飲むだけでは勿体ありません。しっかりとファーストインプレッションをメモしておこうと思います。

コーヒーを淹れる条件

今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。

  • 使用したコーヒー豆:コピルアク
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約87℃
  • 蒸らし時間:20秒
  • 抽出量:130ml

ジャコウネココーヒー、「コピルアク」とは

せっかくなので、コピルアクについて少し調べてみました。ご存知の方は多いと思いますが、コピルアク(Kopi Luwak)とはジャコウネコのフンから採れるコーヒー豆のことです。ジャコウネコはイタチのような動物で、成熟したコーヒーの実を食す場合があるのですが、コーヒーの種子、つまりコーヒー豆を消化することが出来ません。すると、未消化のコーヒー豆がそのままの状態でフンとして排泄されます。これがコピルアクです。ちなみに、インドネシア語でコーヒーを表す「コピ」、ジャコウネコの呼び名である「ルアク」でコピルアクと呼ばれています。日本語で直訳するとジャコウネココーヒーですね。

ジャコウネコに摂取されたコーヒー豆は、腸内細菌などの働きによって、独特の香り、旨味を持つようになります。また、カフェインは通常の状態のコーヒー豆と比較して、半分に現象することが判明しています。

世界で最も高価なコーヒーとも言われており、貰い物なので値段は確認するか迷ったのですが、誘惑に勝てずチラリ。すると、100gで6000円ほどのようです。高級な茶葉などに比べたら安いのでしょうが、同じく高級コーヒー豆のゲイシャでも100gで3000円ほど、スペシャルティコーヒーでも100gで1000円もすれば十分高品質なのを考えると、確かに世界一高級なコーヒー豆かもしれません。ちなみに、喫茶店などで飲むと1杯で8000円ほどするお店もあるようです。まあ、なかなかコピルアクを提供するお店も無いかと思いますが、原価を考えると妥当な値段でしょう。

ジャコウネコのフンから採れるコーヒー豆ということで、ちょっと汚い感じの超高級コーヒー豆コピルアクですが、一体どんな味わいのコーヒーを淹れることが出来るのでしょうか。

コピルアクを眺めてみる

コーヒーを淹れて飲む前に、まずはコピルアクを開けて中身を見てみたいと思います。

コピルアクの箱

私が頂いたコピルアクは、このような外箱に入っています。「Koki's Kopi Luwak」がブランド名のようです。

瓶詰めのコピルアク

箱を開けると、同じ大きさの2つの瓶。片方にはロブスタ、もう片方にはアラビカと書かれています。アラビカ種とロブスタ種のコピルアクが50gずつ瓶詰めされているようです。どちらもフルシティロースト以上の深煎りで、コーヒーオイルが滲んでいます。

ロブスタ種のコピルアク

ロブスタの瓶を開けて、少しコーヒー豆を取り出してみます。香りは意外と普通のコーヒー豆と変わりなく、焙煎からそれから日も経っていないのか香ばしい焙煎した香りがします。なんというか、コピルアクはジャコウネコの”アレ”から採られているので、なんとなくそういった香り(ニオイ)を想像してしまうのですが、そんなことは無いようです。

アラビカ種のコピルアク

次にアラビカ種のコピルアク。こちらは、ロブスタよりも香りがライトな印象。コーヒーオイルも少ない。これはコーヒー豆の種類の影響なのか、焙煎の影響なのか。

一通り眺めて満足したら、コーヒーを淹れていきます。

コピルアクを飲む

ハンドドリップで、コピルアクを20g使用して130mlのコーヒーを、アラビカとロブスタそれぞれで淹れます。それぞれ50gずつ、合計100g分しかないので、いつもより気持ち慎重に、コーヒー豆の重さを量ります。きっちり20g測ったら、87℃のお湯で、まずはロブスタ種のコピルアクでコーヒーを淹れます。お湯を注ぐとほどよく膨らんで、鮮度は問題ない様子。蒸らしから淹れ終わりまで、2分程度で1杯のコーヒーを淹れ終わりました。すかさず、アラビカ種でも同様にコーヒーを淹れます。

2杯のコピルアクで淹れたコーヒー

コピルアクで淹れた2杯のコーヒー。早く飲みたいので、写真の撮り方は雑めです。

2杯のコーヒーをテーブルに並べたら、まず先に淹れたロブスタ種のコーヒーから飲みます。飲む前に香りを嗅ぐと、ビターな感じ。ロブスタ種のコーヒー豆は土臭く、味もかなり苦くて美味しくないのは以前ロブスタ種のコーヒーを飲んだときに経験したのですが、そのときのような土臭い感じはありません。一口飲むと、一瞬、ロブスタ種の土臭さの気配はありますが、それを通り過ぎて酸味のような、渋みのようなものが舌全体に広がり、徐々にフルーティ?というのかなんなのか、独特な味わいに変化し、飲み込むとしっかりとした苦味の後味が残ります。

かなり複雑で、一言では言い表しにくい味わいです。月並みの表現をするならば、他にない味わいというところでしょうか。ただ、土臭くて酸味なんて程遠いロブスタ種のコーヒー豆が、ジャコウネコに食べられてコピルアクとなることで、ここまで味に変化があるのだとすれば、これは非常にすごいと思います。奇跡的な味わいです。

次に、アラビカ種のコピルアクを飲んでみます。こちらの香りはロブスタ種のようなビターさはなく、甘めの香り。本来アラビカ種よりも味わいに劣るロブスタ種がまったく別物に思えるほどの変化を見せたので、アラビカ種のコピルアクはもっと素晴らしいはずです。

飲むと、意外なことにロブスタ種よりも苦味が強く、かつ酸味があまり感じられません。そして、ロブスタ種で感じた複雑な味わいが、こちらではあまり感じられない。正直なところ、割と普通の苦いコーヒーの味わいといった感じで、驚きがありません。ロブスタ種のほうが驚きもあり、美味くも感じました。瓶詰め間違ってないよね??

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • アラビカ種よりもロブスタ種のコピルアクのほうが美味しい
  • ロブスタ種のコピルアクは、どのコーヒーとも違う複雑な味わいを持ったコーヒーである

考察・感想

アラビカ種よりもロブスタ種のコーヒー豆のほうが美味しく感じるとは、意外でした。従来であれば、アラビカ種がロブスタ種のコーヒー豆に味わいで負けるはずが無いと思うのですが、コピルアクはそれを容易くひっくり返してくれました。これこそが、ジャコウネコがコーヒー豆を摂取することによって美味しくなる現象なのでしょうか。美味しくはないコーヒー豆を、ここまで複雑で他に無い味わいのコーヒー豆に変化させることが出来るのであれば、高級品となるのも納得です。

ロブスタ種と比較してしまうと、アラビカ種のコピルアクの味わいは正直残念だと思いました。アラビカ種のほうが美味しいという固定観念があり、期待値が高かったということもありますが、味は意外と普通で大人しめだったというのが一番のイマイチポイントです。ロブスタ種とおなじくらい、原型を留めないくらいブッ飛んだ味わいに変化してくれていれば最高でした。ただ、普通のその辺のコーヒー豆よりは確実に美味しいので、飲む価値は十分にあると感じました。

あと、少しもやもやするポイントがあるとすれば、ロブスタ種はともかく、アラビカ種はどんな種類のコーヒー豆を使用しているのかわからなかった事です。インドネシア産らしいので、マンデリンでしょうか。そこまで分かれば、ジャコウネコを介さない通常のそれとの味の比較を行うことができるのですが・・・。

何にせよ、他にはない味わいのコーヒーを堪能することができました。特にロブスタ種のコピルアクは、確実に他のコーヒー豆では体験することの出来ないコーヒー体験することが出来ます。ジャコウネコによってどのようにコーヒー豆の味に変化がもたらされているのかはわかりませんが、恐るべしジャコウネコ、です。

さいごに

貴重なコーヒーを飲むことが出来て満足しています。コピルアクを飲んだことがない方は、ぜひ一度、飲んでみることをおすすめします。採取先がジャコウネコのフンなので、なんとなく汚い感じで抵抗がある人もいるかもしれませんが、がそんなことはなく、良い意味で確実にこれまでにない味わいのコーヒーを体験することができるでしょう。

50gずつのコピルアクを今回だけでそれぞれ20gずつ使用したので、残りは30gずつしかありません。美味しいうちに飲みたいですが、貧乏性なのでなかなかタイミングが難しい。平日朝イチのコーヒーで、っていうのもなんだか贅沢ですが、休日の午後に丁寧に淹れて飲みたい気もします。なかなか悩ませてくれますが、残りもじっくり味わって飲みたいと思います。

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