1000杯以上ハンドドリップした素人的、自宅で美味しいコーヒーを飲む方法

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陶磁器のコーヒーカップ

自分のドリップスタイルを言語化する

これまでおよそ7年ほど、コーヒーを豆から挽いてハンドドリップして飲んできました。最初の数年は色々とドリップ方法について試行錯誤していましたが、最近はやり方が固定されてきていて、特に何か考えたり悩んだりすることもなくなってきたので、自分の中でドリップスタイルがほぼ決定されてきたのかなとも思います。

つまりはハンドドリップが日常動作に落とし込まれたわけですが、数年を経てたどり着いたスタイルであると考えると感覚的な部分だけで保持しているのはもったいない気がしたので、自分なりに美味しくコーヒーをドリップするための方法ということで言語化してみることにしました。

美味しさは人それぞれ

その前に、まず前提として、どうやってコーヒーをドリップしたら美味しいのか?というのは人それぞれです。ニュースアプリでたまにコーヒーの美味しいドリップ方法についての記事が流れてきたときに目を通すことがあるのですが、メディアや人によって何を良しとするかは結構バラバラだという印象があります。

これは思うに、結局コーヒーも食品なので、コーヒーを飲むために必要な一連の方法が変わることで人によって口に合う・合わないが出てくるということなのかと思います。私はパクチーが遺伝子レベルで嫌いですが、好きと言ってバクバク食べる人もいます。その感覚は私には到底理解することができませんが、大げさに言うとそういうことだと思っています。

自分にとって一番美味しいコーヒーというものは、誰かに教えてもらうものではなく、自分で探し当てるしかないと思います。まず、その点だけ先に書いておきます。

美味しいコーヒー豆を使う

元も子もない感じがしますが、美味しい(品質の良い)コーヒー豆を使わなければ、美味しいコーヒーをドリップすることはできません。厳密に言うと、コーヒーのドリップという行為はいかにコーヒーを不味くしないか、ということだと私は考えています。いくらドリップが完璧であっても、不味いコーヒー豆でドリップするコーヒーは不味いということです。

逆に美味しいコーヒー豆で適当にドリップすると、よほどでない限り不味くはなりませんが、もっと美味しくできる余地を残します。ただし、コーヒーが本来持つ美味しさ以上にはなりません。美味しいコーヒーのポテンシャルを数字で100としたとき、ハンドドリップ次第で100のコーヒーをドリップすることができるかもしれませんが、絶対に101にはなりませんし、不味いコーヒーのポテンシャルを50としたとき、どうあがいても50以上のコーヒーにはなりません。

なので、美味しいコーヒーを飲もうと思ったら、美味しいコーヒー豆を買う必要があります。では美味しいコーヒー豆はどうやって判断するのかというと、私は結構ざっくりしているのですが、販売されているコーヒー豆の国だけでなく、地区や農園名や精製方法が分かるか、100gあたりの値段が700円〜かどうかで判断しています。

これまでの経験則上、品質の良いスペシャルティコーヒーを販売しているお店の場合、大抵が前述の条件に則ります。そしてスペシャルティコーヒーは基本的に不味いということはありえないので、イコール、スペシャルティコーヒーを買えばコーヒー豆選びに関しては問題ないと思います。なお、浅煎りと深煎りのどちらが良いか、というのは個人の好み次第になります。

ゲイシャ コーヒー豆

美味しいコーヒー豆が大前提。

ちなみにコーヒー豆は焙煎日が分かるものが望ましいです。というのも、焙煎したてのコーヒー豆は焙煎したて独特の香りがするので、コーヒー独自の香りを楽しむのに邪魔になりがちだからです。焙煎したてのコーヒーが好きという人もいますが、私はそうは思いません。焙煎から2〜3日経過してからのほうが、そのコーヒー豆の香りを十分に楽しむことができると思います。

コーヒー豆は豆のまま冷凍保存

コーヒーは粉よりも豆のまま保存してドリップ前に挽いたほうが良いと言われます。理由は、その方が香りが良い状態のコーヒーを楽しめるから・・・という視点が多いと思いますが、少し角度を変えて別の見方をすると、粉で保存すると豆で保管する場合よりも外気を吸いやすいからです。

これは同じコーヒー豆を同じ条件で1〜2週間ほど、豆と粉でそれぞれ保管して飲み比べるとよく分かるのですが、粉の状態で保管すると豆で保管するよりも空間のニオイを吸いやすくなり、ドリップした時に豆のまま保管したコーヒーと比較して、明らかに変な香りのコーヒーになります。なので、コーヒー本来の美味しさを楽しみたいなら、豆で保管するほうが良いでしょう。ただ、数日程度で飲み終える量なら大して問題ないかもしれません。

コーヒー豆を保管する際の温度についても常温、冷蔵、冷凍の3パターンがありますが、私は冷凍をおすすめします。過去に比較検証した結果、冷凍保存が一番品質を長く保つことができたためです。ただし、冷凍庫は冷凍庫でニオイがあるので、コーヒー豆の保存は密閉容器などを利用する、という前提付きです。

冷凍で保存したコーヒー豆

冷凍保存がオススメ。

コーヒー粉の粒度を整える

美味しいコーヒーのポテンシャルを手軽に最大限発揮するための秘策があります。それは、コーヒー粉の粒度を整えることです。コーヒー豆をミルで挽いたとき、粉が完璧に同じ大きさになることはなく、必ず微粉が発生します。この微粉を取り除き、なるべくコーヒー粉の1粒1粒の大きさを揃えることで、香り高いクリアな味わいのコーヒーをドリップすることができるようになります。

やり方も簡単で、茶こし等の網目状の目の細かいメッシュを用意し、挽いたコーヒー粉をそこに入れてふるうだけです。ふるうことで、コーヒー粉中の微粉が落ち、粒の大きさが一定以上のもののみが残ったコーヒー粉になります。メッシュの目が粗いと3割程度は落ちるので少々もったいないですが、その分香り高く美味しいコーヒーをドリップすることが可能になります。

ただし注意点もあり、微粉が落ちることで粒の大きいコーヒー粉のみの状態となるので、お湯を注いだ際にお湯の抜け具合がかなり良くなります。粒度を整えない状態のコーヒー粉と同じ感覚でドリップすると、かなり薄いコーヒーになる場合があるので注意が必要です。また、ドリッパーによっては相性が悪い場合もあります。

微粉をふるい落とすということで自ずとロスが出るため、コーヒー1杯のコスパがかなり悪くなるので、毎日のように粒度を整えるのはオススメしません。特に美味しく飲みたいと思ったときだけにしておくのが良いと思います。

微粉の除去について、詳しくはこちらの記事に過去の検証を載せています。

ドリップ器具はお好みで

コーヒー豆の準備ができたらいよいよドリップですが、ドリップ器具については正解はないと思っていて、各々手に馴染んだものや気に入ったものを使用すれば良いと思います。私の場合、ドリップポットはユキワのM-5、サーバーはハリオの350mlのビーカー、ドリッパーは平日はV60ですが、週末はORIGAMIだったりcoresのドリッパーだったりします。

普段使うコーヒー器具

我が家の基本ドリップセット。

整理後のコーヒー器具

気分によってドリッパーは変えます。

最近は性能の良いコーヒーメーカーも発売されているようですので、それを使うのもありなんじゃないでしょうか。コーヒーは結局、各人の口に入ってどう感じるかですし、結構その日の気分みたいなのもあったりするので、絶対にコレ!というドリップ方法はないかなあと思います。強いて言うなら、V60などの大きな一つ穴のドリッパーでのペーパードリップが安定して美味しくコーヒーをドリップできるとは思っています。

また、コーヒーミルに関しては殆どの場合は手動よりも電動のミルのほうが精度高く挽くことができますし、単純に電動のほうが早く挽けるので自宅で長くコーヒーを楽しむ前提なら電動のコーヒーミルをオススメします。

ちなみにコーヒーミルについては、私はフジローヤルの”みるっこ”という電動ミルを使用していますが、とても早く挽けるので重宝しています。詳細はみるっこのレビュー記事をどうぞ。

お湯の温度を下げておく

コーヒーのドリップに使うお湯は、一度沸騰させて温度を下げてから使用します。温度が高いとコーヒーの余計な雑味の成分も出てしまうのか、荒々しい味のコーヒーになるためです。私の場合はだいたい88℃を基本のお湯の温度にしていて、これもやはり人によってどの温度が適切かは意見が分かれるところですが、少なくとも沸騰したてのお湯をオススメするメディア等は見たことがありません。

私はお湯を沸かすとき直接コーヒーポットでは沸かさず、やかんでお湯を沸かしてからコーヒーポットに移しているのですが、このときコーヒーポットから40〜50cmくらい高い位置からお湯を注ぐことで、素早くお湯の温度を下げるようにしています。季節にもよりますが、コーヒーポットにお湯を移してからコーヒー豆を挽いてお湯の温度を確かめると、だいたい90℃を切るくらいまで下がっています。

お湯の温度に関しては、冬場は温度の下がる速度がかなり速かったりするので、季節によって適宜調整する必要があります。正確さを求めたいなら、温度調整可能な電気のコーヒードリップケトルを使っても良いでしょう。

ドリップ前にちゃんと蒸らす

これもとても重要で、コーヒーをドリップする時に最初にちゃんと蒸らすか蒸らさないかでは、ドリップし終えたコーヒーの味は変わります。蒸らしていないコーヒーよりも、蒸らしたコーヒーのほうが確実に美味しくなります。

コーヒーの蒸らし

ちゃんと蒸らす。

原理は不明ですが、蒸らすことでコーヒーの成分がお湯に溶け出しやすくなるからだと思っています。最初の2〜30秒ほどで良いので、コーヒーのドリップの際はちゃんと蒸らしを行いましょう。ちなみに、蒸らしに使うお湯の量ですが、ドリッパーやお湯を注ぐ勢いにもよりますが、ゆっくりと満遍なく注ぐことを前提とした場合、だいたい使用するコーヒー豆の重さと同重量のお湯を注ぐと、流れ出すお湯の量を最小限に留めることができます。ただし、前述の方法でコーヒー粉の粒度を整えた場合、この量だとダラダラとお湯が流れ出していきます。

蒸らす時間やお湯の量を見極める上では、私はハリオの販売するコーヒースケールを使用しています。長いこと利用していますが、コーヒーのハンドドリップにおいてコーヒースケールがあると抽出量と時間が一目で確認できるので、もはや必須と言えるでしょう。

また、コーヒー豆を蒸らすのと同時にコーヒーカップやサーバーにもお湯を注いで保温しましょう。どちらも保温する理由として、ドリップしたコーヒーの温度がなるべく下がらないようにするため、というのもありますが、コーヒーカップについては温めておかないと口をつけた時にカップが冷たいので、温かいコーヒーとギャップが生まれてイマイチなためです。

まとめ

以上、素人的美味しい自宅コーヒーのドリップ方法でした。内容をまとめると、以下のようになります。

  • 農園名や精製方法が分かる、品質の良いコーヒー豆を購入する
  • コーヒー豆は豆のまま、密閉容器で冷凍保管する
  • コーヒー粉はふるいにかけ、粒度を均一にする
  • ドリップに使用する器具はお好みで
  • 沸騰したてのお湯は使わず、温度を下げて使用する
  • ちゃんと蒸らしてからドリップする

最低限これを守れば、自宅で美味しいコーヒーをドリップするうえで失敗はないと思っています。ただ、冒頭にも書きましたが、結局コーヒーは食品で好みは人によって様々です。ある程度セオリーは存在すると思いますが、最終的に一番美味しいと思えるものたどり着くには自分なりに色々試行錯誤していくしかないでしょう。

ただ、その試行錯誤に面白さを感じられると、今後のコーヒーのドリップもより一層楽しくなると思います。ぜひ自分だけの最高のコーヒーを探してみてください。

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