微粉を除去すれば、細挽きのコーヒー豆で淹れたコーヒーも美味しく飲める?

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私の勝手なイメージですが、細挽きのコーヒーは苦味が強く、香りを感じにくい気がします。しかし、そう感じるのは本当に細挽きであるからなのでしょうか。

細挽きのコーヒー粉で淹れたコーヒーの香りを引き出すには?

細挽きのコーヒーは粉の粒が小さいため、粗挽きのコーヒー粉に比べてお湯にコーヒーの成分が溶け出しやすくなっています。そのため、細挽きで淹れたコーヒーは味の濃いコーヒーとなりますが、味以外の雑味も抽出されやすくなるため、それらも強く感じるコーヒーになってしまいます。

雑味を含めた味の過抽出は当たり前なのですが、細挽きのコーヒー粉で淹れたコーヒーは、中粗挽きのコーヒー粉で淹れたコーヒーよりも香りが落ちているように思います。過抽出で味が出すぎているなら、香りも出すぎたって良いと思うのですが、何故か香りは落ちていると思うのです。過抽出の雑味が香りの邪魔しているため、香りが感じ取りにくくなっているとも考えられますが・・・。

今回はこの問題に対して、以前行った異なる挽き目のコーヒー豆を組み合わせてコーヒーを淹れる検証微粉を取り除いたコーヒーの味わいの検証の結果を踏まえて、コーヒー粉から微粉を除去しコーヒー粉の粒度を整えることで、細挽きのコーヒー粉でも香りの高いコーヒーを淹れることができるかどうかという点について、検証してみたいと思います。

コーヒーを淹れる条件

今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。

  • 使用したコーヒー豆:グアテマラ エスペランサ パカマラ
  • 焙煎度:シティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):1
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g(15g)
  • お湯の温度:約88℃
  • 蒸らし時間:20秒
  • 抽出量:130ml

コーヒー豆を細挽きにして、粒度を整える

まずはコーヒー豆を細挽きに挽いて、微粉を取り除く作業から取り掛かりましょう。コーヒー粉から微粉を取り除くには”パウダーコントロールストッカー”を使用します。

サザコーヒー パウダーコントロールストッカー

登場2回目。サザコーヒーの販売するパウダーコントロールストッカーを使用してコーヒー粉から微粉を取り除きます。

パウダーコントロールストッカー メッシュフィルター

今回は、3種類用意されているメッシュフィルターの中から最も目の細かいこのフィルターを使用して微粉を取り除きます。

パカマラ種 コーヒー豆

今回使用するコーヒー豆はパカマラ種なので、粒がとても大きい!コーヒー豆は大きくてもスペシャルティコーヒーなので大味ということはなく、美味しいコーヒーになることでしょう。

ナイスカットミルのメモリを一番細挽きにあわせたら、ホッパーにコーヒー豆を入れてスイッチオン。細挽きのコーヒー粉になったらメッシュフィルターをセットしたパウダーコントロールストッカーに入れて、フタをして、30秒ほど上下に振って微粉を取り除きます。

パウダーコントロールストッカーを使用して取り除いた微粉

取り除かれた微粉がこちら。20gのコーヒー豆を細挽きにして、微粉を取り除いた後に重さを量り直したら15gになっていたので、5gの微粉が取れたことになります。うーん、勿体無いですね。

これでコーヒー粉の下準備は完了しました。次に、微粉を取り除いたコーヒーと取り除かないコーヒーを淹れて、飲み比べていきます。

粒度を整えたコーヒー、整えていないコーヒーを飲み比べる

まず、微粉を取り除いたコーヒー粉を使用してコーヒーを淹れていきます。ここで早速違いを感じたのが、ドリッパーにコーヒー粉をセットする時、とてもスムーズにサラサラと落ちること。細挽きのコーヒー豆をドリッパーに入れ込む時、細挽きのためギュウギュウに詰まっているせいか、普通ドサッと落ちるものなのですが、微粉を取り除いたコーヒー粉は粒度が整っているためか、サラサラとドリッパーに落ちていきました。

微粉を取り除いた細挽きのコーヒー粉

微粉を取り除いたコーヒー粉は、細挽きであっても粒一つ一つがしっかりと見て取れます。濡れたペーパーフィルターにもコーヒー粉は付着せず、スムーズにセットできていることが分かると思います。

あとはお湯を注いでコーヒーを淹れるだけ。微粉がなく粒度が整っているおかげで、お湯の抜けが悪い細挽きのコーヒー粉であっても比較的スムーズにコーヒーを抽出することが出来ました。淹れ終わった後のコーヒーカスの表面も凸凹しておらず、お湯がとどまらずスムーズに抜けていったのが分かりました。

1杯目のコーヒーを淹れ終わったら、次は微粉を取り除かないコーヒー粉でコーヒーを淹れます。微粉を取り除いたコーヒーは15gだったので、こちらも15gのコーヒー豆を細挽きに挽いて、ドリッパーにセットします。

微粉を取り除いていない細挽きのコーヒー粉

微粉を取り除いていないコーヒー粉は、案の定サラサラと落ちては行かず、ドサッとドリッパーに不時着しました。濡れたペーパーフィルターの周辺には微粉とシルバースキン(チャフ)が散乱しているのはそのせいです。微粉を取り除いたコーヒー粉と比べると、コーヒー粉の粒の形も輪郭がぼやけてよく分かりません。というか、微粉の有無を見比べるとここまで違うのはビックリですね。

ドリッパーにコーヒー粉をセットしたら、お湯を注ぎます。こちらは細挽きのコーヒーらしく、非常にお湯の抜けが悪く、注意して注いでもお湯が弾かれるように側面に流れていってしまいます。慎重になんとか130mlのコーヒーを淹れましたが、淹れ終わった後のコーヒーカスの中心はかなり凹んでいました。

2杯のコーヒーを淹れ終えたら飲み比べます。まず、微粉を取り除いていないコーヒーから。飲むと、フルーツ系のガツンと強い酸味。細挽きのコーヒーらしい味の濃さです。香りは感じますが強くはなく、後味は程よく苦い。

次に、微粉を取り除いたコーヒー。こちらは、やはりガツンとくる酸味、しかし微粉を取り除いていないコーヒーとは違い、奥行きを感じる味わいです。さっきはよくわからなかった香りも分かりやすく、柑橘系のオレンジのような香りを感じました。スパイシーで、後味はチョコレートのような、非常に複雑で面白い味わいです。

微粉を取り除いたコーヒーと取り除いていないコーヒー、2杯のコーヒーを交互に飲み比べれば飲み比べるほど、微粉を取り除くことで、立体感のあるクリアな味わいで、コーヒー豆の特徴がわかりやすいコーヒーとなることが感じ取れました。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 微粉を取り除けば、細挽きのコーヒー粉でも香りの高い、コーヒー豆の個性を感じ取れる美味しいコーヒーを淹れることができる。

考察・感想

今回もまた美味しいコーヒーを飲むことが出来ました。コーヒー豆を細挽きにしても、微粉を取り除けば香りを感じ取れる美味しいコーヒーを淹れることができるということが分かり、またコーヒーの楽しみ方が増えそうです。

これまでの検証や今回の検証結果を踏まえると、コーヒー豆の挽き目に関係なく、微粉を取り除くことでコーヒーは美味しくなるということは確定的です。つまり、少なくとも細挽きだからコーヒーの香りが感じにくくなる、ということは無いと考えて良いと思います。そうなると、挽き目の異なるコーヒー豆を組み合わせた検証の結果にも書きましたが、コーヒー豆の個性を最大限に引き出した美味しいコーヒーを淹れるためには、細挽きでも粗挽きでも、コーヒー粉の粒度を整えることが重要であるというのは間違い無さそうです。

ただ、細挽きのコーヒー粉を使用して淹れたコーヒーには過抽出の問題があります。今回使用したコーヒー豆は初めて飲んだので、中粗挽きで飲んでみないと確かなことは言えませんが、細挽きのものは恐らく中粗挽きのものよりも雑味が多く出ているので、クリアさに欠けていると思います。また、渋みも強く出ているのを感じました。

なので、細挽きでも微粉を取り除けば美味しいコーヒーを確かに淹れられるのですが、それは微粉を取り除かない細挽きのコーヒーと比較した場合であって、中粗挽きなどのコーヒーの抽出に適した粗さで挽いて、かつ微粉を取り除いたコーヒー粉で淹れたコーヒーと比べると、恐らく味わいは劣るでしょう。つまり、微粉を取り除けばどんな挽き目のコーヒー豆でも美味しくなるけど、コーヒーの抽出には適した挽き目があって、微粉と挽き目、それぞれが適切なコーヒーが最も美味しいコーヒーであるのではないかということです。ただ、細挽きのコーヒーでも微粉を取り除けば、微粉を取り除いていない中粗挽きのコーヒー粉で淹れたコーヒーよりは美味しいかもしれません。

微粉の有無によるコーヒーの味わいの違いを直に感じ取って思うことは、コーヒーミルってかなり重要なんじゃないか、ということです。コーヒー豆の微粉とは、コーヒー豆を挽いたときに出るもので、不味い成分が微粉となって出てくるわけではありません。微粉となってしまい、抽出にムラが生じるからまずくなるのです。つまり、微粉が出なければコーヒーは何もしなくても最高に美味しいものが抽出できるということで、つまりそれはコーヒーミルの性能にかかっていると言えるでしょう。

そうなると、美味しいコーヒーを飲むための最短の道は、良いコーヒーミルを準備することでしょう。微粉が出なければ、微粉を取り除く手間も時間もいりません。これはちょっとコーヒーミルの買い替えを検討しなければならないかもしれません。ただ、本当に良いコーヒーミルは業務用のお高いものしか無いと思うので、おいそれと手を出せるものでは無いですが・・・・。

さいごに

改めてコーヒーの微粉の有無による違いを感じられて非常に良かったです。ただ、微粉を取りのぞくのは結構面倒だし、洗い物も増えてしまうのが悩みどころ。1杯の美味しいコーヒーを飲むということは、意外と大変です。ただ、微粉がなければ絶対に美味しいのはわかっているので、試したことが無い方には一度試してみてほしいですね。

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