酸味が強い浅煎りコーヒーを美味しく飲むための苦味ブレンドを考える

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浅煎り・深煎りのジレンマ

スペシャルティコーヒーを始めとした品質の良いコーヒーはど、基本的に浅煎りが多いですよね。浅煎りのほうがコーヒー豆独自の香りや味といった個性を感じやすいというか、逆に深煎りにしてしまうとコーヒー豆の個性が没するからというか、見方によるとは思いますが、そういった理由から浅煎りが多いのだと思います。

スペシャルティコーヒーに初めて出会ってからしばらくは、浅煎りのコーヒーの香りや酸味が鮮烈で美味しいと思って飲んでいましたが、しばらくして酸味ばかりのコーヒーに飲み疲れてしまい、今度は中深煎りのコーヒーをメインに飲みはじめましたが、それはそれでコーヒーの特徴がぼやけている感じがしてモヤモヤしている・・・。というのが最近のコーヒー事情です。

中深煎りのコーヒーでも浅煎りと同様の味わいを感じられれば文句はないのですが、そうは問屋が卸しません。でもコーヒーにはブレンドという手があります。浅煎りのコーヒーをベースとして、中深煎り以上のコーヒーをちょちょいとブレンドしてあげれば、酸味がキツすぎない、かつ飲みやすさを併せ持ったコーヒーになるのではないでしょうか。

浅煎りコーヒーベースのブレンドを試す

ということで、コーヒー豆のブレンドを少し検証してみることにします。浅煎りのコーヒー豆と中深煎りのコーヒー豆を準備し、これらをブレンドして、浅煎りベース、でも程よく苦味があって飲み疲れないコーヒーを目指します。浅煎りのコーヒー豆は、”エチオピア グジ ハンベラ ナチュラル”を使用します。

エチオピアのコーヒー豆

浅煎りはエチオピアが定番なイメージがあります。

中深煎りのコーヒー豆は、”ウガンダ ルウェンゾリ ドンキーウォッシュ”を使用。ロバがコーヒー豆を運ぶからドンキーという名前がついているらしいです。

ウガンダのコーヒー豆

程よく黒黒としたウガンダのコーヒー豆。

ブレンドの肝心なところは、これらコーヒー豆の割合をどうするか。コーヒーをドリップするときはいつもコーヒー豆13gに対して抽出量130mlとしているのですが、バランス云々よりも、あくまで浅煎りメインにしたいので、まずわかりやすくエチオピアを10g、ウガンダを3gでブレンドしてコーヒーをドリップします。

エチオピアとウガンダのブレンドコーヒー粉 10:3

ブレンドして中挽きにしたコーヒー粉。

コーヒー豆は中挽きにして、V60ドリッパーでペーパードリップします。お湯の温度は88℃。蒸らしを含めて2分30秒ほどかけてドリップします。ドリップしたら味のバランスをチェックします。

一口飲むと、エチオピアのもつ酸味がまず感じられて、すぐに苦味が後を追います。舌の真ん中には酸味が残るため、一瞬だけ酸味のほうが強いかな?と感じますが、思ったより苦味も頑張ります。バランスは悪くないですが、あくまで浅煎りの補助としての苦味としたいので、まだ苦味の主張を落としても大丈夫そうです。

次は苦味を落とす形で、エチオピアを11g、ウガンダ2gでブレンドして再度コーヒーをドリップします。

エチオピアとウガンダのブレンドコーヒー粉 11:2

さっきよりウガンダの比率を落としたことで、見た目の黒っぽさも控えめに。

今度は酸味と苦味の境界がぼやけたというか、1杯目よりかなり自然な味わいになりました。エチオピアの華やかな酸味と風味を感じられつつも、程よく苦味もあって飲み疲れません。ただ、やはりシングルではないので、エチオピアの個性100%とはいかないですね。

2杯目で結構満足したのですが、念の為もう1パターン試しておきます。3杯目は更に苦味を落とすことを目指し、エチオピアを12g、ウガンダを1gでブレンドします。

エチオピアとウガンダのブレンドコーヒー粉 12:1

見た目ではもう中深煎りのウガンダが入ってるか分かりません。

浅煎りのエチオピア12gに対して中深煎りのウガンダ1gだと、流石に存在感が薄くなりました。2杯目よりもエチオピアそのまんまに近いですが、その分やはり飲んでいて少し疲れてしまいます。ここまで来ると、もうブレンドする意味もない感じです。

今回試した3パターンだと、エチオピアを11g、ウガンダ2gのパターンが一番理想に近いバランスだと感じました。

感想・考察

ものは試しでやってみましたが、意外と悪くない結果にたどり着いたと思います。最後になって言うのもなんですが、私は基本的にブレンドコーヒー否定派です。というのも、コーヒー豆をブレンドしてシングルよりも美味しくなるとは経験上思わないからです。ただ、今回ブレンドを試してみて、目的によっては適切にブレンドをすればコーヒーを楽しむ幅が増えて良いのかもしれないと感じる事ができました。

目的によって、というのは今回の私のように浅煎りのコーヒー豆単体だと飲み疲れてしまうけど、深煎りのコーヒー豆とブレンドすることによって飲み疲れることなくコーヒーを楽しむことができるといった話で、味についてはやはり単一のコーヒー豆で楽しむのが一番だとは思います。つまり、味は落ちても飲みやすさを優先するのであればブレンドはアリ、ということです。

また、ブレンドといっても今回のようにきっちりと比率を維持できる前提である、というのも足しておきましょう。お店で購入するブレンドコーヒーは、当然ですがコーヒー豆が混ざった状態になっています。つまり、スプーンでコーヒー豆を2〜3回掬ったとき、それぞれ掬ったスプーンに乗るコーヒー豆のブレンド比率は異なることになります。ブレンドを購入して、一度コーヒー豆の種類ごとに分けるなんて奇特なことをしないですしね。

今回、1g単位でブレンド比率を変えて試してみて、意外と1gで味は変わるもんだと体感しました。それを踏まえると、前述のようなブレンド比率のブレによる味わいの差は、結構無視できない差なんじゃないかなあと思います。そう考えると、味が安定しないという意味でもやっぱり基本的にブレンド否定派というスタンスは崩れないかなと感じました。

ただ、完全にマンネリ化しているコーヒーライフに一石を投じることはできたと思います。今後もう少し色々と、規定のブレンドとは異なる、単一のコーヒー豆同士を組み合わせたブレンドを模索しても面白いかもしれません。

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