コーヒー豆の保存方法によって、コーヒーの味は変わる? その4

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開けコーヒー

梅雨が開けたら夏真っ盛りです。夏というと食品の保存にも気を誓う季節なので、本格的に夏がが来る前に、コーヒー豆をなるべく良い状態で保存する方法について探っていきます。

はじめに

前回の保存方法の検証から大分時間が空きましたが、このテーマについては一応4回目の検証となります。前回までの3回の検証では、室温で瓶に保存したコーヒー豆とそれを挽いたコーヒー粉、それぞれを三週間ほど週次で味の確認を行いました。結果については前回までの検証の記事を見て頂くとして、今回は更に強化して、冷蔵庫でコーヒー豆とコーヒー粉を保存するパターンを含めて、室温とあわせて合計4パターンの保存方法で保存したコーヒーの味わいを比較したいと思います。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:メキシコ ベラクルースルビー
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:カリタ ロト101(陶器)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:カリタ カリタ コーヒーフィルター101(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約94℃
  • 抽出量:120cc
  • 焙煎日からの経過日数:14日目
  • 保存方法:無印良品ソーダガラス密封瓶500ml、室温23℃、冷蔵10℃

保存状態などについて

コーヒー豆は自家焙煎のお店で購入後、家に帰って未使用の無印良品のソーダガラス密封瓶(500ml)に挽いたものと豆の状態のもの、それぞれ2つずつ計4つの瓶に約40gずつ保存し、2つは室温で、2つは冷蔵庫にいれて保存を開始しました。保存開始時に図った温度では、室温は約23℃、冷蔵庫の温度は約10℃でした。遮光はしませんでしたが、暗所で保存し場所も移動せず、2週間の間一度も開けませんでした。

コーヒーを入れる

室温で保存したコーヒー豆

コーヒーを入れないと始まりません。室温で保存していたものから開封し、コーヒーを入れていきます。瓶を開けると溜まっていたガスが一気に抜けてちょっと勢いがついて蓋が開きました。20g量り取って、カリタのロトドリッパーで120ccのコーヒーを入れます。焙煎日から2週間経ちますが、モコモコよく膨らみます。入れ終えたらテーブルに持っていってステイ、次は粉で保存していた瓶を開けます。こちらはなんだか湿っぽいというか、若干重たい印象を受けましたが、とりあえずコーヒーを入れて。ちゃんと膨らむところを見ると問題ないかな?と思いつつ、でもちょっとお湯の抜けが悪いような。こちらもコーヒーを入れ終えたら、次は冷蔵庫で保存していたものを取りだしてコーヒーを入れていきます。

冷蔵庫で保存したコーヒー豆

冷蔵庫で豆の状態で保存していたものは、なんだかしんなりした印象で、室温で保存していたものが表面がコーヒーオイルでテカテカしていたのに対して、こちらは全然コーヒーオイルが出ていませんでした。ちょっと不安になりましたが、こちらはお湯を注ぐとよく膨らみ、鮮度がより保たれている印象を受けました。同じく冷蔵庫で粉状で保存していたものは、豆で保存していたものほどではありませんでしたが、お湯を注げばちゃんと膨らんでいました。

4つのコーヒーが出揃ったので飲みます。

コーヒーを飲み比べる

まずは室温で豆の状態で保存したものから飲んでいきます。飲むと、ワインを感じさせる香りとほんのり酸味が感じられ、その後にしっかりとした苦味がきます。それと鼻血がでそうな感覚の甘み。通常の保存は室温で豆の状態で行うので、これがスタンダードな味わいとして、次に同じ豆の状態で冷蔵庫で保存したコーヒー豆で入れたコーヒーを飲みます。うーーーーん。何度も交互に飲み比べましたが、いまいち違いを感じない。一旦飲み比べるのをやめて、次に、室温で粉の状態で保存したものを飲んでみます。すると、明らかに味わいが違います。いや、味の部分というよりは香りでしょうか。まったく別のコーヒーを飲んでいるような、雑多な香りというか、全然スッキリせず、かなり不味い。最後に冷蔵で粉状で保存したコーヒー豆で入れたコーヒーを飲みます。恐る恐る口に含むと、これは室温で保存したものとは違って違和感がありません。同じく冷蔵庫で豆で保存していたものや室温で豆で保存していたものと取っ替え引っ変えしてみると、ちょっと香りの感じが違うような気もしましたが、まあ気のせいかもしれません。

時間をおいて、冷めた状態でもう一度それぞれ飲み比べ。室温で粉状で保存したものは相変わらず不味く、冷蔵庫で豆の状態で保存したものは室温で豆の状態で保存したものよりもクリアな味わいに感じられたような。また、それぞれのコーヒーの表面を見てみると、冷蔵庫で豆の状態で保存していたものだけ、表面にコーヒーオイルの油膜がないことに気が付きました。

室温で豆の状態で保存したコーヒー豆で抽出したコーヒー

室温、豆の状態で保存したもの。

室温で粉の状態で保存したコーヒー豆で抽出したコーヒー

室温、粉の状態で保存したもの。

冷蔵庫で豆の状態で保存したコーヒー豆で抽出したコーヒー

冷蔵、豆の状態で保存したもの。

冷蔵庫で粉の状態で保存したコーヒー豆で抽出したコーヒー

冷蔵、粉の状態で保存したもの。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 挽いた状態のコーヒー豆は室温で保存してはいけない

考察など

ハッキリと自信を持って言えるのは、結果にも書いたように挽いたコーヒー豆は室温で保存しない、と言うことです。これは明らかにコーヒー豆の本来の味わいを阻害する行為と言えるでしょう。しかし、挽いた状態であっても冷蔵庫で保存すればある程度品質の劣化は防げると思います。ただ、室温であっても冷蔵であっても豆の状態で保存するのがベストであるのは間違いないでしょう。

挽いたコーヒー豆の品質が劣化してしまった原因としては、抽出したコーヒーの味わいから考えてニオイ移り、もしくは酸化が原因と考えています。これらが本当に品質の劣化の原因だとした場合、そうなってしまった理由としては、ニオイ移り、酸化、共に表面積の増加が原因と考えています。理由としては、単純にコーヒー豆が挽かれて表面積が増えて、空気に接する面積も同時に増えたことで空気中のニオイや酸素に触れる部分が大きくなって、匂いがついてしまったり、酸化が促進されてしまったり、といったところでしょうか。また、湿気と一緒にニオイも吸い込んでしまっていたりとか。しかし、ここで一つ気になるのが、完全密封ではないとは言え、瓶に入っていて空気にあまり触れず、かつ未使用の保存瓶であっても、今回のように明らかに味に違和感を覚えるほど品質が劣化してしまった点です。これは、外気が入ってきてしまっているのか、それとも瓶を閉めた時点で中に存在していた空気がそうしたのか、どちらが主な原因となっているのかははっきり分かりませんが、私の考えとしては、コーヒー豆はガスを発生させることから、ほんの少しかもしれませんが保存瓶の内側から圧がかかって、その結果外気との接触があったのではないかと考えています。これについては、完全密封の保存容器を用意して検証する必要がありますが、完全密封の容器を用意してまでコーヒー豆を保存する人が果たしてどれだけ居るのか、ということを考えたときに、そこまでして探る必要があるのかとも少し考えてしまいます。

では、おなじようにコーヒー豆を挽いた状態でも冷蔵庫で保存したものについては違和感なく飲めたのは何故かという事も考えてみます。これについては、温度と湿度、2つの観点で可能性があると考えていて、湿度についてですが、冷蔵庫内は基本的に室温よりも湿度が低いはずなので、冷蔵庫内の湿気がコーヒー粉に吸収されにくいため、ニオイ移りがないのではないかと考えています。また、温度の観点からは、室温よりも冷蔵庫のほうが温度が低いため細胞の活動が抑えられて、ガスの発生も抑えられたため、保存瓶内の圧も上がらず、外気との接触点が少なくなったことで酸化もニオイ移りも無かったとか。まあ、これについては完全に素人考えなのでアテにはなりませんが。ただ、冷蔵保存で気になったのが、上に載せた写真の通り豆も状態でもコーヒーオイルが表面に出ていないという点です。これについては、油は低い温度で凝固することを考えると内側に留まっているだけと考えられますが、それを抽出したコーヒーの表面にもコーヒーオイルの油膜が見られないことから、コーヒーオイルは時間経過で染み出してくるというよりも、焙煎後のコーヒー豆の何らかの活動によって出て来る、という可能性も考えられます。そう考えると、あながち温度によって活動がなんらかの細胞活動が抑制される、というのも間違っていないかも?しかし、冷蔵庫で保存したものでも粉で保存したもので抽出したコーヒーには油膜が見られました。これらのことから考えられるのは、コーヒーオイルは酸化によって発生する、という可能性があるということです。つまり、コーヒー粉はコーヒー豆の状態で保存したものよりも表面積の関係で冷蔵庫の中でも酸化活動が豆の状態のコーヒーよりも活発だったので、結果コーヒーオイルが見られた、ということも無くはない、と考えられます。

そう考えると、コーヒーオイルは酸化によって発生するもので、かといって酸化させようと表面積を増やすと湿気を吸うついでにニオイ移りの危険性もあり、じゃあ程よく酸化して、なるべくニオイも移らなそうな常温で豆のまんま保存するか、粉状で冷蔵保存するか、そのあたりがベストということになるのでしょうか。まあ、仮定がすべて正しいとした場合の話ですが。

さいごに

相も変わらずダラダラ書き連ねましたが、少なくともコーヒー豆を挽いた状態で常温保存するのはやめておいたほうが良いでしょう。それ以外の方法であればまあ大丈夫かも?ただ、コーヒー豆の状態で冷蔵保存、これについてはコーヒーオイルの観点から損をしているような気がするというか、謎が多いのでもう少し折を見て検証を重ねてみたいですね。

・・・・ここまで書いておいて何ですが、今回掲載した写真の表面に写っている油のようなものは、本当にコーヒーオイルなのでしょうか。冷静になって考えてみるとペーパードリップだし、でもカップは毎回洗って、コーヒーを淹れる前には事前にお湯を張っているし、見た目は油っぽいし、でも調べても全然答えは出てこない。うーん。

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