キャンプコーヒーの雄となるか。Zebrang ”V60フラットドリッパー”レビュー
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今年はじめてのキャンプへ
新型コロナの影響とか引っ越しとかその他諸々の事情があって、今年は一回もキャンプに行っていませんでした。もう11月に入ってぼちぼちキャンプシーズンも終わりに近づいて、今年は一回もキャンプせずに終わりかなあと思っていたのですが、たまたま平日にキャンプができる機会に恵まれたので、シーズンが終わる前に近場でキャンプすることにしました。
キャンプにあたってコーヒーセット一式を含んだキャンプ道具を準備していた際に、少し前にハリオから”Zebrang”というアウトドア向けのコーヒー器具を展開する新ブランドが立ち上がった事を思い出しました。少し調べてみると、Zebrangからは”V60フラットドリッパー”というアウトドア向けの組み立て式V60ドリッパーが発売されていたので、キャンプついでに購入してレビューしてみることにしました。
V60フラットドリッパーでキャンプコーヒー
キャンプ当日はスッキリと晴れていて、風もほとんど無く非常に良い天気でした。キャンプ場には昼頃に到着し、テントを組み立て、テーブルやら椅子やらをセットしたら、インスタントラーメンを煮て適当に昼飯を済ませ、ついでにアルコールも少し入れておく。昼から空の下で飲めるのはキャンプの醍醐味です。
お腹を満たして、椅子に座ってボーッと風景を楽しんだらコーヒータイムへ。水を火にかけつつ、パッケージのまま家から持ってきたV60フラットドリッパーをバッグから取り出し、ドリップの準備をしていきます。
製品パッケージ。テーブルがいっぱいなので、撮影は膝の上で。
パッケージは上からでも下からでもパコッと開けられて、ノリなどで接着されていないので開けやすいのが良い感じ。無駄に分離してゴミも出ません。
パッケージの中身。
パッケージの中には、取扱説明書とホルダー、そしてV60フラットドリッパー本体。フラットの名の通り、本体部分が組立前は平らになっています。本体の材質はシリコンですが、特に変な匂いなどはありません。サイズは02サイズなので、ちょっと大きめです。ちなみにホルダーはプラ製です。
説明書によると、本体の穴を反対側の突起に引っ掛けて、下からホルダーを指定の位置に差し込んで、最後に水平に整えて組み立てるとのこと。説明通り、穴を引っ掛けて、下から2番目の突起にホルダーを引っ掛けます。
組み立てたフラットドリッパー。膝の上だったのでちょっとホコリが付いちゃいました。
写真だけ見るとちゃんと組み立てられている様に見えますが、実際にはホルダーに対して本体部分が斜めの状態なので水平になるように調整するのですが、これが厄介。ホルダーを引っ掛けた部分の反対側が低くなっているので、高さを合わせるためにホルダーを本体に押し込むと、今度は引っ掛けた突起からホルダーが外れる始末。
なんとかほぼほぼ水平になるようにしましたが、密着感は無く、ホルダーに本体が乗っているというレベルでなんとも安定感がありません。だいぶモヤモヤしましたが、とりあえずコーヒーをドリップすることにします。
粉をセット。今回は家で挽いてきました。
02サイズなのでペーパーフィルターも02サイズが必要なのですが、手持ちに無かったので01サイズのペーパーフィルターを使用しました。ここに沸かしたお湯を、キャンプ用のケトルでなるべく丁寧に注ぎます。コーヒー用のケトルではないのでだいぶざっくりとお湯を注ぐ形になりますが、まあキャンプなのでそんなものです。
ドリップできました。
お湯の抜けは良く、スムーズにコーヒーをドリップできました。味はまあ家でドリップするのと比較したら薄かったですが、整った環境でドリップしたコーヒーと一緒にしろというのは無理な話ですし、最初から期待していません。外でコーヒーが飲めればそれで良いんです。
コーヒーを飲んだら、またダラダラと酒を飲んで、日が沈んだらご飯を作って食べて、焚き火をして寝ました。普段から今日は何をしようかと考えているタイプなので、自然の中でただボーッとして、食って寝るだけというのはなんとも贅沢な時間だなあと感じました。
あと、やっぱりキャンプは焚き火ですね。揺れる火を見てるだけでリラックスできます。
感想・考察
・・・ということで、V60フラットドリッパーをキャンプに持っていって使ってみたわけですが、正直、完成度低いなーと思いました。本体の質感は悪くないですし、本体の組み立てだけならなにも不満はないのですが、ホルダーとの連結が心もとないです。これはいっそホルダーにセットして利用するのはやめて、本体部分だけで運用したほうが幸せになる気がします。ホルダーにくっつけて水平にしようとすると結構イライラします。
文中にも書きましたが、私はキャンプで飲むコーヒーに味を求めていません。もちろん美味しいコーヒーを飲めるに越したことはありませんが、荷物を少なくすることを重要視しているので、最低限の道具でそれなりのコーヒーを飲むことを最優先にしています。そして、V60フラットドリッパーを選ぶ人は味よりも取り回しの良さを重視しているはずです。荷物の制限がないなら、それこそ普通のV60ドリッパーを持っていくでしょうし、それができるならV60フラットドリッパーの存在意義自体がそもそも無くなります。
となると、自ずと収納性とか扱いやすさの部分が重視されると思うのですが、ホルダーに水平にセットしにくい時点で扱いにくいと言わざるを得ないですし、収納性は通常のV60ドリッパーと比較すると良いですが、MUNIEQ TetraDrip(ミュニーク テトラドリップ)01Sなどの他社製品のほうがコンパクトにまとまるので、他と比較して秀でているとは言えません。キャンプに来て、俺はどうしてもV60でドリップしたコーヒーを飲みたいんだ!という人はいないでしょうし。
端的に言うと、外でコーヒーを飲むために使用する道具としてV60フラットドリッパーを選ぶ理由はないと思いました。繰り返しになりますが、外でもV60でドリップした美味しいコーヒーを飲みたいならV60ドリッパー自体を持っていけば良いですし、コンパクトに収めたいなら他にもっと持ち運びやすい製品はあります。V60フラットドリッパーは、収納性を意識しつつ、外でもV60ドリッパーでコーヒーを飲みたい人向けの製品なんだとは思いますが、個人的にはどの層を狙っているのか分からない曖昧な製品だなあと感じました。
正直な感想を書いたら普通に酷評になってしまいました。お金を払っている以上、良い製品を手にとって、使い心地が良かった!という意義のあるレビューを書きたいのですが、ハリオの最近の製品はどうにも肌に合わないようで、なかなか良い製品だと気持ちよくレビューさせてくれません。V60ドリッパーは毎日使うくらい気に入っているので、次は良い製品が出てくることを期待しています。