色の違いは味の違い。酸素漂白・無漂白のペーパーフィルターを比較する

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無漂白と酸素漂白の違い

コーヒーのペーパーフィルターには、無漂白で原材料の木材パルプの色がそのままの茶色のフィルターと、酸素漂白によって白くなったフィルターの2種類があります。無漂白のものは”みさらし”とも言ったりしますね。漂白されているというと、口に入るものだし白いペーパーフィルターは何だか危険なモノのような感じがするかもしれませんが、”混ぜるな危険”の塩素漂白ではなく酸素漂白なので、人体に影響あるものではありません。

コーヒーを飲み始めた頃、この2種類のどちらのペーパーフィルターを使用するべきか悩んだことがあります。最初は、余計なことをしていない物のほうが良いと思い無漂白の茶色のフィルターを使用していましたが、ある日、無漂白のフィルターは原材料の木材パルプの色やニオイがお湯に溶け出すという記事を目にしました。それ以来、コーヒーをドリップするときは酸素漂白のフィルターをずっと使用しています。

ただ、よくよく考えると本当に無漂白のフィルターを使うと余計な色やニオイが付くのか、自分で確かめたことはありませんでした。なので今回、無漂白のペーパーフィルターを使用すると余計な成分が抽出されてしまうのか、無漂白と酸素漂白のペーパーフィルターそれぞれにお湯を通して比較する形で検証をしてみたいと思います。

2種類のペーパーフィルターにお湯を通す

今回の比較には、ハリオのV60ドリッパー用のペーパーフィルターを使用します。サイズは一番小さい01(1〜2人前用)で、ホームセンターなどでよく見かける100枚入りのものを、無漂白と酸素漂白それぞれ用意しました。

HARIO (ハリオ) V60 用 ペーパーフィルター 01W 1~2杯用 100枚入り ホワイト VCF-01-100W

漂白フィルターと無漂白フィルター

見間違えようがありませんが、左が酸素漂白、右が無漂白のフィルターです。

色以外は形もサイズも綴じ代も一緒です。

漂白フィルターと無漂白フィルター アップ

接写して繊維の絡み具合を見てみると、無漂白のほうが繊維質が多い気がします。色のせいかもしれませんが。

次に、これら2種類のペーパーフィルターに沸騰したてのアツアツのお湯を注ぎ、通したお湯に色の違いが出るかを見てみます。V60ドリッパーを準備して、まずは酸素漂白のフィルターをセット。フィルター全体にまんべんなくお湯が触れるように回しながら80mlほどお湯を落としたら、試験管に少しだけ取っておきます。続けて無漂白のフィルターをドリッパーにセットして、同じ操作を行います。ただこちらは、同じようにお湯を通した後にフィルターをドリッパーから外そうとしたとき、酸素漂白のフィルターでは感じられなかったニオイがすることに気が付きました。どうやら、ニオイに違いがあるというのは間違いなさそうです。

ニオイの違いについてはここで既に確信が持てましたが、色の違いはどうでしょうか。試験管に取った2種類のお湯を並べて見てみます。

お湯が入った2つの試験管

左が酸素漂白、右が無漂白。少なくとも肉眼では色味に違いが感じられません。

少し納得がいかなかったので、フィルターを5枚重ねてお湯を通してみることにしました。

5枚重ねた無漂白V60ペーパーフィルター

ゴリ押し5枚重ねのペーパーフィルター。この光景をこの先見ることは無いでしょう。

5枚重ねたフィルターに同じように沸騰したてのお湯を80ml注いだら、試験管に取って先程のお湯の横に並べてみます。

お湯が入った3つの試験管

一番右が5枚重ねの無漂白フィルターを通ったお湯ですが、見ての通りこれといって違いはありません。

結果としては変化がなく少々残念ですが、無漂白のペーパーフィルターの利用で透過した液体の色が変わるということは無さそうです。

透過したお湯を飲み比べる

色の比較が済んだら、次は味の比較です。飲める温度まで室温で冷ましておいた、無漂白と酸素漂白のフィルターを通したお湯の味を確かめてみます。

まずは、酸素漂白フィルターを通したお湯。お湯なので味も香りも無いはず・・・と思っていましたが、いざ口に含んでみると、ほんのりと紙臭さがあります。少々意外でしたが、お湯がフィルターに浸透する以上、少しは紙の成分も抽出されてしまうようです。

次に、無漂白フィルターを通したお湯を試します。一口飲むと、酸素漂白がほんのりと紙臭いお湯だったのに対して、こちらは明らかに紙のニオイがしました。圧倒的に違います。そしてニオイとは別で、妙な渋みがあるように感じられます。5枚重ねの無漂白フィルターを通したお湯も味を確かめられるように残しておいたのですが、この時点で結果は明らかだったので、飲むのはやめておきました。

酸素漂白と無漂白のフィルター、それぞれを通したお湯を飲み比べてみた限りでは、ペーパーフィルターを使用するハンドドリップの場合は、酸素漂白のフィルターを使わない理由は無いでしょう。

考察・感想

パッと見て色が違うだけの2種類のフィルターですが、その違いは見た目以上に大きいもののようです。明らかに酸素漂白のフィルターを通したお湯のほうが余計な要素が少なく、逆に無漂白のフィルターを通したお湯からは余計なニオイが感じ取れました。今回は実際にコーヒーをドリップはしませんでしたが、ペーパードリップに使用するなら酸素漂白のペーパーフィルターの一択と言って良いのは間違い無いでしょう。

ただし、酸素漂白のフィルターを通したお湯でも、紙臭さはわずかにありました。これについては、ペーパードリップでコーヒーをドリップするとき、最初に予めペーパーフィルターにお湯を一度通しておくことで紙臭さを抜くことができると思います。まあ、そう言うなら無漂白フィルターも同じ方法で紙臭さをある程度抜くことができるはずですが、なんというかニオイの濃度がそもそも違うので、酸素漂白フィルターよりもニオイが弱くなることはないですし、優れているということはあり得ないでしょう。

ペーパードリップでは最初にろ紙を濡らすのはお作法として一般的なので、その点は特に面倒くさいとかそういう問題にはならないと思いますが、そもそもが無漂白フィルターを使用している場合にはそのお作法が意味を成さないので、あくまで酸素漂白フィルターを使用する前提の作法だと思っていたほうが良いかもしれません。

私は昔からペーパーフィルターは酸素漂白一択だったので特に問題ないのですが、今回試してみて、これしかなかったから、とか安易な理由でペーパーフィルターは選べないなあと実感しました。むしろこだわるべきでしょう。ただ、自分が知る限り、無漂白のフィルターと比較して酸素漂白のフィルターってあまり見かけないんですよね。どちらか一方しかない場合、大抵が無漂白フィルターな気がします。気軽に手に入りにくいのが難点でしょうか。

とりあえず、ペーパーフィルターを買うときは酸素漂白の、ホワイトのペーパーフィルターを購入することをオススメします。今回はハリオのV60用のでしか試してませんが、おそらく他メーカーも変わらないでしょう。今回のために調達した無漂白のペーパーフィルターはコーヒーのドリップには使いたくないので、キッチンペーパー代わりにでも使おうかと思います。

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