食べるだけじゃない。キムワイプでコーヒーをドリップする
- コーヒーの抽出
- ペーパーフィルター
キムワイプ=おいしい?
誰でも一度は学校の理科室等で”キムワイプ”と書かれた箱を見かけたことがあると思います。キムワイプは言うなれば、毛羽立ちが少ない丈夫な研究室向けのティッシュペーパー的なモノで、一部には熱心な信者的な人もいるようで、”キムワイプおいしい”を合言葉に、いろいろな方法で食べることもあるようです。・・・本当に食べているのかは分かりませんが、もちろん食用ではありません。食べても死なないとは思いますが。
キムワイプ自体が美味しいかはさておき、ある日キムワイプを店頭で見つけたとき、材質的にコーヒーのペーパーフィルターに近いんじゃないかと考えました。一般的なコーヒーのペーパーフィルターよりは薄く、水に浸したときの強度に不安がありますが、研究室用ということで丈夫に作られているとなると、もしかしたら通常のペーパーフィルターよりも効率的(ペーパーフィルターに吸収されるコーヒーの量が少なくて済む)にコーヒーをドリップできるかもしれません。
食品用では無いため本来の用途からは外れてしまいますが、期待値は高そうです。今回はそんな薄くて丈夫なキムワイプを使って、コーヒーのハンドドリップに挑戦してみたいと思います。
キムワイプでコーヒーをドリップする
コーヒーをドリップする前に、まずはキムワイプについて見てみましょう。今回のために購入したのキムワイプは、おそらく一番小さいS-200というサイズ。厳密にはSがサイズで、200は枚数です。
キムワイプS-200の外観。”ワイパー”と書いてあるのは、他に”キムタオル”等の派生製品との区別用でしょうか。
箱をざっと眺めてみたところ、”水に溶けないためトイレに流さないでください”の文字がありました。どうやら、水濡れの強度については心配しなくても良いかもしれません。ちなみに、”食べないで下さい”という記述はありませんでした。まあ、注意書きがなくても普通食べませんけどね。
開封して1枚取り出してみます。ティッシュのように、箱の上からシュッと取り出すタイプです。
Sサイズは1枚あたり12cm✕21.5cmで、意外と大振りです。M、Lとあるとするなら一体どのくらいのサイズになるのか・・・。
キムワイプは一般的なティッシュよりも硬く、ザラザラした手触り。しかし薄さは2枚重ねのティッシュの1枚分と同じくらいです。
引っ張ると千切れますが、ティッシュよりも破れにくく、繊維も散乱しにくいようです。
キムワイプをドリッパーにセットしてみます。
V60ドリッパー01の場合だと、キムワイプ1枚で十分にカバーできそうです。ドリッパーが透けて見えるくらい薄い。
横から見るとこんな感じ。キムワイプが長方形なので両端が飛び出てしまいますが、まあ問題なし。
セッティングのイメージも掴んだところで、さっそくコーヒーをドリップしていきます。キムワイプでのドリップだけだと差が分からないので、HARIO純正の酸素漂白ペーパーフィルターとキムワイプそれぞれでコーヒーをドリップして飲み比べます。まずは、HARIOのペーパーフィルターでのドリップから。グアテマラのスペシャルティコーヒー豆を15g使用して、88℃のお湯で130mlのコーヒーを2分弱かけてドリップします。
1杯目のドリップが済んだら、すかさず2杯目のコーヒーをキムワイプを使ってドリップします。ペーパーフィルターでのドリップと同じように、ドリップ前にキムワイプにお湯をかけて湿らせてみると、紙のニオイがほんのりと漂ってきました。少し不安になりましたが、そのままコーヒー粉をドリッパーに入れて、ドリップを続けていきます。ドリップでは、やはり材質的に薄いからか、お湯が溜まる感じがあまりなく、ペーパーフィルターでのドリップよりもお湯の抜けが少し良いように感じました。
キムワイプでコーヒーを抽出した後の残り。見た感じ破れた部分もなく、しっかりフィルターの役割を果たしてくれました。
キムワイプでドリップしたコーヒーは美味しい?
2杯のコーヒーがドリップできたら、まず見た目の比較をしてみます。
左がHARIOのフィルター、右がキムワイプでそれぞれドリップしたコーヒー。見た目に違いはありません。
まずは通常の、HARIO純正の酸素漂白ペーパーフィルターを使用してドリップしたコーヒーから飲んでみます。一口飲むと、どっしり目の苦味でコクがあり、酸味はなく、甘さはそこそこ。まったりしたいときよりも刺激が欲しいときに飲みたくなる、目が覚めそうなタイプのコーヒーです。
次に本題のキムワイプでドリップしたコーヒー。ドリップ時、キムワイプにお湯をかけたときに紙臭さが感じられたので少々不安ですが・・・。とりあえず一口飲んでみると、特に変わりのない、同じ味わいのコーヒーに感じます。いや、少しこちらのほうが濃い感じでしょうか。それと、なんだか口当たりに少し違和感があり、クリアさに欠けます。もしやと気になって、コーヒーをカップの底が見えるくらいまで飲み進めてみると、ほんのわずかですが、微粉が沈殿していました。
感想・考察
最初にキムワイプを箱から出して手に持ってみたとき、薄くてお湯をかけたら破れてしまうんじゃないかと不安になりましたが、実際にはそんなことはなく、立派にコーヒーフィルターとして機能してくれました。さすがは研修室用資材といったところでしょうか。
微粉がほんの少し混入したのは想定内でした。材質の薄さもありますし。ただ、オイルが出ていたかと言うとその様子はなく、ペーパーフィルターと金属フィルターのいいとこ取り、とは行かなかったようです。むしろ微粉ばっかり入ってちゃあ、悪いとこ取りでしょうか・・・。微粉はやっぱり口当たりが悪くなるので、スッキリとしたコーヒーを飲みたいときにはキムワイプは向いていないでしょう。ただ、どこかが少しだけ破れてしまっていた可能性もあるので、その点はもう少し検証が必要です。
ただその分、ペーパーフィルターよりも濃い目に抽出できたように感じます。これについてはちょっと自身が無くて、もっとあっさりとしたコーヒー豆を使用すればもっとハッキリ分かったかもしれません。キムワイプはまだまだたくさん余っているので、もう少しいろんなコーヒー豆を試して飲み比べてみたいと思います。
理科室・研究室でコーヒーを飲みたくなって、でもペーパーフィルターが無い・・・。というときは、キムワイプを使ってコーヒーをドリップするのはアリでしょう。サーバーは三角フラスコ、ドリッパーは漏斗、コーヒーポットはビーカーで代替できると考えると、もう完全にそのためにあるようなもんな気がしてきますね。キムワイプの本来の姿はコーヒーフィルターだったんです、きっと。
普段キムワイプを主食としている方は、ぜひキムワイプでコーヒーもドリップしてみてください。食べるだけがキムワイプの使いみちじゃあないですよ。