カップ&サーバーの保温の有無と、抽出したコーヒーの温度の関係

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コーヒーカップとビーカー

コーヒーのドリップと器具の保温

私が普段コーヒーをハンドドリップするときは、コーヒースケールを置いて、その上にビーカー(※サーバーです)を乗せて、更にビーカーにドリッパーを直接乗せて、ペーパーフィルターをセットして、コーヒーカップとソーサーも取り出して傍らに置いたら、沸騰したお湯をドリッパーとコーヒーカップ、コーヒーポットにそれぞれ注ぐ、という流れで前準備をします。

コーヒーポットはともかく、ドリッパーとカップに事前にお湯を注ぐ理由は、ペーパーフィルターを使用する場合はフィルターを事前に湿らせておくのとカップとサーバーの保温が目的ですが、そもそもそれらを保温する理由についてあまり深く考えたことがありませんでした。どこかで、”保温しないとコーヒーの温度が下がってしまう”といった記事を見たことがきっかけで保温するようになったのだとは思うのですが、どれくらい温度が下がるのか、それはコーヒーの味に決定的な違いを与えるのか、確かめたことはありませんでした。

今回は、ハンドドリップの際のコーヒー器具の保温の有無によってどれくらい抽出後のコーヒーの温度に差が出るのか、それによって味の感じ方に違いがあるのかについて検証してみたいと思います。

器具を保温してコーヒーをドリップする

まずは、器具を保温してコーヒーをドリップします。前述したとおり、保温はするのはサーバーとコーヒーカップ。サーバーはハリオのビーカー、コーヒーカップは陶磁器のものを使用します。今回はあまり関係ありませんが、ドリッパーはハリオのV60のガラス製のものを使用します。

ハリオのビーカー

我が家のコーヒーサーバーずっとビーカー。何気にスケールも、ビーカーも、ドリッパーも全てハリオの製品を使用していてハリオまみれです。

陶磁器のコーヒーカップ

コーヒーカップは、コーヒーを飲み始めた頃から使っている、雑貨屋で購入した陶磁器のもの。

肝心の保温方法ですが、沸騰したてのお湯をサーバーとコーヒーカップそれぞれに100mlほど注いでおき、サーバーはコーヒーのドリップ直前まで、コーヒーカップはドリップ終了までお湯はそのままにして保温します。

コーヒーのドリップに使用するお湯の温度は88℃に合わせます。沸騰したお湯をやかんからコーヒーポットに移して、温度計を挿して88℃になった時点でドリップを開始します。蒸らしを含めて2分程度で130mlほどのコーヒーをドリップしたら、コーヒーカップのお湯を捨てて、サーバーからコーヒーカップにコーヒーを注いで抽出完了です。

すかさず、温度計をコーヒーカップに挿して温度を計ります。このときの温度が65.5℃でした。数字も大事ですが、もう一つ大事なのは実際に飲んだときの印象です。淹れたてをズルっと一口。うん、アツアツです。熱くて味が分かりにくいので、少し置いて冷ましてからのほうがコーヒーの味がちゃんとわかって美味しいと思いました。ちなみに真夏の昼にやかんでお湯を沸かし続けているキッチンの室温は30℃でした・・・。

器具を保温して抽出したコーヒーの抽出直後の温度

器具を保温してドリップしたコーヒーの淹れたての温度。個人的にはもう少しぬるくて良いって具合の温度でした。

器具を保温しないでコーヒーをドリップする

次は、器具を保温しないで同様にコーヒーをドリップします。同じ道具を使用するにあたって、一度流水で洗いつつ温度を下げて、室温に戻してからドリップを始めます。また、サーバーの保温はしませんが、ドリッパーにはお湯を通しておきたいので、ドリッパーにだけ個別にお湯を注いでペーパーフィルターを濡らした後、水で軽く冷やしておきます。

器具の温度を戻したら、沸かし続けていたやかんからコーヒーポットにお湯を再度移して、88℃まで下げます。お湯の温度が下がったら、そのままドリップ開始。こちらもうまく調整しつつ、2分で130mlのコーヒーをドリップしました。ドリップしたらコーヒーカップにサーバーから移して、温度を計ります。温度計の温度が上がっていって、止まったところが58.5℃。保温したときより7℃ほど低くなりました。

器具を保温しないで抽出したコーヒーの抽出直後の温度

器具を保温しなかったときの淹れたてコーヒーの温度。想定よりは差がない印象です。

こちらも、実際に飲んで味を確認します。カップに口をつけてコーヒーを啜ると、まず感じたのがカップとコーヒーの温度差。カップは冷たいのにコーヒーは熱いので、唇と舌で感じる温度にギャップが生じて、違和感というか、一瞬コーヒーの味とは別なところに意識を持っていかれました。温度的にはアツアツというほどでもなく飲みやすい温度でしたが、コーヒーの味は、器具を保温してドリップしたコーヒーの一口目より苦味が際立つ感じがしました。

考察・感想

まず、保温の有無で7℃の温度差が出ましたが、これについては10℃以上は差が開くと踏んでいたいので、想定よりも差が小さかったと感じました。ただ、それぞれドリップした直後のコーヒーを飲み比べた限り、7℃という温度差は思った以上に大きいものだと感じました。また、あくまで暑い時期の検証結果なので、これが冬の寒い時期などになると、結果に開きが出てくるでしょう。

器具を保温してドリップしたコーヒーはドリップ直後は熱いので飲みづらいですが、カップもコーヒーも温度が高いため違和感なくコーヒーを楽しむことができました。反対に保温しないでドリップした場合、コーヒーの温度は低めになるのでコーヒー自体は飲みやすくなるのですが、前述したとおりカップとの温度にギャップが生まれ、それが違和感になります。カップが冷たいのに、中身のコーヒーは熱いので、口に入ってきたときに少しビックリします。また、口に含んだ瞬間のコーヒーの味の輪郭が掴みづらくなる印象がありました。

器具を保温していない方のコーヒーの一口目のほうが苦く感じた部分については、その点以外に差は特に感じられなかったので、単純に温度の影響かもしれません。苦味は温度が低いほうがより強く感じるので、それに準じた形でしょう。結果的に、保温の有無がコーヒーの味に決定的な差を生むかというとノーだとは思います。

ただ、今回学んだこととしては、コーヒー自体の味わいというのはもちろん大事ですが、それに付随する要素も間接的に味の感じ方に影響を及ぼすということです。冒頭で言ったとおり、そもそもこれまでもコーヒーをドリップするときは器具を保温していたので特に何も思っていなかったのですが、改めて保温しない場合を確かめてみて、コーヒーそのものの品質がどうとかではなくて、それをどう感じるのか、どうすればより良く感じることができるのかについても気を配る必要があるのだと感じました。

そう考えると、またいろんなアプローチが生まれそうな予感がします。今はまだ具体案は思いついていませんが、ワクワクしてきました。

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