コーヒーのハンドドリップ、蒸らしと抽出でお湯の温度を変えてみる

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  •  コーヒーの抽出
  •  お湯の温度による味の違い

コーヒーをドリップするとき、わざわざ蒸らしのお湯と抽出用のお湯は分けないと思います。じゃあ、分けてみるとどうなるんでしょうか。

蒸らしと抽出のお湯の温度を変えてみると?

私はいつもプアオーバーでコーヒーを淹れるとき、沸騰したお湯をコーヒーポットに移して、温度計を差し込んで88℃くらいになったらコーヒー粉に注いで蒸らし、20秒経ったら抽出開始、という流れでコーヒーをドリップしています。つまり、88℃のお湯で蒸らして、その後の20秒ぶん温度が低下したお湯でドリップしている、ということになります。

今回ふと思い浮かんだのは、タイトルの通り、前述したような蒸らし→抽出という流れの中でお湯をそのまま使用するのではなく、コーヒー粉を蒸らすときのお湯と抽出のときのお湯、それぞれを別の温度で用意してコーヒーを淹れてみると、出来上がったコーヒーは一体どんな味になるんだろう、という疑問です。蒸らしと抽出でお湯の温度をわざわざ変えるなんて、手間ですし普通はやらないと思いますが、もしそれによって美味しいコーヒーがドリップできるなら話は変わってきます。

この一手間は、新しいドリップのスタンダードになり得るのか・・・。検証開始です。

コーヒーを淹れる条件

今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。

  • 使用したコーヒー豆:グアテマラ インフェルト イエローナンセ
  • 焙煎度:シティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約88℃
  • 蒸らしの温度①:約99℃
  • 蒸らしの温度②:約87℃
  • 蒸らし時間:20秒
  • 抽出量:130ml

蒸らし温度の異なるコーヒーを淹れる

今回は、蒸らしの温度が異なるコーヒーをプアオーバーで2杯ドリップし、飲み比べて味わいの比較をしてみます。本当は3杯淹れる予定だったのですが、それについては後述します。

ガラスカップに入ったコーヒー豆

今回使用するコーヒー豆。形の整った、キレイに焙煎されたグアテマラのスペシャルティコーヒーを使用します。

蒸らしに使用するお湯の温度はわかりやすく、沸騰しているお湯(約99℃)と、自分のスタンダードである88℃の2パターンとします。ただ、厄介なのが温度の調整です。沸騰したお湯をコーヒー粉に注いで、20秒の蒸らしを終えるタイミングで抽出用のお湯が88℃でなければならないので、抽出用のお湯の温度の下がる速度を考慮してコーヒー粉を蒸らさなければいけません。

2本の温度計

お湯の温度を正確に測るために、2本の温度計で蒸らし用と抽出用のお湯の温度を追いかけます。

・・・沸騰直後のお湯の温度を測る意味ないんじゃ?と思った人もいるかもしれません。まったくそのとおりなのですが、当初は3杯淹れる予定だったので2本準備していました(ちなみに一応、沸騰したお湯の温度もちゃんと測りました)。

準備ができたら、いざコーヒーのドリップ開始です。まず、蒸らしに沸騰直後のお湯を使用するコーヒーから抽出していきます。まず、ドリッパーやサーバーの保温、コーヒー粉などを全て準備しておき、お湯を注ぐだけの状態にしておきます。

次に沸騰したお湯を、やかんから温度調整用の容器(今回は普段使っているものと別のコーヒーポットを使用しました)に注いで、抽出用のお湯の温度調整。目標温度は88℃なので、89℃を切る前くらいになったら、火にかけて沸騰し続けているやかんから、保温していた抽出用のコーヒーポットにお湯を移して、すかさずお湯をコーヒー粉に注いで蒸らします。

蒸らし始めて20秒待ったら、コーヒーポットのお湯を捨てて、もう一つの温度調整用のコーヒーポットからお湯を移して、抽出開始。あとは2分ほどかけて130mlのコーヒーをドリップしたら、真空二重構造のタンブラーに注いですぐに次のコーヒーを淹れます。2杯目は、何時も通り、コーヒーポットのお湯を88℃にしたら、コーヒー粉を蒸らして、同じお湯でコーヒーをドリップするだけなので割愛します。

ちなみに1杯目の抽出温度は88℃を目標に調整しましたが、お湯の低下速度がおもったより早く、実際は87℃のお湯でのドリップになりました。クリティカルな誤差じゃなければ良いのですが。

蒸らし温度の異なる2杯のコーヒーを飲み比べる

2杯のコーヒーが出揃ったら、飲み比べ。と、その前に、コーヒーの色に違いがあるのかも確認してみます。

2本の試験管に入ったコーヒー

左が沸騰直後のお湯で蒸らしたコーヒー、右が88℃のお湯で蒸らしたコーヒー。裏から光を当てていますが、どちらも色の濃さは一緒に見えます。

まず、沸騰直後のお湯で蒸らしたコーヒー。飲むと、フルーティな香りで、苦味と甘味のバランスが良く、酸味は少なめ。まろやかでクセのない、飲みやすいコーヒーです。

次に、88℃のお湯で蒸らしたコーヒー。やはりというか、味はこちらのほうが薄め。でも、ちょっと酸味が強く感じられる気がします。また、味の全体像は変わりませんが、コチラのほうが雑味が少なく、スッキリさがあります。冷めたときに飲み比べると、その違いがよく分かります。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 蒸らしのときのお湯の温度が高いと、抽出のときのお湯の温度が低くても、コーヒーが過抽出になる可能性がある

考察・感想

だいぶ前に、コーヒーのお湯の温度の違いによる味の違いという検証を行いましたが、所感としてはおおよそ同じ結果になった、というところでしょうか。少し異なる部分もありますが、やっぱり、コーヒーのドリップに使用するお湯の温度は高温過ぎないほうが良いと思います。

お湯の温度が高すぎると、コーヒーの雑味というのでしょうか、余計なものの抽出が多くなり、味自体は濃くなりますが、スッキリさが失われます。ただ今回の場合は、前述した検証のように単純に最初から最後まで高温のお湯でドリップしたときと違って、蒸らしのときのお湯の温度だけが高く、抽出のときは温度の低いお湯を使用するためか、明らかに味が劣る、という感じではありません。好みによっては、88℃のお湯で蒸らしたものよりも、沸騰直後のお湯で蒸らして88度のお湯で抽出したコーヒーのほうが好き、という人もいるかも知れません。私は88℃のお湯で最初から最後までドリップしたほうが好みですが。

ただ、今回の検証はなかなか厄介でした。というのも、お湯の温度調整がシビア過ぎました。お湯の温度低下を考慮してコーヒー粉を蒸らして、希望の温度のお湯でコーヒーをドリップする、というのは難しい。動作自体は単純ですが、蒸らしのお湯を注ぐ時間や、お湯を差し替える時間もあるので、自然に低下するお湯の温度をキッチリ合わせるのが難しすぎます。本当は93℃のお湯で蒸らしたコーヒーも試す予定だったのですが、1杯目のドリップの際ですでにお湯の温度が88℃ではなく87℃になってしまったので、片方のお湯を93℃にしつつ、もう片方を88℃にするのは難しく、正確なデータを取ることができないと判断したのでやめました。確かな結果を得るためには、温度を指定して保温できる道具が必要でしょう。

実施が難しいという点や、味の比較をしてみたところから察するに、わざわざ蒸らしと抽出のお湯の温度を変えてコーヒーをドリップする理由はないかもしれません。ただ、沸騰直後のお湯を使用して、時間をたっぷりかけてコーヒーをドリップするとか、別のアプローチを試してみるのは面白いかもしれません。

さいごに

結果はイマイチでしたが、また試したいことができました。長い間、ダラダラとプアオーバーでコーヒーを淹れてきましたが、そろそろ本格的に一歩突き詰めてみても良いかもしれません。

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