浅煎りのコーヒー豆でもエスプレッソを美味しく抽出できるのか

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エスプレッソって、深煎りのコーヒー豆を使うのが一般的な常識ですよね。では、浅煎りのコーヒー豆を使用してエスプレッソを抽出すると、どんな味になるのでしょうか。

エスプレッソ=深煎りのコーヒー豆で抽出するもの

エスプレッソを抽出するときに使用するコーヒー豆って、フレンチロースト以上の焙煎度の、茶色よりも黒色に近いくらい深煎りのコーヒー豆を主に使用するイメージがあります。外にエスプレッソを飲みに行かないので、もしかしたら今はそんなことないのかもしれませんが・・・。でも、軽く調べる限りでは、やっぱりエスプレッソ=苦いっていうのが一般的な認識ですし、深煎りのコーヒー豆を使用するのが普通のようなので、このイメージは間違っていないはず。

しかし何故、エスプレッソは深煎りのコーヒー豆で抽出するのが普通というか、一般的になったのでしょうか。浅煎りのコーヒー豆で抽出しない理由があるのでしょうか。先日、エスプレッソを飲もうと思ってコーヒー豆を買いに行ったとき、ふと疑問が沸いてきました。今、手元にはエスプレッソマシンがあるので、あえて浅煎りのコーヒー豆を使用してエスプレッソを抽出してみて、どんな味のものが出てくるのかを確かめてみたいと思います。

コーヒーを淹れる条件

今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。

  • 使用したコーヒー豆①:ケニア キアマイナ
  • 焙煎度①:シティローストぐらい
  • 使用したコーヒー豆②:マンデリン スペシャル
  • 焙煎度②:フレンチローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):1
  • エスプレッソマシン:デロンギ アクティブ(ECP3220J)

浅煎りコーヒー豆でエスプレッソを抽出する

今回は、ケニアのシティローストくらいのコーヒー豆を使用してエスプレッソを抽出します。ケニアと言えば、酸味が特徴的なコーヒー豆です。エスプレッソになると、一体どんな味がするのか・・・。エスプレッソマシンは家庭用の「デロンギ アクティブ」を使用します。エスプレッソマシンについてはエスプレッソマシンのレビュー記事も見てみて下さい。

デロンギ アクティブ エスプレッソマシン

デロンギのアクティブシリーズ。プラスチックボディで、見た目は少し頼りないですが、ちゃんとエスプレッソを抽出できます。赤なのは暖色が好きだから。

浅煎りのコーヒー豆が入ったポルタフィルター

コーヒー豆は、手元にあった一番浅煎りのコーヒー豆を使用します。フルシティローストくらい。ちなみに、このハンドルは”ポルタフィルター”って言うらしいです。さっき知りました。

使用するコーヒー豆の量をスプーンではかったら、ナイスカットミルで細挽きにします。次に細挽きのコーヒー粉をポルタフィルターに詰める。ちなみに、コーヒー粉をポルタフィルターに詰めることを”ドーシング”って言うらしいです(これもさっき知った)。で、軽く表面をならしたら、なるべく全面が均一に平らになるようにタンピングします。

タンピングした浅煎りのコーヒー粉が入ったポルタフィルター

タンピングしたあと。こう見ると、なんだかコーヒー豆の粗さがまだ足りないと言うか、もっと細挽きのほうが良いんじゃないかなあという気がしてきます。でも、ナイスカットミルではこれが限界です。

コーヒー粉の準備ができて、エスプレッソマシンが温まったら、ダイヤルをひねって抽出開始です。

デロンギ アクティブでエスプレッソを抽出しているところ

ダラーッと流れ落ちるエスプレッソ。動作中の振動は結構大きめで、グラスが軽い場合、抑えていないと少しずつ動いてしまうので注意です。

デロンギ アクティブで抽出したエスプレッソ

抽出できたエスプレッソがこちら。ガラスのほうの量が少ないのは、写真を撮ろうと思って少し目を離していたら、前述したように振動でグラスが動いてしまって受け止められなかったからです・・・。ピンぼけなのは、ちょっと動揺していたから。

浅煎りコーヒー豆で抽出したエスプレッソを味わう

ということで、エスプレッソが抽出できました。浅煎りのコーヒー豆の使用でしたが、クレマもちゃんとできていて、見た目はいたって普通のエスプレッソ。

では、早速一口。飲むと、ガツンと酸っぱい。苦味はなく、柑橘系のフルーツを食べているような・・・、いや、鼻と口から突っ込まれた感じ。なんというか、キツイ。ガツンと濃くて苦いのと、ガツンと濃くて酸味が強いのでは、苦いほうがまだマシです。なんというか、酸味はもっと大人しく味わうものなんだなって思いました。

コーヒー豆の持ち味は全面に押し出されていますが、美味しく味わえる限度を超えている、といった感じでしょうか。美味しくいただきました、とは言い難いです。とりあえず最後まで飲み終えて、フチに残ったクレマを舐めてみると、これも酸っぱい。クリーミーな酸味で、あんまり好みじゃないかもしれません。

深煎りのコーヒー豆でもエスプレッソを抽出してみる

浅煎りのコーヒー豆で抽出したエスプレッソが正直イマイチだったので、念の為、深煎りのコーヒー豆でもエスプレッソを抽出してみたいと思います。

深煎りのコーヒー豆が入ったポルタフィルター

使用するのは、深煎りのマンデリン。独特な風味が特徴ですが、エスプレッソではどんな味になるのでしょうか。

浅煎りのときと同じ様に、コーヒー豆を細挽きにしたらドーシング、タンピングをしてエスプレッソマシンにセット。ダイヤルをひねってエスプレッソを抽出します。

デロンギ アクティブで抽出したエスプレッソ

深煎りのコーヒー豆で抽出したエスプレッソ。やっぱりこちらのほうが色が断然濃いですね。あと、抽出のときにちゃんとグラスを抑えていたので、こっちはこぼれていません。

抽出が済んだら、早速一口。マンデリン独特の土臭いような香りが突き抜けて、こってりべったりとした甘みが口に広がります。意外と苦味は少なく、甘みのほうが強い。飲むほど甘く、これはこれでキツイ。ですが、浅煎りのコーヒー豆で抽出したエスプレッソのように、酸味がキツイのと比較すると、やはりコチラのほうが全然美味しく頂けます。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 浅煎りのコーヒー豆でエスプレッソを抽出すると、酸味がキツく、美味しく飲めない可能性がある

考察・感想

浅煎りのコーヒー豆で実際にエスプレッソを抽出てみて、普通は深煎りのコーヒー豆を使用する理由が分かった、のかもしれません。浅煎りのコーヒー豆でエスプレッソを抽出すると、ハンドドリップなどのその他の抽出方法でドリップしたときより美味しくないとか、そういうわけではないのですが、単純に酸味が強くなり過ぎてしつこいというか、押し付けがましい味になってしまう気がします。

今回、浅煎りと深煎り、2つのエスプレッソを飲み比べてみて感じたのは、濃い苦味は楽しめても、濃い酸味は受け入れ難いものだということです。濃い苦味は、パンチがあって最初はびっくりしますが、割とすぐ馴染んで、飲み込むと余韻は残りますが比較的キレイに去っていきます。しかし濃い酸味は、ガツンと来たと思ったら口の中を引っ掻き回してきて、飲み込むまで馴染むことはありません。

濃い苦味と濃い酸味、どちらも言うなれば凝縮された味わいですが、凝縮された苦味は比較的単純で故に受け入れやすく、酸味は逆に複雑過ぎるのかもしれません。ウイスキーの飲み方で、香りをより感じ取れるとされる”トワイスアップ”という飲み方がありますが、これも結局は複雑で濃い味わいであるウイスキーをあえて水で割ることで、味の要素をよりわかりやすくさせるということかと思うので、つまりは濃度を薄くしたほうが飲みやすい・楽しみやすいということもあるのではないでしょうか。コーヒーに当てはめると、酸味というのは、エスプレッソのような濃い液体としてではなく、フレンチプレスなどで淹れたほうが飲みやすい・楽しみやすい要素である、ということです。

ただ、あくまで私個人としては濃い酸味が受け入れ難いという話で、味の好み次第でむしろ浅煎りのコーヒー豆を使用したエスプレッソが美味しいと思う人もいるでしょう。ただ、世間一般的にエスプレッソには深煎りのコーヒー豆を使用するという前提を考えると、それは少数派かもしれません。

さいごに

今後は、浅煎りのコーヒー豆でエスプレッソを抽出することは無いかもしれません。ただ気になるのは、今回使用したケニアのような、酸味の特徴的なコーヒー豆を深煎りにして、エスプレッソを抽出したらどうなるか、ということです。せっかくなので、今度試してみたいと思います。

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