コーヒー抽出時のお湯の温度による、コーヒーの味の違い その2

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  •  コーヒーの抽出
  •  お湯の温度による味の違い

温度計

最近、色々と調べ物をしていたら久しぶりにコーヒーを淹れる際のお湯の温度と、それによる味の違いについて確認したくなったので久しぶりに確認してみたいと思います。

はじめに

このテーマの検証は1回目を行ったのがもう1年以上前で何も覚えていません。軽く確認してみると、お湯の温度が高いと苦味メインで、お湯の温度が低いと酸味メインになる、というハッキリとした違いを体感したようですが(他人事)、それを以降のコーヒーの抽出に役立ててはいませんでした。つまり、何でもかんでも沸騰したてのお湯でコーヒーを淹れていました。

ところが、最近そのあたりについてまた調べていたら、なんだかお湯の温度が高いと雑味も一緒に出てしまいよろしくない、という情報をチラホラ見かけたので、今回はそのあたりの確認をできたら、と思います。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:ケニア キリニャガ
  • 焙煎度:ミディアムローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー02(陶器)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度1:約95.1℃
  • お湯の温度2:約89.5℃
  • お湯の温度3:約83.6℃
  • 抽出量:130cc
  • 温度計:Habor クッキング温度計

お湯の温度について

今回は、いつもどおりの沸騰したてのお湯と、90℃を切った程度の温度のお湯、80℃を切らない程度の温度のお湯、の3パターンで珈琲の味わいの検証を行いたい思います。事前に決めてしまうと合わせるのが大変そうなので、あえて大雑把に設定します。条件に記載の温度は事後報告です。

また、お湯の温度の管理についてですが、前回は、蒸らしのときと抽出のとき、温度が一致するようにお湯を改めて火にかけていましたが、今回は蒸らしのときのお湯の温度を決定した値として、抽出のときに改めてお湯の温度を測ることはしません。というのも、前回はお湯の温度の調整で蒸らし時間が伸びてしまうということがあったためです。そのため、今回の検証では若干蒸らしのときより抽出のときのお湯の温度が低いということになりますが、コーヒーの抽出中はコーヒーポットの中のお湯の温度は自然に下がっているものですから、まあそんなに問題無いのではないかな、と思っています。結局のところ、最初のお湯の温度という基準が分かれば良い話ですし。

今回使用するもの

使用するコーヒー豆と、今回はいつものカリタのドリッパーではなく別のドリッパーを使用するので、それの紹介をしたいと思います。まずコーヒー豆から。

コーヒー豆 ケニア

今回使用するケニア キリニャガです。ケニアの酸味を活かす浅煎りのものを使用します。

ハリオV60ドリッパー 02

ドリッパーはこちら、ハリオのV60ドリッパー02です。1人用の大きさの01を持っていないので、一つ上のサイズの02を使用します。

今回ドリッパーを変えた理由ですが、お湯の温度による違いを見るにあたり、お湯がドリッパーに留まるとその分お湯の温度が余分に下がるかと思ったので、なるべくお湯がドリッパーに留まらない、注湯速度がダイレクトに伝わるハリオのドリッパーを使用することにしました。些細な事で恐らく心配してもしょうがない部分かと思いましたが、疑念が浮かんだので実行することにします。

コーヒーの抽出

説明も終えたところで、コーヒーの抽出を行います。やかんのお湯を沸騰させて、予め保温しておいたコーヒーポットにお湯を入れ、温度計を差し込んでお湯の温度を測ります。希望のお湯の温度になった時点で蒸らしのためにお湯を注ぎ、1分間蒸らして、そのままコーヒーを抽出します。抽出量は130cc。

3杯のコーヒーを抽出するとき気がついたのが、一番高温の95.1℃のお湯で抽出したコーヒーのときだけ、お湯を注いでいるコーヒー粉の表面にアクが見えていた事です。高温のお湯でコーヒーを淹れると雑味が出るという話を書きましたが、まさにそれを彷彿とさせました。

コーヒーの飲み比べ

予感はよぎりましたが、飲んでみないことには始まりません。コーヒーを3杯、飲み比べます。まずは一番高温の95.1℃のお湯で淹れたコーヒーから。味はちょっと苦味を感じさせつつ、強い酸味を感じさせます。また、全体的に味が濃いというか、強い。

次に、89.5℃のお湯で淹れたコーヒーを飲みます。飲むと、苦味はほんのり感じますが酸味がやはり強く、そして一番高温のお湯で淹れたコーヒーよりもスッキリ。ケニアの特徴であるベリー系の香りもしっかり感じられます。これに比べると、最初に飲んだコーヒーは雑味というか、渋みを強く感じます。

最後に83.6℃のお湯で淹れたコーヒーです。こちらもほぼ酸味しか感じません。スッキリしていますが、2番目に飲んだ89.5℃のコーヒーよりも香りは感じられませんでした。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • コーヒーを淹れるとき、沸騰したてのお湯は使用しないほうが良い

考察・感想

コーヒーを淹れるときのお湯の温度の大切さを噛み締めた感じです。沸騰した状態のやかんからコーヒーポットに注いですぐのお湯を使用して淹れたコーヒーは、90℃以下まで温度を下げたお湯で淹れたコーヒーと比べると渋く、とても美味しいとはいえませんでした。これまでわりと沸騰したてのお湯を使用していたので、すごく損をしていた気分です。

また、ただ温度が低ければそれで良いというわけでもなく、89.5℃のお湯で淹れたコーヒーと83.6℃のお湯で淹れたコーヒーでは、89.5℃のほうがより香りが豊かに感じ、美味しく感じました。これは、2つの観点から見ることが出来て、1つはお湯の温度がある程度高いほうが香りが良く出るという観点、1つはお湯の温度が低いと香りが出にくいという観点です。

今回の場合は、後者の温度が低いせい、というのが原因だと考えています。というのも、事前に告知していますが、今回のそれぞれのお湯の温度は蒸らしを開始する時点の温度であるため、実際に抽出をする際にはもう少しお湯の温度は下がっているためです。恐らく、蒸らし時に83.6℃だったお湯が抽出時にもっと下がって80℃以下まで下がってしまい、結果的に、いうなれば抽出力不足になってしまったのだと思います。極端に言えば、水をかけてもコーヒーの抽出は出来ません。厳密には茶色い水ぐらいは出てくるかもしれませんが、つまりはそういう事です。

ただそうなると、一番高温の95.1℃のお湯で淹れたコーヒーが最も香りが強くなるのが妥当な気がしてきます。しかし、今回私が飲み比べた感覚では、やはり89.5℃のお湯で淹れたコーヒーのほうがベリー系の爽やかな香りが一番良く感じられました。こうなると、原因として考えられるのは余分に抽出された雑味です。95.1℃のお湯で淹れたコーヒーは結構”ガツン”とくる味わいで、それはやはり余分に多く抽出された雑味が原因で、香りも抽出はされていたかもしれませんがそれを上回る存在感の雑味によってかき消されてしまっていた可能性があります。これについては有り得る話だと思っていて、高温のお湯で淹れると苦いコーヒーになり、温度が低いと酸味が強いコーヒーになるというのは、前回の結果と世論から分かっていることです。これについて少し考えてみると、高温のお湯でコーヒーを淹れた場合に酸味は出ていないのかというとそうではなく、苦味によって存在感が薄れているだけで実際にはコーヒーの中には含まれているということで、今回の香りについても存在していても雑味の中に埋もれてしまっているだけなのだと考えています。

書きたいことを書いてスッキリしましたが、冷静に考えてみると、このテーマの1回目のときに苦味と酸味以外に雑味についてなんで気が付かなかったんだって話ですが、まあそういう部分にも気がつける程度に舌が肥えてきたのだと思えば少しは溜飲が下がります。

さいごに

今回の検証はハッキリと自信を持って結果を書けるくらいにその差を体感することが出来たので非常に良かったです。殆どのコーヒー豆の場合にも当てはまるとは考えていますが、今回の場合は浅煎り酸味系のコーヒー豆の結果である、ということは留意したほうが良いかもしれません。つまりは、他のコーヒー豆でも見ていく必要がありそう、ってことです。

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