モカの美味しさを引き出すことができる最適な抽出温度を探ってみる

  •  
  •  コーヒーの抽出
  •  お湯の温度による味の違い

エチオピアのモカといえば、華やかな香りが特徴的なコーヒー豆で、その香りを楽しむことこそが本質と言えるでしょう。では、どうすればその香りを最大限楽しむことが出来るのでしょうか。

コーヒー豆によって適切な抽出温度は違う?

以前、コーヒー抽出時のお湯の温度について検証を行っていたことがありました。この検証の結果を踏まえて、コーヒーの抽出には温度の高すぎるお湯を使用しないようになった(たぶん)のですが、このときコーヒー豆が変わると結果は違うのかどうかについては気にも留めていませんでした。

そんなことをつい最近、色々調べ物をしていたときに気づいて、忘れないうちにひとつ、確かめておこうと思い立って今に至ります。今回それを確かめるのは、みんな大好きエチオピアのモカ。特徴的な香りで、私も好んで定期的に飲んでいます。エチオピアのモカは一般的なコーヒー観を覆すのにうってつけなので、人にコーヒーを勧めるときもまずこれを挙げます。

今回は4パターンの温度でコーヒーを抽出し、それぞれ飲み比べ、一番美味しいと思う温度帯を探してみたいと思います。

コーヒーを淹れる条件

今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。

  • 使用したコーヒー豆:エチオピア モカ イルガチェフェ G1 コンガ
  • 焙煎度:ハイローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:10g
  • お湯の温度:後述
  • 抽出量:150ml

コーヒーの比較方法

今回は、見よう見まねですが、一般的なコーヒーの品質チェック方法であるカッピングで比較を行ってみたいと思います。カッピングは、挽いたコーヒー豆にお湯をザッと注ぎ、一定時間待った後にスプーンですすってコーヒーを飲み比べる方法です。抽出のテクニックによる味のブレがなくなるため、コーヒー豆の味を見るために最適とされています。こう見ると、フレンチプレスってまんまカッピングのそれなんですね。

これまでもずっと、ハンドドリップじゃ比較に少しブレがでるよなあ〜とは思っていて、今回良い機会なのでカッピングに挑戦してみることにしました。カッピングについては、LIGHT UP COFFEEさんのサイトTHE COFFEESHOPさんのサイトを参考に、コーヒー豆10g(中挽き)、お湯の使用量150ml、抽出時間4分という条件で、カッピングを行います。お湯の温度は、沸騰直後、88℃、80℃、75℃の4パターンとします。

2つの耐熱ガラス容器

カッピングの容器には、この耐熱ガラスのカップを使用します。左に入っているコーヒー豆は10g分です。

スープスプーン

カッピングに使うスプーンは、底が深めのカッピング用のものが望ましいようですが、そんなものはないのでスープ用のスプーンで代用します。

準備するものはこれくらい。それでは早速お湯を沸かしてカッピングをしていきましょう。

コーヒーをカッピングする

通常のカッピングは、種類や焙煎度の異なるコーヒー豆を複数用意して飲み比べるものですが、今回の目的は抽出温度だけが異なるコーヒーの飲み比べです。なので、温度が異なるお湯を同時に用意しなければなりません。ただ、同じ形のガラスの耐熱容器が2つしかないので、同時に用意するのは2杯までで、2杯を2回で計4杯の飲み比べを行います。形状の違う容器を使っても良いのですが、比較にブレが出るそうなのでやめておきましょう。それと、コンロも2口しか無いので、どのみちお湯も2パターンしか用意できませんし・・・。

ということでまずは、沸騰直後のお湯と88℃のお湯で抽出したコーヒーのカッピングから始めていきましょう。やかんと小鍋で、お湯を沸かしたら、片方はコーヒーポットに入れて冷まします。こちらが88℃まで冷めたらカップに注いで、沸騰させ続けていたお湯ももう一つのカップに注ぎます。

コーヒー粉にお湯を注いだところ

お湯を注いだ直後のカップ。諸事情(ピンぼけ)につき、こちらの写真は2回目のものだってことは秘密です。

このまま4分タイマーで測り、時間が経ったらスプーンで表面を割り、かき混ぜて、アクを取り除いて表面をきれいにします。ただこのとき、浅煎りのコーヒー豆だからなのか、時間経過で表面に浮いていたコーヒー粉が自然に沈んでしまっていたので、ほとんどアクを取り除いただけでした・・・。

2杯のカッピング用コーヒー

表面のアクを取り除いたところ、フチにはまだアクが付いているように見えますが、まあそれは。ちなみにこちらはちゃんと1回目の写真です。

きれいにしたら、スプーンでコーヒーをすくって、勢いよくすするようにして口に吸い込んでテイスティングをします。まず、沸騰直後のお湯を使用したコーヒーを一口。一瞬、ブルーベリーのような、レモンのような、モカ独特の味や香りが広がりますが、すぐに消えてなくなります。

次に、88℃のお湯を使用したコーヒー。こちらは沸騰したお湯のものよりも香りが強く感じられ、その奥にある甘いような香りも感じ取ることができました。この2つを比較する限りでは、88℃のお湯で抽出したコーヒーのほうがよりモカの良さを引き出していると感じました。

まだこれだけでは終わりません。最初の2つの比較が済んだので、次は残りの2つ、80℃のお湯の場合と75℃のお湯の場合の比較を行います。カップやスプーンをきれいにし、新しい水でお湯を沸騰させたあと、ほぼ同時に80℃と75℃になるように冷まして、挽いたコーヒー豆の入ったカップに注ぎます。

4分経ったら撹拌してアクを取って飲み比べ。まず、80℃のお湯で抽出したコーヒー。ズズッと音を立ててすすると、モカの香りと味をしっかりと感じます。次に75℃のコーヒー。こちらは、香りも味も薄く、特徴的なのは酸味だけ、といった様子。80℃と75℃の比較では、80℃のコーヒーのほうが明らかに美味しいと言えます。

コーヒーのカッピングは本来、温度変化の過程も見ていくそうなのですが、今回はそれは無し抽出直後の様子はわかったので、比較についてはここまでとします。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 浅煎りのエチオピアのモカを美味しく飲むためには、90℃以下、80℃以上のお湯で抽出するのが望ましい

考察・感想

多少検証に穴がありましたが、エチオピアのモカをドリップするときは、お湯の温度は概ね90℃以下、80℃以上とするのはベターでしょう。温度が高すぎても低すぎても、モカ特有の良い香りは感じ取りにくくなるようです。ただ、温度が低い場合はともかく、温度が高い場合に香りが出にくいというのはなんだか理にかなっていないように思います。

・・・っていうのを前にも言ったのですが、その時は余分に出る雑味といったものに良い部分を邪魔されているのではないか、ということで締めました。今再考しても、ピンとくる要因が思い浮かばないので、引き続きそういうことにしておきます。

今回残念だったのが、4杯のお湯の温度が異なるコーヒーを同時に比較できなかったことです。まあ、事前準備を怠ったことに尽きるのですが。4杯同時に行えなかったので、高温度帯では88℃、低温度帯では80℃のコーヒーのほうが美味しいということは分かりましたが、一番肝心な80℃の場合と88℃の場合の比較を行うことができませんでした。まあ、その後に改めてその2杯を比較すれば良かったんですけどね。

ただ、直接の比較はしていませんが、88℃のお湯で抽出したコーヒーのほうが美味しかったんじゃないかと思います。というのも、今回カッピングを行ってみて感じたのは、抽出時のお湯の温度によってコーヒーの味の抽出具合に大きく影響がでると改めて感じたためです。基本的に、お湯の温度が高いほうがコーヒー成分の抽出量が多く、逆に温度が低いと少なくなり、特に苦味は低温では出にくくなります。更に、今回使用したものは浅煎りのコーヒー豆なので、なおのこと苦味は少なくなります。

88℃と80℃では、88℃のほうがお湯の温度が高いため、コーヒー成分の抽出量も多くなり、単純に言うと味も濃くなります。80℃の方はそれよりも温度が低いので、味が薄くなって然るべきです。でも、どちらもモカ特有の香りはしっかりありました。であれば、より成分が多く味も濃いコーヒーであるほうが”美味しい”と表現するに相応しい気がします。

やたら回りくどいのは直接の比較をしていないからですが、私の感覚だけで言ってしまうと、88℃のお湯で抽出したコーヒーは4杯の中で一番華やかで味もあって美味しかった、これに尽きます。浅煎りのモカにおいて、香りが十分に発揮されつつ、コーヒーの味も抽出される温度帯が80℃〜90℃の間で、個人的には88℃が今の所オススメ、これです。

さいごに

今後は、味の比較をする場合はカッピングで検証するようにしていこうかなと思います。そのために、同じ容器を4つほど揃えておかなければなりませんが・・・。

コメントを残す


CAPTCHA