お湯の抜けが悪い浅煎りコーヒー豆でスムーズなドリップができるか検証する

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お湯の抜け具合をなんとかしたい

浅煎りのコーヒー豆を挽いて飲むようになってからずっと思っていたし、これまで何回も記事中で書いているのですが、浅煎りのコーヒー豆ってお湯を注いだときの抜け具合がすこぶる悪いんですよね。シナモン〜ミディアムローストくらいの浅煎りだと、フルシティロースト以上に焙煎したコーヒー豆と比較して、それはもうお湯がドリッパーに溜まります。ゆっくり注いでも、V60ドリッパーであってもそうです。

このお湯の抜けの悪さがなんとも心地悪く、浅煎りのコーヒー豆でドリップするのは体験としてあまり好きになれません。では、浅煎りのコーヒー豆でもお湯の抜けを良くする方法はあるのでしょうか。中深煎りほど抜けが良くならなくても、お湯がドリッパー内部にずっと留まってなんだか居心地が悪い気分を解消できたら、もう少し浅煎りコーヒーのハンドドリップを好きになれそうな気がします。

今回は、思いつくところで浅煎りコーヒー豆を使用したドリップのお湯の抜けを改善できないか、試してみたいと思います。

方法①:微粉を取り除く

まずは一番効果が期待できそうな、微粉を取り除くところを試していきましょう。コーヒー豆は、浅煎りのモカイルガチェフェのG1を使用します。

浅煎りのコーヒー豆

浅煎りのモカ。お湯の抜けに文句はありますが、コーヒーの味は好きです。

15g量り取って中挽きで挽いて、茶こしで篩って微粉を落とします。微粉を取り除いた後の重量は12gでした。あとはこのまま普通にV60ドリッパーで130mlのコーヒーをドリップします。蒸らして20秒待ったら、ドリップ開始。なるべく細くお湯を注ぎ続け、2分程で規定量を抽出していきます。

微粉を取り除いた浅煎りのコーヒー粉

微粉を取り除いたコーヒー粉。微粉がないとスッキリ整っていて、見ていて心地よいです。

ドリップ中の肝心なお湯の抜けですが、微粉を取り除いただけあってスルスル落ちる!・・・と思っていたのですが、お湯を注いでいくうちに、やはりドリッパー内部にお湯が抜けずに溜まっていってしまいました。微粉を取り除かないときに比べるとスムーズではありましたが、気持ちよくドリップできたとは言い難い結果になりました。

方法②:粗挽きにする

次は、素直に粗挽きにしてドリップします。浅煎りも深煎りも、通常はみるっこの10まであるダイヤルのうち6のダイヤルを利用して挽いていますが、ガツッとあげて9のダイヤルでコーヒー豆を挽きます。

粗挽きの浅煎りコーヒー粉

粗挽きのコーヒー豆。こう改めて見ると、微粉の有無って結構違いますね。

あとは①と同じ要領でドリップ。使用するコーヒー豆の量は、①で篩った後の重さと同じ12g使用します。お湯を注ぐと、やっぱりこちらも最初はスムーズに感じたのですが、徐々にお湯が溜まっていくようになってしまいました。

感覚的には、①よりもお湯の抜けが悪くなったように感じました。コーヒー粉の粗さよりも、微粉の有無のほうがお湯の抜けに影響しやすいということになるでしょうか。少々結果としては以外でした。

方法③:高温のお湯でドリップする

最後は、お湯の温度をいつもより上げてドリップしてみます。基本的にお湯の温度は88℃前後と決めているのですが、これを可能な限り上げて、沸騰直後のお湯を使用することにします。温度計で温度を測るとその時間でお湯が冷めてしまうので、温度は測らずにドリップします。

お湯がしっかりと沸いたら、コーヒーポットに入っているお湯を捨てて、すかさず沸騰したお湯を入れ、すぐに蒸らし用のお湯を中挽きのコーヒー粉に注ぎます。20秒ほど待ったら、いつもどおりにドリップ。130ml抽出できるまでお湯を注いでいきます。

こちらは、お湯の温度が高いこともあって、他のときと比べてアクがよく出てきました。また、他2パターンではアクの色は黄色に近かったのですが、今回は茶色がかっていて、いかにも熱によってコーヒー成分が炙り出されていそうな感じ。

ただやはり、お湯を注いでいくうちにお湯がだんだんと溜まってしまいます。気持ち少し早めにドリップしてしまったので正確ではありませんが、②のパターンと同等か、それよりも抜けが悪いと感じました。

久しぶりに複数パターンでコーヒーをドリップしてみたので、ついでに並べてコーヒーの色味の違いも見てみます。

試験管に入った3種類のコーヒー

左から、①→③の順番。③だけ明らかに色が濃いのが分かります。

ちなみにお湯の温度に気を遣う方はお察しかと思いますが、③のコーヒーが一番美味しくありませんでした。お湯の温度が高いと香りもイマイチですし、味も洗練されないですね。

感想・考察

以上、3パターンで浅煎りのモカを淹れ分けてみました。結果的にどれも良いとは言えませんでしたが、逆に言うと、今回とは違った視点で見たところに浅煎りコーヒーのお湯の抜けの悪さの原因があるということになるかと思います。

考えているのは、まず焙煎が浅いと、コーヒー豆内部の水分が残っていて、お湯を注いだときにお湯がコーヒー粉の内部まで浸透しないから、という点。かなり想像任せですが、基本的に浅煎りのほうが重量あたりの体積が低いので、深煎りのコーヒー豆は焙煎によってそれだけ何かが外に抜けていることになるので、それが何かと考えると水分というのが妥当に感じます。また、焙煎するとコーヒー豆が膨らむことから、細胞的にも隙間が生まれていると思うので、密度が低くなっていて、そこにお湯が入る余地があって、結果的にお湯はコーヒーの中を通って下に流れていくんじゃないかと考えています。うん、想像って楽しい。

もう一つ、深煎りのコーヒー豆はお湯を注ぐと膨らむ点がポイントではないかと考えています。お湯が注がれてガスが発生することで粉が持ち上げられて膨らんで隙間ができるため、お湯がスムーズに流れ落ちるのではないでしょうか。つまり、浅煎りのコーヒー豆のお湯の抜けが悪いのではなく、深煎りのコーヒー豆のお湯の抜けが早い、という解釈です。実際、深煎りのコーヒー豆を使用してコーヒーをドリップすると、真ん中に凹みができるので、やっぱりコーヒー粉の流動性が高いことで、浅煎りに比べてスムーズにドリップできるのだと思います。

ただそうなると、浅煎りのコーヒー豆でスムーズなドリップは諦めるしか無いのでしょうか。ハンドドリップだと自然落下に任せるしか無いため、極端に穴の大きいドリッパーを使用するなどしないと、これ以上の抽出スピードを発揮するのは難しいでしょう。・・・となると、圧力を加えて抽出するエアロプレスなんかが意外としっくり来るんじゃないでしょうか。なんかそんな気がしてきました。

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