溶かすだけなんて生ぬるい。バターでドリップする”本当のバターコーヒー”

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まだ冷めやらぬ?バターコーヒーブーム

コーヒーにグラスフェッドバターとMCTオイルを混ぜて飲む”バターコーヒー”が日本で一般的に話題に挙がるようになったのが2017年末〜2018年頃だと認識しているのですが、それから3年経った今でも新製品の話が目に入ります。自分も初めてバターコーヒーという単語を見た当時、バターコーヒーを作って飲んでみたりしたこともありましたが、少し続けてみても結局パフォーマンスが上がる感じはしなかったので、そのままフェードアウトする形で飲まなくなりました。

とまあ、バターコーヒーが美味しいとか体に良いとかは思わないのでまた飲んでみたいと言う気持ちは一切ないのですが、久しぶりにバターコーヒー関連の製品の情報をキャッチして、コーヒーに溶かすだけで簡単にバターコーヒーが作れる!といった売り文句を見たとき、”ヌルいな・・・”と思いました。よもやバターすら使わずして、バターコーヒーとはなんぞや?と思ったわけです。

そのとき、バターコーヒーを名乗るのであれば、むしろバターでドリップすべきだと思いました。水気のない、100%バターでドリップしたコーヒー。これこそまさに真にバターコーヒーと呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。そして、思いついたからには自分で試してみることにしました。

無塩バターでコーヒーをドリップする

と、威勢は良いもの、グラスフェッドバターは咄嗟に手に入るものではないので、普通にスーパーで手に入る無塩バターでコーヒーをドリップすることにします。コーヒー豆は、マンデリンのスペシャルティコーヒー豆を使用します。

無塩バターとコーヒー豆

バターとコーヒー。これから始まる奇跡のコラボレーションに期待が高まります。

本当はやる前に自らこんなことは言いたくは無いのですが、材料を沢山使用してバターコーヒーをドリップしても無駄になることが目に見えているので、バターは70g、コーヒー豆は10g程度の利用に抑えたいと思います。

コーヒー豆は中挽き程度に挽いて、バターは小鍋で溶かします。バターを焦がさないように注意しながら温めて、液状になってふつふつと温まったら火から下ろしてステンレスのミルクジャグに注ぎます。流石に溶かしたバターを愛用のコーヒーポッドに入れたくはないので、今回はミルクジャグを使用してドリップします。

ミルクジャグに入った溶かしバター

溶かしバターの入ったミルクジャグ。つまり今はバタージャグ。

あとはV60ドリッパーにろ紙を濡らさないままセットし、挽いたコーヒー豆を投入し、バターを注いでいきます。ドリップの手順は普段と変わらず、ちゃんと蒸らしてからドリップします。バターを注ぎきって、ドリッパーから落ちきったらバターコーヒーの抽出完了です。ただ、想定はしていましたが、お湯と違って断然お湯抜けならぬ”バター抜け”が悪いので、バターを注ぎきってからしばらく待つ羽目に。

バターを注いだV60ドリッパー

バターを注いだドリッパー。写真じゃ分かりませんが、バター臭くて胸が結構ムカつく感じがします・・・。

バターでドリップしているコーヒーが抽出されているところ

ポタポタとゆっくり滴下していきます。これが全人類待望?の真のバターコーヒーです。

10分経っても落ちきらないので、途中でドリッパーを外して飲んでみることにしました。写真の通り、お湯でドリップするときよりも断然コーヒーの色が薄いです。香りは・・・バターと、コーヒーの香りも一応します。この組み合わせは中々に気持ち悪くて、というかバターの匂いが強すぎて嗅ぐだけで気分が悪くなる感じがします。

そして味。意を決して一口、というか一舐め。無塩バターなのでもちろん塩味はなく、油100%といった感じ。そこにほんのりコーヒー風味。しかしお湯でコーヒーをドリップしたときと違って、コーヒーの味を感じられるということもなく、ただコーヒーの香りがするバターといった様相です。うん、普通に飲めたもんじゃないですね。不味い!

感想・考察

ここまで書いて気づきました。今回作り出したものはもしかして、バターコーヒーではなくて”コーヒーバター”だったのではないでしょうか。今回のような手法をバター加工時点で取り入れれば、お湯に溶かすだけでバターコーヒーができちゃう製品がつくれてしまうのでは無いでしょうか。・・・って、コーヒーに溶かすだけでバターコーヒーが作れる製品をヌルいとか言っといて結局同じようなことを言っちゃってますね。

今回発見があったとすれば、バターにコーヒーは意外と溶け出さないという点でしょうか。深煎りのマンデリンを用いてみましたが、ドリップされたバター(コーヒー)はだいぶ色が薄いものでした。少し温度が低め(80℃前後)というのもあったかもしれませんが、それでもお湯ならやっぱりもっと濃くドリップできるはずです。

水よりも油の方が成分が溶け出す余地が少ないということになるでしょうか。まあ、そうだと言われたらなんとなくそんな気がしますが、油分を含んでいる牛乳でコーヒーをドリップしたときはもっとしっかりコーヒー味になったので、少しモヤモヤします。なので牛乳の成分について調べてみたところ、8割は水分とのこと。なるほど、それならほとんど水だからコーヒー成分がちゃんと溶けていても不思議じゃありません。やっぱり油には外部からの成分が溶け出す余地が少ないということで良いのでしょうか。

ただここで更に疑問なのが、油に香りを移す調理法があることです。オリーブオイルににんにくの香りを移したり、スパイスカレーを作るときも、ホールスパイスの香りを油に移します。これらを踏まえるとやっぱり油には外部から成分を添加する余地があるような気がします。ただ、にんにくの場合もカレーのスパイスの場合も、あくまで香りを移しているという観点で見ると、バターにコーヒーの香りは移っていたので、まあやっぱり概ね油にできることはできたんじゃないかなという気持ちになりますが、料理の際は高温でしっかり香りを移すので、やっぱり今回はバターの温度が不足していた可能性もあるんじゃないかとか、ぐるぐるしてちょっとスッキリしない気分になっています。

今になってバターコーヒーにこんなにモヤモヤさせられるとは思ってもみませんでしたが、何も感じなかったうえにバターとコーヒー豆の無駄な消費、という結果にならなかったのでまだマシでしょうか。まあ今後、バターコーヒーを飲むことは無いなと思いました。

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