ステーキコーヒー味のポテチがあったので、ステーキを焼いてコーヒーと一緒に食べてみた

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謎のお菓子を見つける

少し前、近所にあるいつ行ってもどこかしらのコーナーがスカスカになっているセブンイレブンに寄ったところ、スナック菓子のコーナーに”ステーキ×コーヒー”などと意味不明なことが書かれたポテチが置いてありました。

その時はあまりの唐突さに咄嗟に反応ができず思わずスルーしてしまいましたが、店を出て歩きながら頭の中で振り返ってみると、だんだん食べてみたいという興味が湧いてきて、次の日には足がコンビニに向かっていて、気がついたら手にそのポテチを握っていました。

”おいしさの科学”と銘打たれたそのポテチのパッケージを改めて見てみると、どうやらステーキとコーヒーの科学的な相性の良さを再現したお菓子とのこと。お菓子の味はもちろん興味津々なのですが、実際にステーキとコーヒーを一緒に食べたときに本当に美味しく感じるのかという点も気になったので、それについてもポテチを味わうついでに一緒に確かめてみることにしました。

コーヒー×ステーキ味のポテチを食べる

まずは件のポテチについて色々と。正式名称は”おいしさの科学 ステーキ×コーヒー味”で、メーカーは”わさビーフ”でお馴染みの山芳製菓です。わさビーフ美味しいですよね。

ステーキ×コーヒー ポテトチップス パッケージ

ポテチのパッケージにステーキとコーヒーって書いてあったら、思わず見ちゃいますよね。

パッケージ表面には、味覚センサーで計測したコーヒーとステーキの五味(苦味、酸味、旨味、塩味、甘味)の構成比のレーダーチャートが描かれており、コーヒーとステーキは異なる味わいをもつということが分かります。それぞれ違う味わいを持っていて、一緒に食べることでそれぞれの不足している部分を補完できるため、理論的にはステーキとコーヒーの食べ合わせは美味しくなるということのようです。

ステーキ×コーヒー ポテトチップス レーダーチャート

相性を表したレーダーチャート。甘みだけは無いようです。

ちなみに、同じくパッケージ表面に小さめの字で”一般的なステーキとコーヒーの相性を測定しており、本品は測定していません”と書かれています。理論値的には美味しいはずだが、美味いかどうかは食って確かめてみろ、ということですね。分かりやすくてありがたいです。

さっそく食べてみることにします。開封してまず香りをクンクン。香り的にはコーヒーの雰囲気はなく、ビーフステーキ感のほうが強いです。

ステーキ×コーヒー ポテトチップス

見た目は普通のポテチです。

食べてみると、あれ?普通のビーフパウダー的な味わいのポテチです。おかしいぞと思いつつ何枚か食べ進めてみると、いました、コーヒー。正確にはコーヒーと言われないとただ苦いだけって感じなのですが、結構苦味はちゃんと感じられます。

ただ、コーヒーとステーキの味わいがマッチしているかと言われると、かなり微妙。変に苦いポテチってところが妥当な線でしょう。パッケージのレーダーチャートではコーヒーが酸味を補う風に描かれていましたが、実際の製品は酸味が足らないんじゃないでしょうか。このポテチ自体は相性測定していないということなので、本来の相性にたどり着けていない気がします。

ステーキを焼いてコーヒーと一緒に食べてみる

ポテチは微妙でしたが、実際のステーキとコーヒーの組み合わせが不味いと決まったわけではありません。カツオのたたきとマヨネーズを一緒に食べると美味しいと言いますし、何事も試してみないとわかりません。

ステーキとコーヒーの組み合わせが何となく美味しいのではないか、というレベルの話ではなく、科学的に美味しくなるはず、ということであれば、少なくとも不味くはならないはずです。それを確かめるため、次は実際にステーキを焼いて、ドリップしたてのコーヒーと一緒に味わってみたいと思います。

生の牛肉

ステーキ用の牛肉。ステーキ焼くのは久しぶりです。

和牛を買う余裕は無いので、肉はとりあえず安いやつを買ってきました。ウルグアイ産の放牧牛だそうです。肉は焼く前に冷蔵庫から出して常温に戻しておいて、塩コショウで味付けをして、強火で焼いて、アルミホイルでくるんで休ませておきます。

肉を休ませている間にやかんでお湯を沸かして、コーヒーをドリップします。今回はルワンダの中煎り程度のスペシャルティコーヒー豆を13g使用して、V60ドリッパーで130mlのコーヒーをドリップします。コーヒーがドリップできたら休ませていたステーキを食べやすい大きさに切って準備完了です。

ステーキとホットコーヒー

ステーキとコーヒー。紳士の食卓です。

ステーキは想定よりレア気味になりました。さっそく頂きます。まずはステーキを一口。うん、安くものでしたが、結構柔らかくて美味しいです。塩も強めに振ったので味は十分します。普段は鶏むね肉ばっかり食べているので、家で牛肉を食べたのは結構久しぶりな気がします。

そして牛が支配する口の中に、おもむろにコーヒーを流し込む・・・っ!

すると・・・、んん?特にマリアージュ的なものがない。肉を食べたあとにコーヒーを飲んだ、そのままの感じ。ただ、以外と口の中で喧嘩はせず、不味くなるということもありません。ステーキを食べて飲み込んだあとにコーヒー飲む、というスタイルで組み合わせてみると、肉っ気がさっぱりと流し込まれ、また次のステーキの一口がフレッシュな感じで食べられる、という具合で、その点は良い感じです。

肉がなくなるまで何度も口の中でコーヒーとあわせ続けてみましたが、やはりピンとくるものはありませんでした。不味くはないですが、取り立てて美味しいこともない。ステーキとコーヒーのフードペアリングはそんな具合です。

感想・考察

なんでしょう、これは・・・。おそらくステーキとコーヒー、それぞれ違うベクトルの五味を持っているので喧嘩しないぶん不味くはならない、といった具合なのだと思うのですが、五味を補完し合ったからといってそれが美味しいと感じるかはまた別であるという事なのかもしれません。

何が足りないか考えてみると、やはり”香り”かと思います。五味では表されませんが、香りというのも食事において非常に重要なファクターです。コーヒーなんかはもう香りが命と言っても過言ではないでしょう。五味だけではなく、香りも調和することで、初めてフードペアリングとして完成するんじゃないかと、今回ステーキとコーヒーを一緒に食べてみて思いました。味わいだけ保管すればよいのであれば、ステーキじゃなくて塩と味の素をコーヒーに突っ込めば良いということになりますからね。

ステーキは塩コショウでのみ味付けしたので、肉の焼けた香り以外には香りがありません。肉を焼いている最中はとても肉の香りが強く感じられますが、コーヒーと比べると肉の香りは大したこと無いので、その部分が弱かった気がします。まあ、肉の香りが強かったらそれこそ不味くなる気がしますが・・・。マトンとかでやったら結構ひどい具合になりそうな気がします。いや、ひょっとするとマトンの臭みがいい具合に消えて美味しいかも?

肉とコーヒーを一緒に食べるという発想は無かったので、視野を広げる意味では良い勉強になりました。こういった一見あり得無さそうな組み合わせについて、もう少し模索しても面白いかもしれないですね。

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