薄いコーヒー、濃いコーヒー。コーヒーと呼べる濃度の基準について

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  •  コーヒーの抽出
  •  コーヒーの濃度

コーヒーを淹れるときに使用するコーヒー豆の量とお湯の量は人それぞれ違います。それによってコーヒーの濃さも変わりますが、一体どのくらいの濃度までであればコーヒーと呼べるのでしょうか。

コーヒーと呼べる濃さの基準は?

ある人は10gのコーヒー豆で130mlのコーヒーを淹れるかもしれませんし、またある人は20gで130mlのコーヒーを淹れるかもしれません。コーヒーを淹れる濃度は人それぞれ、千差万別かと思いますが、個人的には薄すぎるコーヒーはコーヒーとは呼べないと思っています。極端な話をすると、10gのコーヒー豆で1000mlのコーヒーを淹れたら、それはもう”ただの苦いお湯”だというのは飲まなくても分かるでしょう。

人によって基準は様々ですが、必ずどこかにコーヒーとは呼べなくなる境目の濃度が存在するはずです。今回は、あくまで主観的になりますが、コーヒーと呼べるコーヒーの濃さは一体どのくらいなのか、という境目の部分について探ってみたいと思います。

コーヒーを淹れる条件

今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。

  • 使用したコーヒー豆:ブラジル タデウ パルプドナチュラル
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:10g
  • お湯の温度:約88℃
  • 蒸らし時間:20秒
  • 抽出量:120ml、140ml、180ml、200ml

コーヒーを淹れる条件を設定する

検証方法は、一定量のコーヒー豆に対し、お湯の量を徐々に増やして何杯かのコーヒーを抽出し、それぞれ飲み比べを行ってコーヒーの濃さを確かめるというシンプルなものです。コーヒー豆の使用量は、いつも通りの20gでは多すぎるので、大手コーヒー関連のメーカー等が提唱しているコーヒーの淹れ方を参考に、10gのコーヒー豆に対してお湯の量を変え、4杯のコーヒーを淹れて飲み比べることにしました。

分量は以下の3社がHPにて掲載しているコーヒーの淹れ方を参考にしつつ、120ml、140ml、180ml、200mlとしました。

なお、コーヒー豆とお湯の分量以外の要素は参考にしていません。淹れ方はあくまでいつもどおりで検証します。

4杯の濃度の異なるコーヒーを淹れて飲む

分量が決まったらコーヒーを淹れる準備です。4杯のコーヒーを淹れるので、カップを4つ準備します。

3つのタンブラーとコーヒーカップ

保温効果の高い真空二重構造のタンブラーは3つしか持っていないので、最後の1杯はコーヒーカップに注ぎます。ただ、今回の場合はあくまで濃度の確認であって味の比較をする必要が無いので、無理に同時に飲まなくても良いんですけどね。

カップ類を準備してお湯を沸かしたら、一番濃い120mlのコーヒーから順に淹れていきます。10gのコーヒー豆をきっちり量り取って、中挽き程度に挽いたらドリッパーに入れて、88℃にあわせたお湯を注いで蒸らして、細くお湯を注いで120mlのコーヒーを抽出します。抽出が終わったらタンブラーに注いですぐに次のコーヒーを淹れて・・・の繰り返しで、4杯のコーヒーを淹れました。

また、今回は濃度を比較するということで、コーヒーを少しだけ試験管にとって色味の違いも見てみます。

試験管に入った3種類のコーヒー

左から順にコーヒー豆10gに対して120ml、140ml、180mlの湯量で抽出したコーヒーです。120mlと140mlではそれほど色の濃さに違いはありませんが、180mlのコーヒーは明らかに色が薄いことが分かります。

試験管に入ったコーヒー

こちらは最も薄い200mlのコーヒー。試験管が3本しかなかったので、4杯のコーヒーを並べて見れませんでした。ちょっと失敗です。ですが、並べて見なくても明らかに色が薄いのが分かります。

試験管に入った4種類のコーヒー

写真を加工して4本ならべると、順当にお湯の量が多いほどコーヒーの色が薄くなっていることが分かります。

4杯のコーヒーを淹れ終わったら飲んでみます。まずは、コーヒー豆10gで120ml抽出したコーヒーから。口に含むと、苦味と酸味の程よい味わい。ですが、後味が弱く、普段コーヒー豆20gで130mlのコーヒーを淹れて飲んでいるので、すでに物足りない感じがします。でも十分にコーヒーと呼べる濃度です。

次に140mlのコーヒー。飲むと、120mlのコーヒーと比較してもそれほど薄くなく、あまり差は感じません。ただ、苦味がぼやけて感じ、コーヒーの濃度が低くなっているのが分かります。

3番目は180mlのコーヒー。120ml、140mlのコーヒーと比較して色味もだいぶ薄くなっていたので、味わいも結構薄くなっているはずです。飲むと、かろうじてコーヒーと言ったところでしょうか。苦味も酸味も香りも弱くなり、コーヒーの粘性も低くサラサラしています。

最後に200mlで抽出したコーヒーを飲みます。味はもちろん180mlのコーヒーよりも薄くなり、コーヒーというよりもお湯に近く、香りのある苦酸っぱいお湯といった印象です。ただ、コーヒーの要素を感じるので、ギリギリですがコーヒーと呼んでも良いラインかもしれません。コレを飲んだ後に120mlのコーヒーを飲むと、始めに飲んだときに物足りない感じだったのが、不思議な事に十分に濃いコーヒーのように感じます。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 10gの中挽きのコーヒー豆を使用してコーヒーを淹れるとき、コーヒーと呼べる濃度で抽出できる量は200mlまで

考察・感想

久しぶりにハンドドリップで、コーヒー豆20g、抽出量130ml以外の分量でコーヒーを淹れて飲みましたが、普段自分がどれだけ濃いコーヒーを飲んでいるのか改めて思い知りました。それと同時に、今後はもうちょっと薄めにしても良いかなとも思いました。

まず注意したいのが、今回はあくまでコーヒー豆10gを中挽きにした場合なので、コーヒー豆の量を増やしたり、コーヒー豆の挽き目を細くした場合は、抽出量が200ml以上であってもコーヒーと呼べる濃度でコーヒーを淹れることが出来る、という点です。まあ、言うまでもなく当たり前ですね。

飲み比べてみた感想としては、120ml、140mlなら十分にコーヒーと呼べる濃さですが、180ml以上になるとコーヒーと呼ぶには薄すぎると思いました。コーヒーとして薄いと感じた要素は、味や香りは勿論ですが、印象的だったのはコーヒーの粘度です。普段コーヒーを飲むときにはあまり意識していませんでしたが、ただのお湯とコーヒーとでは液体の粘度が違い、お湯はサラサラしていますが、コーヒーは少しねばついています。今回、4杯のコーヒーを飲み比べてみて、140mlまでのコーヒーは特にサラサラしていると感じませんでしたが、180ml以上のコーヒーは明らかにサラサラとしていて、粘度が低いことが分かりました。

少し調べてみると、焙煎後のコーヒー豆の成分の3〜4割は多糖類となっているようで(参考:全日本コーヒー協会「コーヒーの成分」)、これがコーヒーの粘性の正体なのでしょう。そして、多糖類はコーヒー豆の成分としては一番多くの割合を占めていて、言うなれば最もコーヒー豆の要素として感じやすいものです。最もコーヒー豆の要素として感じやすい多糖類と粘度がイコールと仮定すると、粘度を感じなくなるということは、最もコーヒーの要素として感じやすいはずの多糖類の部分を感じなくなるということで、それはつまりコーヒーの濃度がそれほどまでに薄くなっていると言って良いのかもしれません。

つまり、今回の検証の結果に当てはめて言うと、コーヒーの粘度が明らかに落ちた、コーヒーがサラサラしていると感じた時点でコーヒーとは呼べないという事です。あくまでコーヒーの粘性が多糖類のそれである、という場合ですが、このサラサラしているかどうかというのは、現時点ではコーヒーと”ただの苦いお湯”の境界線としては良いものさしになるのではないかなと思います。

さいごに

いつもより薄いコーヒーを飲みましたが、コーヒー豆10gで120mlならまあ良いかもしれません。コーヒーは濃く淹れたほうが美味しいのは間違いないとは思いますが、スペシャルティコーヒーもなかなか高いですからね・・・。少し薄めのコーヒーでもそれなりに満足できそうなら、コスト重視で普段より薄めにコーヒーを淹れてみるのもアリかもしれません。

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