ガラスの真空二重構造の水筒なら、コーヒーの味を変化させずに保温できる?

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ドリップしたてのコーヒーを保温しても味が変わらないかどうか確かめる検証3回目です。今回は前回の検証の反省を活かし、水筒の材質を変えたらどうなるかを確かめてみたいと思います。

前回の検証の反省点

ステンレスの真空二重構造の水筒で1時間保温したコーヒーを、淹れたてのコーヒーと飲み比べて味を比較するのが前回の検証方法でした。詳細は記事を参照していただくとして、結果だけ言うと、保温したコーヒーは嫌な匂いと酸味が感じられたことから、淹れたてコーヒーは保温しないほうが良いという結果に落ち着いたのですが、水筒自体の汚れや材質による影響ついてまでは確かめきれていませんでした。

今回は、水筒で保温したときに味に影響が出るのは、汚れや材質が原因であるかどうかの切り分けを行うために、ステンレスではない、ガラスの真空二重構造の新品の水筒を用意しました。これを使って、このテーマの検証の最終的な結論を出したいと思います。

コーヒーを淹れる条件

今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。

  • 使用したコーヒー豆:グァテマラ エスペランサ パカマラ
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約88℃
  • 蒸らし時間:20秒
  • 抽出量:130ml
  • 保温時間:1時間

真空二重構造のガラス水筒について

今回この検証のためだけに、ガラスで出来た真空二重構造の水筒を用意しました。ドイツのヘリオスというメーカーの、エレガンスという名前の水筒です。

helios[ヘリオス] 卓上用魔法瓶 エレガンス 250ml アイスブルー 544191

helios[ヘリオス] 卓上用魔法瓶 エレガンス 250ml ホワイト 154413

ガラスで出来た水筒なんて初めて使うので、まずは水筒を眺めるところから始めましょう。

プチプチで梱包されたヘリオス エレガンス

Amazonで購入しましたが、化粧箱には入っておらず、プチプチに包まれた荷姿での登場です。

ヘリオス エレガンス

プチプチを外すとこんな感じ。今回は250mlのものを購入しましたが、この他に500mlと750mlの大きさのものもあります。カラーも同じく数種類用意されています。

外装はプラスチックで重量もガラスなのに軽いので、かなり安っぽい印象です。おもちゃみたい。赤いシールが残らずキレイに剥がれたのは良いですね。

分解したヘリオス エレガンス

パーツは水筒本体、中蓋、コップになる外蓋の3つに別れます。コップ、中蓋ともプラスチック製で軽い。外蓋は軽くひねるだけで外れました。

本体の内部に取扱説明書が入っていたので読んでみると、どうやら中蓋は完全密封ではないので、横にしないようにとのこと。立てて持ち運ぶ分には問題ないと思いますが、ちょっと不安になります。

ヘリオス エレガンス 内部

そして肝心な内部構造。内部はソーダ石灰ガラスとなっているので、見ての通り透明です。

写真ではぼけていて分かりませんが、水筒の注ぎ口付近にはゴムパッキンがついています。これが取り外しできないようで、そこが少々マイナスポイントです。また、ガラスであるためか、容量の割にはサイズが大きい印象です。

水筒をしっかり洗ったら、いよいよコーヒーを淹れて保温してみたいと思います。

1時間保温したコーヒーとドリップしたてのコーヒーを飲み比べる

水筒の説明書によると、熱い飲み物や冷たい飲み物を入れるときは、予め中のガラス瓶にお湯(冷水)を注いで温めて(冷やして)おく必要があるとのこと。言わずもがなですが、事前にちゃんとお湯を注いでおきます。水筒の準備ができたら、まず1時間保温するためのコーヒーを淹れます。今回はグァテマラのナショナルウィナーのコーヒー豆を使用して、いつもどおり20gのコーヒー豆で130mlのコーヒーをドリップ。その後すぐにガラスの水筒のお湯を捨て、コーヒーを注ぎ、フタをして室温で1時間置いておきます。

45分程度経ったらお湯をまた沸かし始めて、もう一杯の飲み比べるためのコーヒーをドリップします。同じ様にドリップしたらコーヒーカップに注いで、飲み比べの準備完了です。

コーヒーカップに入ったコーヒー

果たして味に差は出るのでしょうか。いただきます。

飲む前に温度を確認します。ガラスの水筒で保温したコーヒーに温度計を差し込むと、58.3℃を示しました。2回目の検証のとき、タイガーの魔法瓶で1時間保温したコーヒーの温度は58℃だったので、ステンレスの魔法瓶と変わらない保温能力であることが分かります。正直、真空二重構造のガラス舐めていました。素晴らしいです。ちなみに、淹れたてのコーヒーは57.5℃。今日は特に寒いので、写真を撮っているうちにちょっと温度が下がってしまったようです。

まず、淹れたてのコーヒーを飲みます。味は、控えめながらも爽やかな酸味があり、深煎りの苦さと強いボディ、スパイシーな風味が広がります。飲んだ後は、黒糖のような甘さの余韻が強い。複雑で、品質の良いコーヒーだと分かります。

次に、1時間保温したコーヒーを飲みます。飲むと、何だか変な酸味が真っ先に感じられます。香りも少し変な感じ。淹れたてのコーヒーで感じられた爽やかな酸味感が失われており、不味いコーヒー独特なものに置き換えられているように感じられ、淹れたてのものと比べて明らかに美味しくないです。ただ、前回よりもだいぶマシになったように思います。これはやはりガラスの水筒だからでしょうか。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 淹れたてのコーヒーを1時間保温すると、味が劣化して美味しくなくなる
  • 真空二重構造のガラスの水筒の保温能力は、ステンレスの魔法瓶と同等で信頼できる

考察・感想

色々試しましたが、とりあえず結論はでました。やっぱり淹れたての、高温状態のコーヒーを保温しておくと味が劣化して美味しくなくなります。ガラスの水筒であればなんとかなるんじゃないかと期待していたのですが、残念です。

淹れたてのコーヒーを高温のまま保温しておくと味が劣化する理由ですが、前回か前々回の検証のときにも書いたので、ここでは詳しくは書きませんが、やっぱり酸化は温度が高いほど早く進むことに原因があるのかなと思います。これがある限り、コーヒーを温かいままで、かつ美味しいまま持ち運ぶのは無理でしょう。

そうなると、次に試すべきことは一つしかありません。そう、温かいコーヒーがだめなら、冷やして持ち運べば良いのです。酸化が原因ならば、冷して水筒に入れればコーヒーの味は変化しないはずです。ただこの場合にネックになるのは、コーヒーの冷やし方です。氷を敷き詰めたサーバーに直接ドリップするのが早いですが、できれば薄めずに冷やしたいんですよね。ずっと前にそれについて試していたときがありましたが、そのときの成果を今発揮するときが来たのかも知れません・・・。

結果については残念でしたが、今回をきっかけにガラスの真空二重構造の水筒を試すことが出来て、その実力もわかったのでその点についてはやって良かったと思いました。ちょっと安っぽくて、内部がガラスのなので衝撃に弱いなど欠点はありますが、前回、ステンレスの魔法瓶で保温したときと比較して味の変化も少なく感じたことから、やはりステンレスよりも匂移りなどは起こりにくいでしょうし、保温能力も同等なので、総合的にステンレスより優れているかもしれません。ただ現状、まともな真空二重構造の水筒は今回紹介したヘリオスの水筒くらししか見当たらなかったので、選択肢がほぼ存在しないのが難点です。需要もなさそうですし、製品が増えることもあまり期待できませんね・・・。

これにて淹れたてコーヒーの保温については終わりたいと思います。ただ、コーヒーを水筒に入れて持ち運んでいる人は多いと思いますし、どうやったら美味しいまま持ち運べるのか悩んでいる人もいるはずなので、コーヒーを美味しいまま持ち運ぶ方法についてはもう少し探っていきたいですね。何より自分自身のために。

さいごに

また検証したい項目と、水筒が増えてしまいました。水筒は適度に使ってきたいと思います。

温かいままのコーヒーを持ち運べないなら、いっそ会社とかにコーヒーのドリップセットを常備しておくのも一つの方法かもしれません。家でコーヒー豆を挽いていけばミルはいらないので、だいぶハードル下がりそうですし・・・なんてね(真顔)。

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