淹れたてのコーヒーを1時間水筒で保温すると、味はどう変化する?
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ドリップしたてのコーヒーを保温したものと、淹れたてのコーヒーを飲み比べる検証2回目です。今回は、前回の検証よりも保温時間を短縮して比較してみたいと思います。
前回の検証結果を振り返る
淹れたてのコーヒーをすぐに魔法瓶(真空二重構造の水筒)に保温し、3時間ほど経過した後、同じ条件でドリップした淹れたてのコーヒーと飲み比べるという検証を行いました。詳細については記事を見ていただくとして、結果だけで言うと、3時間魔法瓶で保温したコーヒーは淹れたてのコーヒーとはまったく別物で、飲めたもんじゃないくらい不味いコーヒーになってしまいました。
この結果を受けると、魔法瓶でコーヒーを保温して持ち歩くという選択肢はなくなるでしょう。ただ、どうしても淹れたてのコーヒーを会社に持っていきたい、せめて片道の時間だけ美味しさを保ってくれれば良い!とか、そういう場合もあると思います。ですので今回は、前回の3時間よりも時間を縮めて、1時間保温した場合のコーヒーの味の変化について検証をしてみたいと思います。
コーヒーを淹れる条件
今回淹れたコーヒーは、以下の条件のもと抽出しています。
- 使用したコーヒー豆:インドネシア マンデリン スペシャル
- 焙煎度:フレンチローストぐらい
- コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
- ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
- コーヒーポット:ユキワ M-5
- フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
- 秤:ハリオ ドリップスケール
- 豆の使用量:20g
- お湯の温度:約88℃
- 蒸らし時間:20秒
- 抽出量:130ml
- 保温時間:1時間4分
1時間おきで、2杯のコーヒーをドリップする
保温のために使用する水筒は、前回同様タイガーの魔法瓶「夢重力」シリーズです。
タイガー 水筒 350ml 直飲み ステンレス ミニ ボトル サハラ マグ 軽量 夢重力 ブラウン MMZ-A035-TV Tiger |
はじめに、保温するほうのコーヒーを淹れていきましょう。コーヒー豆は、インドネシアのマンデリンスペシャルを使用します。
油でテカテカになるまで焙煎されたマンデリン。使用量は20g。
中挽きで挽いたら、約88℃のお湯で130mlのコーヒーを抽出。抽出後はすぐに魔法瓶に注いでフタをして、そのまま室温で一時間経つまで待ちます。時間が近づいたら、飲み比べ用にもう1杯、コーヒーを淹れる準備をします。
ひと仕事終えたドリッパーは、1時間休憩。
1杯目のコーヒーを淹れてから一時間が経過するタイミングに合わせて、もう1杯コーヒーを淹れて、2杯のコーヒーが揃いました。
淹れたてのコーヒーと、1時間保温したコーヒーが入った魔法瓶。ほんの少し室温においてから温度を測ってみると、保温した方は58℃で、淹れたての方は57.5℃。魔法瓶の保温力が優れているのが分かります。
前回は温度が一緒になるまで少し待ちましたが、今回はほぼ一緒の温度だったので、すぐに飲み比べます。
淹れたてのコーヒーと1時間保温したコーヒーを飲み比べる
飲み比べです。飲み比べ時点で、最初のコーヒーが魔法瓶に注がれてから1時間と4分経過していました。まず、魔法瓶で保温していたコーヒーから。飲むと、にっがい。結構深煎りのコーヒー豆なので、苦味が特に強いです。コクと甘みがあり、マンデリン独特の香りがあります。でもなんだか違和感も感じます。
次に、淹れたてのコーヒーを。同じコーヒー豆なので、味のベースははもちろん一緒ですが、こちらのほうがクリアな味わいに感じます。違和感の正体を確かめるべく、もう一度保温していたコーヒーを飲む。すると、明らかに違いを感じます。保温していたコーヒーのほうが、異臭がするというか、くさい。そして、後味に変な酸味が残ります。何度も交互に飲み比べてみましたが、やっぱり保温していたほうが不味いです。
ちょっと面白いとおもったのが、飲み進めるほど不味くなるところ。味が沈殿しているからでしょうか、量が少なくなるほど臭みや嫌な酸味が強くなります。一方、淹れたてのコーヒーは常にクリアで後味も嫌な酸味がありませんでした。
今回の結果
今回の結果をまとめると、以下のようになります。
- コーヒーを魔法瓶で1時間保温して、淹れたての同じ温度のコーヒーと飲み比べると、保温していたコーヒーは不味く感じる
考察・感想
保温したコーヒーが不味いとハッキリ分かったのは良いのですが、同時に、コーヒーは保温しないほうが良いという結論にもなります。これは、自宅で淹れたコーヒーを外に持ち運んでも美味しいまま飲めないということなので、あまり嬉しい結果ではありません。個人的には、1時間くらいなら美味しいコーヒーのままであって欲しかったです。
この結果について、原因から考えたいと思います。まず、保温していたコーヒーは、淹れたてコーヒーと比べていやな匂いがして、後味に嫌な酸味がありました。酸味についてはいわゆる酸化によるものなのかと思うのですが、匂いはどうでしょうか。前回の検証の結果を読み返すと、そのときには匂いについては言及されていませんでした。当時の自分が書き忘れていただけかもしれませんが、この点を考慮すると、この”匂い”における部分は、単純に個体差の問題、つまり魔法瓶が汚れていたとか、そういう要因も充分に考えられる気がします。
今回使用した魔法瓶は、普段からよく使用しています。でも、手入れは欠かしていません。ただ、食器用洗剤で洗っているだけで、数ヶ月に一度、漬け込んで洗うなど、手の混んだ手入れをしていないのも事実です。モノは使用すれば劣化しますし、しょっちゅうコーヒーを入れている水筒なら匂いも付着するでしょう。それがコーヒーを飲むときに混じって、強い違和感になった可能性も充分考えられます。
なので、徹底的に手入れをしていれば、1時間程度の保温では匂いについては気にならない可能性はあります。しかし、毎日使うものを、全く匂いを付着させていない状態に保つのは難しいでしょう。そう考えると、ある程度匂いが混じるのは、水筒の宿命のようにも思います。
ただ、匂いの問題については場合によってはクリアされるかもしれませんが、味については難しいと思います。今回、1時間保温したコーヒーの方は、淹れたてのコーヒーにはない、嫌な酸味を感じる結果になりました。水筒の材質や手入れ状況、前回の結果含めて考慮すると、これは汚れが付着していたとかそういった類の理由で起こったものではないと考えています。やっぱり、高温の状態でコーヒーを保温すると、酸化が早く進んでしまうのでしょう。
そうなると、水筒にコーヒーを淹れて持ち運びたい人はどうすれば良いのでしょうか。私の場合は、水筒にコーヒーを入れても10分後には飲みはじめているので、味わいの劣化を明らかに感じたことはないのですが、そういった例は稀でしょう。今回の結果を踏まえると、長時間コーヒーを持ち運びたい人が取るべき選択は、あえて保温性のない水筒に入れて持ち運び、温かいコーヒーを飲むことを諦めるしかないように感じます。もしくはアイスコーヒーにして持ち運んで、飲むときに温めるとか・・・?
ただ、まだ諦めてはいません。というのも、材質を変更した場合に同じ結果になるのかをまだ確認していないからです。魔法瓶ステンレスですが、そのステンレスが結果に影響を及ぼしている可能性も十分に考えられます。なので、これを別なものにしたときに同じ結果になるのか、それを見て最終的な判断をしたいと思います。
さいごに
保温1時間くらいなら大丈夫でしょ、と思っていましたが、そんなことはなくて残念です。ただ、まだ目はあります。個人的にも長く、美味しい状態を保って保温できるに越したことはありませんので、考えうる最後の可能性に期待したいですね。