コーヒーの蒸らし時間による味の変化について その3

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コーヒーの蒸らし時間と味の変化について

コーヒー豆の蒸らしに最適な時間について、久しぶりに検証してみたいと思います。

はじめに

コーヒーの蒸らし時間の検証については前回となる2回目の検証からは1年以上が経過しました。1回目、2回目と蒸らし時間の幅を狭めて飲み比べを行い、蒸らさない、もしくは蒸らしすぎは良くないことは頭に残っていましたが、実際に最適な蒸らし時間についてはまだ突き詰めていられなかったので、今回はそこを見ていけたら良いなと思います。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:エチオピア モカ イルガチェフェ G1 ナチュラル
  • 焙煎度:シティローストぐらい(自家焙煎)
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約88℃
  • 蒸らし時間:なし・20秒・40秒
  • 抽出量:130cc

使用するコーヒー豆

今回は自宅で手網で焙煎したコーヒー豆を使用します。種類はエチオピアのモカイルガチェフェ。浅煎りめ。

エチオピア モカ イルガチェフェ 自家焙煎

煎りムラがあるので参考用写真を貼っておきます。写真で見ると悲しいほどムラッムラですね。

モカは香りは良いですが味が濃いタイプではないので、蒸らし時間の長さによってコーヒー抽出後の味わいに顕著に差が出るかとの思ってのチョイスですが・・・。逆に分かりにくいかな?飲み比べをしてからのお楽しみです。

3パターンのコーヒーを淹れる

さっそくコーヒーを淹れます。今回は3パターン、蒸らしなし・20秒・40秒の蒸らし時間でそれぞれコーヒーを淹れて、飲み比べを行います。蒸らし時間の数え始めは、ドリッパーにお湯を静かに注いでいって、サーバーにコーヒーが1滴落ちてから20秒、40秒とします。蒸らし無しのときは最初から抽出する勢いで。ちなみに今回使用したハリオのV60ドリッパーでは、20gのコーヒー豆に対して15cc程度のお湯を注いだ時点でコーヒーが落ちてきました。

蒸らしなし、20秒の蒸らし、40秒の蒸らしの順でコーヒーを淹れていきます。お湯の温度はどのパターンでも88℃を目安に調整しつつ、淹れて、淹れて、淹れて。それぞれのコーヒーの色味を見るために、少しだけ残して試験管にとっておきます。

コーヒーの蒸らし時間の違いと色の違い

左から蒸らしなし、20秒蒸らし、40秒蒸らしのコーヒー。蒸らしナシは明らかに色が薄いですね。

コーヒーの蒸らし時間と色の違い ライトアップ

後ろから光を当てて見ます。20秒蒸らしと40秒蒸らしのコーヒーの色に差はないように見えます。

コーヒーを飲みくらべる

3杯をなるべく手早く淹れたら飲み比べです。淹れた順に、まずは蒸らしを行わなかったコーヒーから。飲むと、モカ特有の華やかな香り。そして結構強めの酸味。苦味はなく、モカの特徴はしっかり感じます。

次に20秒蒸らしを行ったコーヒー。こちらもしっかりモカらしさを感じつつ、酸味は蒸らしを行わなかったコーヒー控えめ。何となくこちらのほうが口当たりがまろやかに感じます。

最後に40秒の蒸らしを行ったコーヒー。20秒の蒸らしを行ったコーヒーの後に飲むと、そんなに違いを感じない。交互に飲んでもうーん、何となく苦味が出ているような気がするけれど、もともと苦味が少ないから分かりにくい。しかし、このあと蒸らしを行っていないコーヒーを飲むと、蒸らしなしのコーヒーは味が薄く、酸味が強く感じられました。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • コーヒーの蒸らしを行わないと、コーヒーの味が薄く抽出される
  • コーヒーの蒸らしを行わないと、酸味が強く感じられるコーヒーになる

考察・感想

再確認出来たこともありますが、決定打に欠けているような気がします。まず、今回も念のために蒸らしなしでコーヒーを淹れて飲んでみましたが、やはりコーヒーの蒸らしを行わないという選択肢は無いと思いました。ただ、今回の場合は前回の検証とは違い、蒸らし無しでもモカ特有の個性は感じ取ることが出来たので、蒸らさないとコーヒー豆の個性が出ない、ということではなく、バランスが悪いという意味です。

蒸らしを行わなかったコーヒーは、蒸らしを行っていなくてもモカの華やかな香りは感じ取れましたが、酸味が少々キツく、苦味がもう少しあっても良いと思いました。しかし、20秒・40秒蒸らしたコーヒーはモカの特徴は残しつつ、口当たりは優しくなっており、とても飲みやすくなっていました。この原因としては、それぞれのコーヒーの色味を見たところ蒸らしを行っていないコーヒーの色は明らかに薄いことから、蒸らしを行うことで酸味が弱くなったのではなく、他の成分、この場合は苦味や甘みが抽出されるようになりバランスが良くなった事で飲みやすくなったのだと考えています。

そうなると、酸味はお湯を注いですぐ溶け出す成分で、苦味や甘みについては抽出されにくい成分だということが考えられます。コーヒーは酸味だけで成り立っている飲み物ではありませんし、苦味や甘みもコーヒー独自の物があるはずです。そう考えると、蒸らしを行わないで淹れたコーヒーはコーヒーの上辺だけしか味わうことが出来ていないという事になります。コーヒー豆の持つ個性を髄まで味わうためには、蒸らしはやはり欠かせない手順と言えるでしょう。

ただ、できれば蒸らし無しのコーヒーの味わいの事よりも、20秒の蒸らしと40秒の蒸らしでそれぞれ差が出てほしかったというのが本音です。これらについては正直ハッキリとした差を感じることは無く、気持ち40秒の蒸らしを行ったコーヒーのほうが苦く感じたと言った程度でした。この場合、見方にもよっては20秒の蒸らしで十分にコーヒーの味わいを引き出すことが出来るとも言えますし、40秒、言い換えると無駄に長く蒸らしても対して味わいを引き出す事は出来ないとも言えます。ここから言えるのは、蒸らしの効果は蒸らした時間に比例するものではなく、最初の20秒以内にほとんど済んでいるということです。そうなると、無駄に何十秒も蒸らしを行う必要もなく、20秒蒸らしておけば十分、と言えるのかもしれません。

ただ色々と難しいのが、今回は酸味強めのコーヒー豆だったので、これが苦味強めのコーヒーだった場合どうなるか、というところです。コレについては前回の結果から、蒸らし時間が長くなれば苦味が強くなる、という風になるのかとは思うのですが、今回の結果を受けた今、改めて確認してみたい気持ちがあります。

さいごに

謎は深まりましたが、20秒、とりあえず20秒蒸らせば何とか美味しいコーヒーは飲めるのではないかと思います。・・・とは言いつつ、たった20秒でいろんな物が変わるのも不思議でイマイチ納得していない部分も無きにしもあらず。でも体感したことだしなあ、とも思いつつ。なかなか一筋縄では行きませんね。

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