シルバースキンを取り除くとコーヒーの味は変わる?

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電動のミルでコーヒー豆を挽くと、薄皮(チャフ)が静電気でミルの排出口や挽いたコーヒー豆を受ける受け皿に飛び散りますよね。この薄皮をシルバースキンと呼びますが、これを完全に取り除いた場合コーヒーの味はどうなるのか、というところを探ってみたいと思います。

はじめに

焙煎されたコーヒー豆は一見薄皮、シルバースキンには包まれていないように見えます。それは正解のようで不正解で、実はシルバースキンはコーヒー豆の外側だけではなく内部にも存在しています。焙煎されたコーヒー豆の真ん中に白くなっている部分がありますが、これがシルバースキンの残りで、コーヒー豆を割ると中にまでシルバースキンが入り込んでいるのです。

これまでは、シルバースキンをまったく取り除かない、もしくはコーヒー豆を挽いた後に軽く息を吹きかけて見える範囲だけシルバースキンを取り除いていましたが、どうやらこのシルバースキンの有無によってコーヒーの味わいが結構変わってくるという話を聞いたので、今回はその検証を行いたいと思います。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:イルガチェフェ ミリアムG1
  • 焙煎度:シティローストぐらい(自家焙煎)
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:ハリオ V60透過ドリッパー01(ガラス)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:ハリオ V60ペーパーフィルター01W(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約88℃
  • 蒸らし時間:20秒
  • 抽出量:130cc

シルバースキンのチェック

まず、実際にコーヒー豆を砕いて中のシルバースキンを確認します。コーヒー豆を2つぶ取り出して、片方をグッと潰します。

砕いたコーヒー豆

砕くとこんな感じ。わかり辛いかもしれませんが、コーヒー豆の状態では見えていなかったシルバースキンが見て取れます。

シルバースキンがコーヒー豆の内部に内包されていることが確認できたので、今度は20gのコーヒー豆を量り取って、全てのコーヒー豆からシルバースキンを取り除く作業をしていきます。

シルバースキンを取り除く

コーヒー豆は少々力が要りますが手でも十分砕けるようだったので、手でガツガツ砕きます。パキッと音がしたら半分に割って、上手いことシルバースキンだけ取り出してコーヒー豆と選り分けます。ところどころ硬いコーヒー豆もあり、切ったばかりの短い爪を使いながらひたすら砕く。3分の2程度をなんとか砕いたところでツメが痛くなり、赤くなって血が滲んできそうだったので、近くにあったピンセットを使用して更に砕いていきます。20gのコーヒー豆を砕いてシルバースキンを取り除くまで、およそ1時間ほどかかってしまいました。

シルバースキンを除去したコーヒー豆

砕き終わったコーヒー豆と選り分けたシルバースキンがこちら。見た目に反してすごい労力を要しました。

ようやく準備が終わったので、もう20gのコーヒー豆を量り取って、シルバースキンを取り除いたコーヒー豆と飲み比べの為にコーヒーを淹れていきます。

コーヒーを淹れて飲む

挽いたコーヒー豆

これはシルバースキンを取り除いていない状態でコーヒー豆を挽いた状態です。コーヒー豆を挽くときに発生する静電気で、シルバースキンがカップの周りに付着しています。普段ならこれは指でなぞって取り除いてしまうのですが、今回は飲み比べなのであえて除去しません。このコーヒー豆を使用して、普通に130ccのコーヒーを淹れます。

次にシルバースキンを除去したコーヒー豆でもう一杯。砕いた物を更にミルで中挽きにして、同じようにコーヒーを淹れます。2杯のコーヒーを淹れ終えたら飲み比べ。

まずは通常のコーヒーから。味はおもったより苦味があり、かつ酸味も十分。モカらしい華やかな感じはありますが、少々弱い感じもします。華やかさよりもパンチが強いほうが勝っていて、刺激強めのコーヒーとなっていました。

次に、1時間もかけて丁寧にシルバースキンを除去したコーヒー豆で淹れたコーヒー。飲むと、味わいは同様ですが、こちらはかなりクリアな飲みくち。含んだあとの渋味のような物が少なく、かなりパンチが抑えられています。飲みやすく、シルバースキンを除去していないコーヒーと比べると、若干物足りないくらいです。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • シルバースキンを取り除いたコーヒー豆で淹れたコーヒーは渋味が少なくクリアな味わいになる
  • シルバースキンを素手で取り除くのはやめよう

考察・感想

今回の検証は手を痛めた甲斐がありました。予想よりもハッキリとした違いが出たので非常に嬉しいです。

まず、シルバースキンを取り除かなかったコーヒーは、刺々しく、かなり刺激が強いコーヒーとなっていました。特に渋味が強く、モカにイメージする優雅で華やかな感じではありませんでした。これはまあ、品質がどうこうという物の他に、私が濃く淹れすぎているせいも多少はあるかもしれませんが・・・。それに対して、シルバースキンを取り除いたコーヒーは、全体的な味わいの特徴は同じでしたが、目立っていた余計な渋味がかなり抑えられ、スッキリとしたコーヒーに仕上がりました。

この結果から、シルバースキンは雑味や渋味といった負の部分を多く持っているということが考えられます。つまり、一言で言うとスッキリとした、クリアなコーヒーを飲むためには邪魔な要素だということです。ですが、それが悪かと言われると少々考えるところがあります。というのも、シルバースキンもコーヒー豆の一部で、いうなればコーヒー豆の個性の一部です。それを取り除いてしまうのは、ある種のコーヒー豆本来の持ち味をこちらの都合で捻じ曲げているともいえます。昨今の浅煎りで品質の良いスペシャルティコーヒーを楽しむというコーヒー文化には適合しない・反しているのではないか、と思うわけです。シルバースキンを取り除いたコーヒーの味わいは大きく異なりクリアになりましたが、反して物足りなさを感じたのも事実です。

また、シルバースキンを取り除くのはかなり骨が折れます。まあ今回は少々原始的というか、頭の悪い方法で作業をしたせいもありますが、もっと簡単に短時間でシルバースキンをほとんど除去出来るような方法を見つけない限りは、どのみち実用性は無いでしょう。この課題をクリアして初めて、シルバースキンを取り除くか否かを議論するところにたどり着けるでしょう。

今回の結論としてまとめると、シルバースキンの有無はコーヒーの味わいに大きく影響を与えますが、それが良いとは言い切れない、といったところです。結局のところ個人の好みやその日の気分など、シルバースキンの有無というよりはその時々にどんなコーヒーを飲みたいのか、という要因が大きいと思います。

ただ、シルバースキンを取り除いたコーヒーを試す価値は確実にあります。飲んだことがない人がいれば、是非一度試してみて頂きたいですね。できれば手でコーヒー豆を砕く方法以外で。

さいごに

今後コーヒーを飲むときにシルバースキンを取り除くかどうかは迷いますが、少なくとも効率よく取り除く方法は検証しておいて損はないと思っています。シルバースキンをコントロールできれば、また一層コーヒーの楽しみ方も幅が出てきそうですね。

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