コーヒーカップの材質によって保温時間は変わる? その1
- 抽出器具
- コーヒーカップの保温時間
冬にぴったりの体温めるコーヒーということでコーヒーと食材の組み合わせをいくつか試してきましたが、今回は保温性という観点で検証してみることにします。
はじめに
体を温めるスパイスや果物をコーヒーに混ぜて、寒い冬にぴったりなコーヒーを数回にかけて検証してきましたが、判定の基準が体が温まるかという主観であること、また体温という部分で、起床時間や摂取した食べ物など、その他の条件にバラつきがあるため、本当にコーヒーの効果で体が温まったのか、という点について疑問が残るということをピーチコーヒーのところで書きました。テレビ番組みたいにサーモグラフィーでもあればもうちょっと正確なデータとして取れるかもしれませんが、個人にそんなものを用意する力もありません。
いろいろ考えた結果、今回は数字で出る部分で検証することにしました。混ぜ物ネタもストックがもう無くn・・・そこで着目したのが、コーヒー自体の温度です。コーヒー自体に体温を上げる効果はなく、むしろ下げるらしいのですが(サラッと重要な事を言う)、温かい液体を体内に摂取したその瞬間は、体温が上昇するはずです。つまり、冬に飲むコーヒーは、コーヒーの温度の違いによる味の変化を楽しむと言う観点を無視すれば、なるべく温かい方が良いはずです。そして、その温かさを左右するのは、抽出時のお湯の温度はもちろん、コーヒーをいれるカップです。
お湯の温度については、常に沸騰しているお湯を使用して最高温度でいれるようにしているので問題はありません。ですので、カップによる保温性の違いを検証しようという考えに至りました。それでは検証スタートです。
条件
今回の検証は以下の条件下で行いました。
- 使用したコーヒー豆:ブルンジ ブルボン
- 焙煎度:シティローストぐらい
- コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
- ドリッパー:カリタ 101ロトブラウン(陶器)
- フィルター:カリタ 珈琲屋さんのコーヒーフィルター101(白)
- 温度計:Habor クッキング温度計
- 秤:ハリオ ドリップスケール
- 豆の使用量:20g
- お湯の温度:94℃
- 抽出量:120cc
- 室温:21.6℃
陶器製コーヒーカップの場合
まずは普段使用している、陶器のコーヒーカップの保温性について検証します。メーカーなどは不明、雑貨屋で購入した一点物です。
検証方法としては、まず、使用する温度計で室温を確認します。温度計のブレが治るまで待って、記録した室温が21.6℃です。次に普通にコーヒーを入れます。これは蒸らしから始まっておよそ2分程度で完了し、必要量のコーヒーが抽出されたらお湯で保温していたカップのお湯を捨てて、そこにコーヒーを入れて、温度計を入れます。温度計の温度のブレが止まった部分で記録、一口飲んで体感の熱さを確認、ストップウォッチで計測スタート。そこから5分刻みで温度と体感を記録し、30分で計測終了としました。
結果には、体感の基準は数値で以下のように記述します。各値の間(3.5とか)もあります。
- 熱い:4
- ちょうど良い:3
- ぬるい:2
- 冷たい:1
絵面はこんな感じ。30分の間、ひたすら待ちぼうけです。結果は以下の通り。
経過時間 | 温度計の温度 | 体感 |
---|---|---|
0:00 | 66.6℃ | 4 |
5:00 | 57.1℃ | 3 |
10:00 | 50.2℃ | 3 |
15:00 | 44.8℃ | 2 |
20:00 | 40.3℃ | 2 |
25:00 | 36.7℃ | 2 |
30:00 | 33.6℃ | 1 |
ガラス製コーヒーカップの場合
次にガラス製のコーヒーカップです。メーカーはKINTO。120ccを入れるにしては大きめで、300とか400ccは入る大きさです。
結果は以下のとおり。
経過時間 | 温度計の温度 | 体感 |
---|---|---|
0:00 | 66.8℃ | 4 |
5:00 | 55.4℃ | 3 |
10:00 | 48.3℃ | 2.5 |
15:00 | 43.2℃ | 2 |
20:00 | 39.3℃ | 2 |
25:00 | 36.1℃ | 1.5 |
30:00 | 33.3℃ | 1 |
真空断熱タンブラーの場合
最後はコーヒーカップではありませんが、真空断熱タンブラー。外に持っていく人はお世話になっているはず。メーカーはサーモス。検証のために購入しました。容量が420ccのものが一番安かったので大きいと分かっていてこれにしましたが、うーん大きい。
品質で考えれば、一番保温性が高いはずですが・・・どうでしょうか。結果は以下のとおりです。
経過時間 | 温度計の温度 | 体感 |
---|---|---|
0:00 | 68.6℃ | 4 |
5:00 | 63.5℃ | 3.5 |
10:00 | 58.7℃ | 3 |
15:00 | 54.6℃ | 3 |
20:00 | 51.1℃ | 2.5 |
25:00 | 48.2℃ | 2.5 |
30:00 | 45.7℃ | 2 |
感想など
以外と思うところもあり、想像通りというところもあり、です。
まず、陶器のコーヒーカップとガラスのコーヒーカップについてですが、両方とも時間経過による温度の低下がほぼ一緒という結果となりました。陶器とガラス、それぞれの材質や厚さを考えるとガラス製のコーヒーカップの方がより温度低下が激しいものと思っていましたが、そうではなかったようです。KINTOはコーヒー用品を数多く世に送り出しているメーカーですので、保温性が考えられた製品であったということも十分に考えられるため、ガラスと陶器の保温性能は同一であるとは一概には言えませんが、ガラスのカップが好きで保温性も維持したい人は、KINTOのカップが良いかもしれません。この記事の後に売り上げが上がったらKINTOからマージンもらわなきゃ。
そしてやはりと言うか、真空断熱タンブラーは保温性が違いました。30分経過の時点で陶器、ガラスよりも12℃も高い温度を維持しており、25分経過の時点でもちょうど良い飲み頃の温度でした。ただ、タンブラーは他と違って縦に長いので、その形状も保温に一役買ったのかもしれません。そして、カップではないので、コーヒーを飲むという「体験」の部分で他よりも劣ります。飲み口という意味でも見た目という意味でも。
コーヒーだけではなく、飲み物を飲むという行為については、かならずその液体を入れた容器も味わいに起因します。うすはりのグラスで冷たいものやお酒を飲めば清涼感が違うでしょうし、厚手の陶器で温かいものを飲めば、より柔らかい飲み口に感じられるかもしれません。そういう視点で言えば、真空断熱タンブラーは無しかなあ、とは思います。ただ、会社に持っていきたいとかそういう場合は選択肢が他にないので良いと思いますが、家でゆっくり飲むときは、普通にコーヒーカップで飲めば良いと思います。
本来の目的を忘れて、主観的な事ばかりを書いてしまいました。冬にコーヒーを暖かく飲むためのカップという観点で言えば断然、真空断熱タンブラーがオススメでしょう。カップではありませんが。
さいごに
今回は材質以外の統一性があまり取れていなかったので、そのうちもう一度試したいですね。真空断熱タンブラーでカップ状のものを探して、できれば他のカップの容量も近づけて、かつ種類を増やして。もっと足を伸ばして、持ち運び用のタンブラーの検証もしてみるのも悪くないかもしれません。コーヒー専用を謳うものもありますし。
コーヒー党の方々の、寒い冬の温かいコーヒーライフの参考になればと思います。
今回使用したもの