美味しいコーヒーを淹れられるか。「ビアレッティ ブリッカ」レビュー

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新しいコーヒー器具「ビアレッティ ブリッカ」を購入したので、開封から手入れまで、使用感をレビューしていきたいと思います。

「ビアレッティ ブリッカ」を購入したワケ

今回購入したのは、お馴染みビアレッティの”ブリッカ"とよばれるマキネッタです。このブリッカは、特殊なバルブを内蔵することで、ビアレッティのスタンダードなマキネッタである”モカエキスプレス”よりも抽出されたコーヒーにクレマができやすくなっています。つまり、より美味しく淹れられるってことですね。

マキネッタ自体は、もうすでに同じくビアレッティの販売する小さいマキネッタ”ミニエキスプレス”を所持しているのですが、こちらは文字通りミニサイズなので、一度にエスプレッソカップ2杯分しか淹れることが出来ません。最近キャンプに行くようになり、外で手軽に美味しいコーヒーを、それなりの量を一度に淹れることができる器具が欲しいと思ったので、今回ビアレッティのブリッカを購入してみました。

マキネッタについて

本題に入る前に、少しマキネッタについて触れておこうかと思います。マキネッタは、簡単に言うと直火式のエスプレッソメーカーです。ビアレッティの製品が主流で、マキネッタ=ビアレッティのモカエキスプレスと言っても過言ではありません。

マキネッタでコーヒーを淹れるのは非常に簡単で、タンクに水を入れ、バスケットに細挽きのコーヒー豆を詰めたら火にかけるだけ。タンク内部の水が水蒸気になることで圧力が発生し、その圧力を利用してコーヒーを抽出します。圧力をかけてコーヒーを淹れる、というあたりが直火式エスプレッソメーカーと言われる所以でしょうか。

ただし、圧力の強さはエスプレッソマシンには及びません。そのため、直火式エスプレッソメーカーと言いつつも、マキネッタで淹れられるコーヒーはエスプレッソではなく、モカコーヒーと呼ばれます。エスプレッソには及びませんが、モカコーヒーは通常のハンドドリップで淹れるコーヒーとも違い、濃厚で力強い味わいのコーヒーです。

一言で言うならば、エスプレッソともハンドドリップコーヒーとも違う、その中間というべきモカコーヒーを淹れる事ができるのがマキネッタである、という感じです。

「ビアレッティ ブリッカ」を開けてチェックしてみる

ビアレッティ ブリッカ 外箱

それでは、ブリッカの箱を開けて中身を見てみましょう。ちなみに今回は4杯用のサイズ(一度の抽出量150ml)を購入しました。

ビアレッティ 直火式エスプレッソメーカー ブリッカ 4カップ 6184

ビアレッティ ブリッカ 開封

箱を開けると、袋に包まれた本体と、数カ国後で同じことが書かれた説明書、日本向けの輸入代理店が作成したようなペラ1の説明書が入っていました。

ビアレッティ ブリッカ 本体

本体を袋から取り出したところ。ビアレッティではお馴染みの、高く天を指すおじさんのロゴマークが目を引きます。下部のタンクが丸みを帯びていることで、モカエキスプレスとは違い全体のフォルムが丸い感じに捉えられます。

ビアレッティ ブリッカ 分解

使用前に軽く洗っておきたいので、一旦パーツごとに分解します。全体的なパーツ構成はほとんどミニエキスプレスと一緒で、下部の水を入れるタンク(左上)、コーヒー粉を詰める漏斗状のバスケット(左下)、フィルターとゴムパッキン(中央下、右下)、コーヒーが抽出される上部タンク(中央上)と内部のバルブのフタ?(右上)に分解することが出来ました。

ビアレッティ ブリッカ 上部タンク内部

圧力によって抽出されたコーヒーが貯まる上部のタンクの内部には「H2O」という文字。これは使用する水量を測るためのもので、このH2Oと記載された位置まで注いだ水量が、一度の抽出で使用できる水量になります。

ビアレッティ ブリッカ 上部タンク背面

上部タンクをひっくり返すと、コーヒーが通る穴と2017の文字。2017年製ってことでしょうか。今は分解しているためこのように見えますが、ここに本来フィルターとパッキンがセットされます。

ビアレッティ ブリッカ フタ

個人的にちょっと想定外だったのが、本体上部のタンクのフタの部分。購入前はこの丸い穴の部分はなんかしらの透明な材質のものになっていると思ったのですが、特に何も付いていないただの穴でした。問題は無いのですが、これだと勢いよくコーヒーが吹き出したときにこの穴からも飛び散ってしまいそうです。

ビアレッティ ブリッカ 下部タンク

本体下部の水を入れるタンクは大きめで、しっかりとした作り。側面の出っ張りは圧力を逃がす圧力弁です。

一通りチェックしたら、軽く水洗いしておきます。軽く水を切っていざ使わん!、と思って改めて説明書を読んでみると、どうやら本使用の前に3回ほど慣らしでコーヒーを淹れておけ、との記載が。

ビアレッティ ブリッカ 説明書

文字化けまみれの説明書には、3回淹れて飲まずに捨ててくださいと記載してあります。この部分が解読不能になっていなくて助かった・・・。

ただ、良い豆を捨てるために使用するのは勿体無いので、だいぶ前に購入した質の低い安いコーヒー生豆を適当に焙煎して、これに当てることにしました。飲まないので強火で適当にサクッと焼いて、とりあえずコーヒーを入れる準備は整いました。

「ビアレッティ ブリッカ」でモカコーヒーを淹れる

一通り見て、コーヒー豆も用意できたらコーヒーを淹れます。まず、水を測ります。

ビアレッティ ブリッカ 上部タンクに水を入れたところ

水をいれるのは下部のタンクですが、使用水量は上部のタンクで測ります。上部のタンクの「H2O」のところまで水を注いだら、下部のタンクに注ぎ入れます。

ビアレッティ ブリッカ コーヒー粉を詰めたところ

下部のタンクに水を入れたら、その上に細挽きのコーヒー粉を詰めたバスケットをはめ込みます。バスケットに詰めるコーヒー粉の量はバスケットすりきり一杯。押し込むと目詰まりしてしまうようなので、ふんわりのせてあげます。

あとは上下のタンクを合体させれば抽出準備完了です。五徳にのせて、火にかけるだけ・・・なのですが、ここでちょっとした不安材料がでてきました。

五徳にのせたビアレッティ ブリッカ

購入したブリッカは4杯用なのでそれなりに大きいのですが、五徳にはギリギリ乗るサイズでちょっとバランスが悪そうです。このままでもおそらく大丈夫ですが、ここは大事をとって・・・

火にかけたビアレッティ ブリッカ

ミニエキスプレス用に持っていた五徳に乗せて使用するミニ五徳を使用することにしました。これでバランスはバッチリ、倒れる心配はありません。後はタンクの側面からはみ出ない程度の中火にかけて、コーヒーが抽出されるのを待つだけです。

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ビアレッティ ブリッカ コーヒー抽出中

シューッと音がしてきたら、コーヒーの抽出が開始された合図です。この時点で火は止めて、あとは予熱で抽出をします。徐々にコーヒーが抽出されるというよりは、音がしてから一気にすべてのコーヒーが出てくる感じです。

ビアレッティ ブリッカで抽出直後のモカコーヒー

これが抽出されたモカコーヒーです。三脚が届かないのでボケてしまっていますが、クレマのような泡と、真っ黒なモカコーヒーがタンクに溜まっているのが分かります。

モカコーヒー抽出後のコーヒーカス

こちらは抽出後のコーヒーカス。ぺったんこになっていて、圧力が加わっていたことが見て取れます。

無事1杯目のモカコーヒーを淹れることができましたが、これはまだ慣らしの抽出なので、コーヒーはそのままポイーっと流してしまいます。すぐに次の準備をして、コーヒーを淹れて、また更に淹れて、3回の抽出を終えたら、実際に飲むコーヒーを淹れます。

ビアレッティ ブリッカで淹れたモカコーヒー

実際に飲むために淹れたモカコーヒーがこちら。今回は行きつけのお店のブレンドを使用してモカコーヒーを淹れました。4杯用のブリッカで淹れられる量は150mlなので、これで150mlです。

ビアレッティ ブリッカで淹れたモカコーヒー

側面からもパチリ。心なしか、いつも飲むコーヒーよりも黒く見えます。上部にちょっと見える泡はクレマ・・・では無さそうです。どうやらクレマを作るのは、ブリッカでもそう容易いことではないようです。

ブリッカで淹れたモカコーヒーを飲む

温かいうちに、淹れたてを頂きます。口に含むと、グッッと濃い、濃厚な味わい。久しぶりにモカコーヒーを飲んだのでなかなかパンチがあります。今回使用したのは甘めのブレンドのコーヒー豆ですが、甘みと濃厚な苦味が混じり合って、ビターチョコレートを食べているような感覚です。舌触りはだいぶ粉っぽく、飲み干した後のカップの底には多量の微粉が沈殿していました。

堪能したら、後片付け。上下のタンクを分解して、コーヒーカスを捨てて、洗剤を使わず水洗いでキレイにします。パッキンが少し取り外しにくい以外、手入れは比較的簡単です。

ブリッカの良いところ・イマイチなところ、その他感想

開封から後片付けまで一通り行ってみて、ブリッカの良いと思ったころを挙げてみます。

  • 手軽にコーヒーを淹れることができる
  • 丈夫な作りで、アウトドアにも持っていけそう
  • 手が入らない箇所が少なく、手入れがしやすい

なんと言っても、火にかけて待つだけで簡単にコーヒーを淹れることができるのは良いですね。毎朝ハンドドリップでコーヒーを淹れる暇がなくても、コーヒー豆を挽いて火にかけるだけのマキネッタであれば、手軽に美味しいコーヒーを淹れることができます。

また、ゆくゆくはこのブリッカをキャンプに持っていく予定ですが、どの部分も作りがしっかりしているため、ぎゅうぎゅう詰めの荷物の中に入れても、落としたり、多少手荒に扱っても壊れる心配はなさそうです。外に持っていけることが今回は一番重要なので、コレを満たしているだけでも十分に価値があります。

大きいサイズを購入したこともあると思いますが、どのパーツも手が入るため、モカコーヒーを楽しんだ後の手入れも比較的簡単なのも良いところです。パッキンの取り外しが多少面倒ですが、ミニエキスプレスのように頑なに取り外せないものでは無いので、あまり気になりません。

ただ、良いところだけではなく、以下のようなイマイチだと思う点もありました。

  • 一度に淹れられる量が思ったより少ない
  • 抽出量に対して本体サイズが大きい
  • クレマを作るのは簡単ではなさそう

まず、4杯用の大きいものを購入しましたが、一度に淹れられる量は150mlとあまり多くありません。モカコーヒーは通常のハンドドリップのコーヒーよりも濃いため、通常のコーヒーの分量と比較するべきではありませんし、それは分かっていて購入したのですが、ボディの大きさを考慮すると、もっと抽出量を多くできなかったのかな・・・・、と思います。限界の水量でも、水を入れるタンクの半分も水を入れないので、これならせめてもう少し小さくあって欲しかったです。

また、ブリッカはクレマを作りやすいことが売りですが、今日4回コーヒーを淹れたうち、明らかにクレマが出来たのは1回だけでした。コーヒー豆の焙煎度なのか、水の量なのか、火加減なのか・・・。どの要素がクレマの有無に関係するのかは分かりませんが、適当にやってもクレマを作ることは出来ないでしょう。これだと、ブリッカではなくモカエキスプレスでも良かったかも?とも思います。ただ、ブリッカでクレマを作る方法を検証するのは面白そうなので、課題ができたと思えば溜飲は下がります。

総じて、ブリッカをオススメできるかというと、自信を持ってオススメできる!というところまでは行きませんが、マキネッタをまだ持っていない人で、エスプレッソとも、通常のコーヒーとも違ったモカコーヒーを飲んでみたいという人には、ビアレッティのブリッカは選択肢としてアリなのではないでしょうか。というか、マキネッタを購入するとなったら、実質ビアレッティの製品からどれを選ぶかの問題なので、マキネッタがほしいと思ったら自然と選択肢に入るはずです。

また、手軽にコーヒーを淹れられるので、忙しくても毎朝コーヒーを飲みたい人にオススメです。抽出量が少ない分、飲み切るのに時間はかかりませんが、濃さは十分なので、満足感はバッチリでしょう。

さいごに

満点、とは行きませんでしたが、本来の目的であるキャンプ用品としてのコーヒー器具という要件は満たしているので充分満足です。また、朝に飲むコーヒーの選択肢も増えましたし、検証のネタも見つかったので、これからしばらくはこのブリッカで楽しめそうです。

今回使用したもの

ビアレッティ 直火式エスプレッソメーカー ブリッカ 4カップ 6184

東彼セラミックス(Tohi Ceramics) 小さな五徳 ガスコンロ用 TSG-100a

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