微粉を除去してからフレンチプレスでコーヒーを抽出する

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会社の人に言われたこと

仕事の日はいつも会社にフレンチプレスとコーヒー粉を持っていってコーヒーを飲んでいるのですが、ある日、私がフレンチプレスでコーヒーを飲んでいるのを見た会社の人に”フレンチプレスは細かい粉が沈殿するからあんまり好きじゃないんだよね”と言われたことがありました。好みはそれぞれですし、自分も環境が許すなら会社でハンドドリップしたいと思っているクチなので、そのときは”そういう意見もあるな”くらいにしか思わなかったのですが、ふと思い返してみて、微粉が含まれないフレンチプレスってどうなんだろう?という疑問が生まれました。

フレンチプレスでコーヒーをドリップすると微粉が含まれるのは、単純にフィルターよりも細かいコーヒー粉があるせいでしょうし、フレンチプレスにコーヒー粉を入れる前に微粉を取り除いてやれば、微粉なしのコーヒーをフレンチプレスでも抽出は可能な気がします。ということで今回は、微粉のないコーヒーをフレンチプレスで抽出できるか、検証してみたいと思います。

コーヒー粉から微粉を取り除く

まずはコーヒー豆を挽きましょう。フレンチプレスなので、粗びきでコーヒー豆を挽きます。ナイスカットミルでいうと、ダイヤルを5番目の粗さにセットします。コーヒー豆は深煎りの”グアテマラ・アンティグア”のスペシャルティコーヒーを使用します。

挽いたコーヒー豆

ミルで挽いただけのグアテマラのコーヒー豆。カップの側面に微粉がへばりついてるのが分かります。

次に、挽いたコーヒー粉から微粉を取り除きます。微粉はサザコーヒーのパウダーコントロールストッカー・・・の一番目の粗い茶こし(メッシュフィルター)とフタの部分を使って取り除きます。

パウダーコントロールストッカーの茶こしとフタ

パウダーコントロールストッカーを使った後の粉受けの手入れが面倒だと思っていたある日、シンクの上で微粉を取り除けば粉受けは不要だということに気が付きました。

茶こしにコーヒー粉を入れてフタをしたら、シンクの上で上下に振りまくると、茶こしの目の粗さよりも小さい粉は落ちていきます。ある程度振り続けて落ちて来なくなったら手を止めて、コーヒー粉を確認します。

微粉を取り除いたコーヒー粉

微粉を取り除いたコーヒー粉。ピンぼけ気味ですが、パッと見て微粉はありません。

飲み比べのために、微粉を取り除かない状態の同じ量のコーヒー粉を用意したいので、微粉を取り除いた後のコーヒー粉の重さを量ります。重さは13.7g。微粉を取り除く前が18gだったので、振るったことで4.3g落ちたことになります。結構なロスです。ミルの性能が良ければ微粉も少なくなると思うので、これは使用するミルによって多少変わるかと思います。ロスは少ないに越したことは無いので、普段から良いミル使ったほうが得なんだろうな、なんて今更ながら感じました。

同じ量のコーヒー豆を量り取って、同じ粗さで挽いたら、両方のコーヒー粉を使用してフレンチプレスしていきます。

フレンチプレスで2杯のコーヒーを抽出する

フレンチプレスは、数年前にクラウドファウンディングで購入した”RitePress”を使用します。お湯は沸騰したてのものを120ml使用し、抽出時間は3分30秒とします。フレンチプレスが一つしか無いので順番に、まず、微粉を取り除いていない方から抽出します。抽出が済んだら、フレンチプレスの中身を素早く洗って、微粉を取り除いたコーヒー粉でも同様に抽出します。フレンチプレスは待つだけでいいから楽チンです。

フレンチプレスで抽出した2杯のコーヒー

左が普通の、右が微粉を取り除いたコーヒー。見た目的には違いはありません。

まず、微粉を取り除かなかったほうから飲んでみます。口に含むと、フレンチプレスのおかげか、刺激が強すぎない、いい感じの苦味とコク。そしてフレンチプレス独特のまろやかな口あたりと、粉っぽさがあります。

次に、微粉を取り除いたほう。一口飲んでみると、全体的な濃度はこちらのほうが薄く感じられます。ただ、こちらのほうが粉っぽさが少なく、口当たりがシャープでハッキリしています。ただ、微粉を取り除いていない方よりは遥かに少量ですが、微粉はこちらでも混入してしまっていて、事前に微粉を取り除いても完全には混入を防ぐことができないことが分かりました。

感想・考察

事前に微粉を除去していても、流石にフレンチプレスで抽出しようとすると全く微粉が入らないようにする、ということは難しいようです。ただ、微粉を取り除いたかどうかで、明らかに口当たりや味わいに差が出ることは分かりました。ただ、微粉が少ないほうが良いかは、人によって好みが分かれる部分のようにも感じます。

当たり前ですが、コーヒー粉の粒度が細かいほど、同じ量のお湯に対して味は濃くなります。なので、同じ量のコーヒー豆を使用した場合、微粉が多く含まれていたほうが味は濃くなります。ただ、雑味も増えるので、濃くなるだけで単純に美味しくなる、という意味ではありません。逆に、微粉を取り除くとコーヒーの濃度は相対的に下がりますが、飲み口はスッキリとするようになります。一見、微粉を取り除いてからフレンチプレスしたほうが質の高いコーヒーを飲める気がしますし、多分実際そうなんですが、質と味の好みとは別物ですし、何より結局、フレンチプレスだと微粉が含まれてしまうので、事前に微粉を取り除いたのならフレンチプレスじゃなくてペーパードリップにしたほうが曖昧さが無くなって良い気がします。要するに、微粉を取り除いてフレンチプレスするっていうのは中途半端な気がする、ということです。

ただそれでも、自分が会社ではフレンチプレスでコーヒーを抽出するしかないのと同じように、条件が制限される状況下において、自分の好みになるべく近いコーヒーを飲みたい!という場合であれば、微粉を取り除いたコーヒー粉を用意しておいて、フレンチプレスで抽出するのはいいのかなと思います。

・・・・ただやっぱり、フレンチプレスの醍醐味というのは、微粉が入った粉っぽいようでまろやかな口当たりのコーヒーだと思います。今回の自分のこの行いは、フレンチプレスという概念に正面から挑むようなものだったのかもしれません。いやでも、途中にも書きましたが、良いミルを使うと微粉は少ないはずなので、良いミルを使ってフレンチプレスでコーヒーを抽出すると、意図的に微粉を取り除かなくても同じような効果があると考えると、そもそも自分の考えている”フレンチプレス観”みたいなものが間違っているのでしょうか・・・。

フレンチプレスを語るには、フレンチプレスで抽出した質の良いコーヒーを飲まなければ行けない気がしてきました。機会があったら、お店を探して行ってみたいと思います。

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