フレンチプレスでコーヒーを淹れるとき、待たずにすぐプレスする

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フレンチプレス

ルールには縛られない、やるなと言われたことをやりたくなる、理由なき原理には従わない。そんな邪道を行く人に送る検証です。

はじめに

フレンチプレスの淹れ方で検索すると、粗挽きの粉をフレンチプレスに入れて、熱湯を注いで4分、時間が経ったら棒(ブランジャーって言うらしいですね、初めて知った)をゆっくり押し下げてカップに注いで出来上がり。というのが一般的なようですが、どれもこれも、粗挽きの粉を使う理由、4分待つ理由、棒を何故最後に押し下げるのか、という部分に言及はしていません。

まあ粗挽きの粉を使用するのは、細引きだとカップに注がれたコーヒーに粉が大量に含まれてしまうから、4分待つのは粗挽きのコーヒー豆を使用していて、味わいを出すのに時間がかかるから(細かいところを突くと何故5分ではだめなのか、という部分はありますが)、というのは分かるのですが、ブランジャーについては謎です。フレンチプレスにお湯を注ぐと粉はお湯の上部に浮きます。ブランジャーを押し下げると、押し込まれて底に沈殿します。つまり、ブランジャーを押す・押さないの違いはお湯の中に留まっているコーヒー粉の位置の違い程度しか影響しないはずです。そして、現時点で思うのは、お湯の中で上にあろうが下にあろうが、お湯に触れているという条件は一緒なので味に差は生まれないのではないか、という事です。

無難な予想立てをしたところで、実際のところを確かめてみたいと思います。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:ケニア
  • 焙煎度:シティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):6
  • ドリッパー:ボダム フレンチプレス
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約94℃
  • 抽出量:約290cc

フレンチプレスについて

以前にもフレンチプレスについての検証はして、タブンそのときにフレンチプレスについては言及したので簡単に。今回使用したのは、ボダムのフレンチプレスメーカー。一般的に使用されている多くのフレンチプレスのメーカーは、ボダムかハリオかそのあたりですね。

ボダム フレンチプレス

左がホルダー、右がサーバーとブランジャー。熱々のお湯を注ぐのでホルダーは必須ですね。

ボダム フレンチプレス 部品

ブランジャーは棒の部分、メッシュ状のフィルター、コイルみたいな部品、それを固定するための金属分品で構成されています。粉とお湯を分離するだけならメッシュ状のフィルターだけで十分なような気がしますが、このコイルみたいなのはプレスするときに、メッシュ状のフィルターが粉に負けてめくれてしまうのを防ぐためのものでしょうか。とか今更になって気になってみる。

コーヒーを淹れて飲み比べる

ざっと見たところで、コーヒーを淹れます。フレンチプレス用にコーヒー豆を粗挽きにして、フレンチプレスに入れ、重さを量りつつお湯を注ぎます。また、注ぎ始めと同時に時間を測り始めます。ゆっくりお湯を注いで、ギリギリ入ったのが290cc程度。4分経ったらブランジャーをゆっくり押し下げて、カップに注いで抽出完了。このとき、全て注ぎきります。

一杯目を淹れ終わったら、すかさず二杯目を淹れます。二杯目は290cc注いだ時点ですぐにブランジャー押し下げて、4分経ったらカップに注ぎます。

二杯淹れたら飲み比べです。まずは、最初にブランジャーを押し下げず、普通に淹れた方から。浅煎りめの豆を使用したので、味は薄め。ほんのり苦味と、それより少々強めの酸味が感じられると言った程度。この時点でコーヒー豆の選定をちょっとミスったなーと思いましたが、とりあえず二杯目に淹れた、お湯を注いですぐブランジャーを押し下げた方を飲みます。こちらはもっと薄く、苦味がほぼ感じられず、酸味がほんのり感じられる程度。冷めても、飲み進めてもその印象は変わらず最後まで薄味でした。こちらに比べると、一杯目は十分に味が付いていました。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • フレンチプレスのブランジャーをすぐに底まで押し下げるのはやめよう

考察・感想

今回は微妙でした。微妙なことをやってしまいました。

まず失敗した点としては、コーヒー豆の選定です。フレンチプレスの都合上、ハンドドリップよりも薄めに出ることは分かりきったことでしたが、最近、今回使用したコーヒー豆で同じように淹れて飲んだ感じではそれほど薄味ではなかった気がしたので、軽視していました。また、もうひとつ、ブランジャーを一切押し下げないでコーヒーをカップに注ぐというパターンを試すべきでした。

まあでも、わかりやすく味の違いが出たのだけは良かったと思います。ブランジャーを最初に押し下げてしまうと、同じ4分間お湯に浸していても、味の濃さに大きく違いが出ることはわかりました。冒頭で、ブランジャーの押し下げによってコーヒー粉が上か下か、どの位置に留まるか程度の違いしか無いのでは、という話をしましたが、それだけでは無いということですね。ただ、この原因としては単純で、コーヒー粉がフレンチプレス内部で上部に留まっている状態の場合、コーヒー粉はお湯に自然に浮いている状態です。このときは圧がかかっていないため、コーヒー粉同士の間にはお湯が伝っていると考えられます。しかし、ブランジャーを下げた場合、押し下げられたコーヒー粉はフレンチプレスの下部で圧縮されるため、コーヒー粉とお湯の接する面積が自ずと減ってしまいます。それでお湯に成分が溶け出しにくくなり、結果的に同じ時間では薄いコーヒーしか抽出できない、という感じだと思います。

ただ、これによってブランジャーを先に押し下げると味が薄くなる理由は説明できますが、先に押し下げないことがベストであるということは証明できないように思います。というのも、お湯の量にもよるかもしれませんが、コーヒー粉がお湯に自然に浮いている場合、それはそれでお湯と接しない面が出てくるように思うからです。ですので、コーヒー粉がお湯に完全に接しつつ、かつ最大限の抽出効果を得られる方法が他にあるかもしれません。

そこで思いつくのが、ちょっとだけ押し下げてみる、ということです。圧をかけすぎず、浮かさず、完全にお湯に浸す条件を作り、その味わいを確かめる必要があるかと思います。

さいごに

フレンチプレスではなくても、何故その量・時間・方法なのか、というツッコミどころはたくさんあるのですが、今回はイライラしているときにたまたまぶつかったのがフレンチプレスだったみたいな、野良犬に手を噛まれたみたいな、つまりは何かのめぐり合わせでフレンチプレスに矛先が向いてしまったわけです。もう少し、フレンチプレスにはこの矛先を向ける対象になってもらいましょう。

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