コーヒーにおける、コーヒーオイルの味への影響力について その1

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  •  コーヒーの抽出
  •  コーヒーオイルと味わい

顕微鏡で見たフレンチプレスで淹れたコーヒーの表面

前々から気になっていた、フィルターを通さないで抽出したコーヒーに浮かぶ”アイツ”の影響力について、フレンチプレスで検証を行います。

はじめに

エロプレスとフレンチプレスの飲み比べをした時に、味の違いの要因として油の有無について言及しました。今回はフレンチプレスを使用して抽出したコーヒーそのままのものと、一旦ペーパーフィルターを通したもの、2つのパターンのコーヒーを用意して飲み比べを行います。これによって、差異をコーヒーオイルの有無のみ絞って飲み比べられるってわけです。

最近まで「コーヒーオイル」ではなくただ「油」と言っていましたが、良い機会なのでちゃっかり言い換えた事は置いといて、検証を始めます。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:コンゴ レイクキブ
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):6
  • ドリッパー:bodum フレンチプレスコーヒーメーカー
  • ドリッパー:カリタ ロト101(陶器)
  • フィルター:カリタ カリタ コーヒーフィルター101(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:94℃
  • 抽出量:250cc

フレンチプレスでコーヒーを抽出する

今回はコーヒー豆が中途半端にあまりそうだったので、フレンチプレスで入れるには少し濃いめの20gのコーヒー豆を使用しました。これをナイスカットミルの6のメモリで挽いて、250ccのお湯を注ぎます。4分待つ間に、コーヒーを漉すためのドリッパーとサーバーを準備して、カップも2つ準備して。4分経ったらフレンチプレスのアレを押し下げて、片方の小さめのカップに30ccコーヒーを注いだら、ペーパーフィルターをセットしたドリッパーに同じく30ccコーヒーを注いで濾過します。またのその後最初に30cc注いだカップにもう30cc注いで、ドリッパーの方にも30cc注いで。それぞれ大体60ccずつの濾過したものとしていないコーヒーに分けました。

ちなみに30ccずつ交互に分けたのは、フレンチプレスの性質上、コーヒー粉が沈殿している下に行くほど味が濃くなると思ったので、その差異をなるべく吸収するためです。それでは、まず見た目を見比べて見ましょう。

フレンチプレスで淹れたコーヒー

こちらはドリッパーで濾過していない、純粋なフレンチプレスで抽出されたコーヒー。あれ?コーヒーオイルが少ないような。粉なんだか油なんだかわかりませんが、コーヒー豆の状態ではコーヒーオイルが滲んでいたので、含まれてはいるはず。

フレンチプレスで淹れたコーヒーをペーパーフィルターで濾過したコーヒー

こちらはドリッパーで濾過してからカップに注いだコーヒーです。何も浮いておらず、底まで透けています。こちらと比較すると、濾過していないものはカップの淵にコーヒーオイルが溜まっているのでしょうか。

飲み比べます。ますは濾過していない方から。飲むと、程よい苦味と明確な酸味が感じられ、またフレンチプレス特有の粉っぽさも感じられます。次に濾過したものを飲むと、こちらも口に含んだ時は同じように感じましたが、その後に来る酸味が濾過していないものと比較すると強めに感じます。粉っぽさはなく、スッと飲みやすい。

とりあえず飲みきって、フレンチプレスから2杯目を1杯目と同じように注ぎ、飲みます。まあ印象は変わらず。何度も交互に飲んだ印象の違いをまとめると、純粋な濾過していないフレンチプレスのコーヒーは粉っぽく、口当たりがマイルドで何かに包まれているような味わい、飲み込んだ後にふわっと香りが残る感じでした。対して濾過したものは、ダイレクトな味わいで、スッキリとクリアな味わいでした。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • コーヒーオイルや微粉を残すコーヒーの抽出方法では、それ以外の抽出方法と比較してコーヒーの味わいを優しくする可能性がある

考察など

結果としては、明確に違いが出てよかったと思います。ただ一点、気になることもあります。今回はコーヒーオイルの有無としてここまで書いてきましたが、それ以外に少なくとももう一つ、味わいに影響を与えている可能性があるものがあります。それは、コーヒーの微粉です。

濾過したフレンチプレスコーヒーの残り微粉

この写真は、濾過したドリッパーに溜まったもので、実はこの微粉のせいで濾過に結構時間がかかってしまっていて、その程度にはフレンチプレスで抽出されるコーヒーには結構微粉が含まれていることがわかります。何を言いたいかと言いますと、これまでに書いてきた味の違いに起因するのは、コーヒーオイルだけではなくこの微粉の有無も含まれるのではないかという事です(写真でもコーヒーオイルより微粉のほうが目立っていましたし)。両者がそれぞれどのように絡んで来るのかは不明ですが、コーヒーオイルのみの力、と言い切れないでしょう。ただ、今回感じた濾過していないコーヒーの印象として粉っぽく、マイルドといった印象で、それをコーヒーオイルと微粉の両者に役割をそれぞれ持たせるとすると、コーヒーオイルの方はマイルドさを、微粉のほうは粉っぽさをそれぞれ演出しているような気にもなります。ちなみに、粉っぽさについては良い点とは思っていないので、そう考えると微粉はやっぱり味わいにはそれほど影響がなく、むしろ飲み口を邪魔しているのではないかとさえ考えられます。

しかし、濾過したコーヒーでは濾過していないものよりもダイレクトに刺激を感じる味わいで、濾過していないコーヒーはマイルドという比較の観点で見ると、むしろ粉っぽさのおかげで程よく舌に与えられる刺激が緩和され、結果的にマイルドに感じた、という可能性も捨て切れません。こうなって来ると、今度はコーヒーオイルと微粉を切り分ける必要が出てきます。まあ、方法としては同じようにフレンチプレスでコーヒーを入れた後、沈殿を待って上澄みをすくってやれば比較できそうなので、今度やってみることにしましょう。

色々ごちゃごちゃしましたが、今回はつまるところ、金属フィルターやフレンチプレスなどの紙を介さないコーヒーの抽出方法の場合、紙を介して抽出されるコーヒーよりもマイルドで、丸い味わいを楽しむことができるだろう、という事です。まったりしたい時、寒い時などにはコーヒーオイルのあるコーヒーを。シャキッとしたいとき、外気温が暑くてコーヒーにはスッと口の中を通過して欲しい時はペーパーフィルターでコーヒーオイルのないコーヒーを、といった感じでシーンによって使い分けしてみてはいかがでしょうか。

さいごに

またまた課題が出てきてしまいましたが、容易に白黒つけられそうなのでまあ良しとします。容易なことを良しとするのは、こういう検証というテーマでやっている点から考えるとナンセンスな気もしますが、怠惰も同居しているタイプの人間なので、やっぱり楽な方が良いなーとも思ってしまうわけです。仕方ない。

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