コーヒーは濃く淹れたほうが美味しい?美味しいコーヒーの濃さ その1

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  •  コーヒーの抽出
  •  美味しいコーヒーの濃さ

プロジェクトX-コーヒー豆たち-

人によってコーヒーを入れる濃さは千差万別です。では、最大限コーヒーをおいしく飲むことができる濃さはどの程度なのでしょうか、というテーマ。

はじめに

最近、久しぶりに個人経営のコーヒーショップに行ってコーヒーを飲みました。そのお店ではコーヒー豆の販売も行っているので、また違う日に足を運んで同じコーヒー豆を買いました。それが、前回の記事でも使用したキリマンジャロなのですが、お店で飲んだ味と、自分で入れて飲んだ味、大分印象が違いました。私の入れる通常のコーヒーは他にないくらい濃いめに出している自覚はあるので、おそらくお店で飲んだキリマンジャロは私基準では薄めだったのでしょうが、決して不味いとは思いませんでした。

つまり、必ずしも濃いめに出したから美味しいとか、薄めに出したから不味いとか、そういう事はないはずで、適切な濃さというものが存在するのではないか、と考えました。ただ、これについては個人の好みによる部分も大きいと思うので、はっきりとした正解を出すのは難しいと思いますが、機械を使わないと分からない様な「数値的にはベストの濃さ」と言えば良いのでしょうか、そういう観点で探って行ければなと思います。

さらに、このテーマで難しいのは、お湯の温度、焙煎度、抽出量、挽き具合など、観点が多いという部分です。とりあえず1回目は、抽出量の比較を行って見ますが、回数を重ねるごとに複雑化していくと思うと、この検証をしようと思った事をちょっと後悔しています。まだほとんどの検証が1回止まりですけど。

と言う事で、いってみましょう。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:キリマンジャロ
  • 焙煎度:フルシティローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:カリタ ロト101(陶器)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:カリタ カリタ コーヒーフィルター101(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:94℃
  • 抽出量:120cc、180cc、240cc

3杯のコーヒーを抽出する

今回は、同じコーヒー豆を使用して、いつも通りの120cc、ちょっと薄めの180cc、2倍の量の240cc、3杯のコーヒーを抽出し、それぞれの味の違いを確かめます。もちろん、豆の量、挽き具合、抽出時間など抽出量以外は全て条件を揃えます。とりあえず、いつも通りの120ccのコーヒーを抽出し、次に180cc、最後に240ccのコーヒーを抽出しました。また、前回はコーヒーの色合いの検証をしたので、それに乗っかってそれぞれのコーヒーから少しずつサンプリングして、色の違いも見てみることにしました。

コーヒーの色合いその1

左から、120cc、180cc、240ccのコーヒーです。やっぱり120ccの色が一番濃いですね。180ccと240ccでは、どちらが濃いかはちょっと分からない。

コーヒーの色合いその2

上から光を当ててみます。うーん、どうでしょう。

コーヒーの色合いその3

120ccと240ccの場所を入れ替えてみました。

本題の味の比較をします。まずは120cc。先週飲んだ時と違って、結構苦味もある印象。でもやっぱり酸味がメイン。甘みというか、コクというか、その様な複雑さも感じます。

次に、180cc抽出したコーヒー。120ccのものと異なり、苦味は感じず、酸味ばかりが感じられます。そして、120ccで感じた甘み・コク的なものは感じられず。ただ、良くも悪くもガツン!とこないので、本を読みながらなどのカフェタイムにはちょうど良い濃さといったところです。

最後は、240cc抽出したものを飲みます。ここまでくると、流石に薄いです。酸味は感じ取れますが、180ccよりも更に薄く、ほんのりと、というレベル。コーヒーの専門店に行ってこの濃さのコーヒーが出てきたら、途中退店は必至です。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • コーヒーの適切な濃度は、状況によって異なる可能性がある
  • 味のみの観点で見れば、120ccで抽出したコーヒーが一番美味しい

考察など

まず思ったことが、もしかしたら、コーヒーの適切な濃さとは、場の状況によって異なるのではないか、という事です。今回の場合、まあ、240ccで抽出したコーヒーは薄すぎて論外ですが、120ccと180ccのコーヒーでは、前者はなんというか、コーヒーを飲むぞ!という濃さですが、後者はついでにコーヒーを飲む時の濃さ、といった感じでした。つまり、濃いコーヒーはガツンとくるので、飲むたびに意識をそちらに持って行かれますが、適度に薄い(濃い)コーヒーは濃いコーヒーに比べるとスッと飲めるので、ながらの最中でも意識を持って行かれず、本を読んでいる途中などに適しているのではないかと思います。

ただ、味のみの観点で言うと、120ccと180ccの味わいでは雲泥の差で、180ccまで薄くなるとコクというか深みというか、120ccの時に感じられる大切な何かが感じられず、大分損をしていると思いました。ですので、単純にコーヒーの味わいを追い求めるのであれば、少なくとも120ccと180ccの2択であれば、120ccで抽出するのが正解でしょう。もちろん、今回の場合の話で、豆の種類・焙煎度等々の違いがありますので、一概には言えませんが。

いや、しかし、例えば今回のキリマンジャロにおいて、私は酸味だけを楽しみたいんだ!という人がいるのなら、その人にとっては120ccのキリマンジャロは余計なものが多く感じるのかもしれません。でも、冒頭で述べた通り、今回はその様な個人的な主観を除いて、数値的な美味しさ的な観点での話ですので、やっぱり120ccが正解でしょうか。と言いつつはっきり数値を出しているわけではないので、なんとも言えませんが、味わい深いのは明らかに120ccの方である、とはっきりいうことはできます。

また、色合いも確認しましたが、やはり濃くコーヒーを抽出した120ccのコーヒーが色も濃くなりましたが、180ccと240ccでは大差ない様に見えました。これはつまり、コーヒーの色素的なものは最初に大量に抽出され、そのあとは最初と比較すると薄くなりますが、お湯の量と比例して薄くなるというわけではない、という可能性があります。また、見た目はほぼ一緒でも味は大分薄くなっていた事を考えると、コーヒーの味の濃さは見た目では判断しきれないものであるという事もわかります。この色の件については、今回はあまり言及せず、それ用の検証の時にもっと詳しくやっていきたいと思います。

さいごに

最初はただ、そのまんまの通り美味しいコーヒーの濃度について確かめるだけのつもりでしたが、コーヒーを飲む時の状況など、単純にコーヒーの濃さという要因だけでそれを決めるのは難しいのではないか、という気がしてきました。いや、なんども書きますが数値的な観点で見れば、120ccで出したコーヒーがベストなのですが、私もロボットではないので、どうしても他の要因が気になってしまいます。つまり、数値的な要因だけの正解を導き出しても、それに本当に意味があるのか、という疑念が頭をよぎってしまうのです。

我ながら面倒な思考回路をしていると思いますが、これ以上書き続けると何書いているのか分からなくなるので(すでに分からなくなっていますが)、今回はこの辺で。

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