コーヒー豆の焙煎度による、抽出後のコーヒーの味の違い その1

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コーヒー層

2種類の焙煎度で焙煎したコーヒー豆で抽出したコーヒーの飲み比べを行います。

はじめに

前回、ブラジルのコーヒー豆を手網で、2種類の焙煎度で焙煎しました。2種類で焙煎したのは、タイトルの通り、同じコーヒー豆で焙煎度が異なる場合の味の比較を行ってみたかったからです。お店で同じコーヒー豆を、異なる焙煎度で購入するのも手ですが、必要以上の量を買わなければいけませんし、それに伴ってお金もかかるのでいつか自分で焙煎をする日まで暖めておいた感じです。

それでもって焙煎直後のコーヒー豆は好みではないので前回は比較まで行わず、間を置いて今回になりました。少々時間が経ってしまいましたが、コーヒーを入れて飲んでみましょう。

条件

今回の検証は以下の条件下で行いました。

  • 使用したコーヒー豆:ブラジル
  • 焙煎度:ミディアムロースト、フレンチローストぐらい
  • コーヒー豆の粗さ(ナイスカットミルのメモリ):4
  • ドリッパー:カリタ ロト101(陶器)
  • コーヒーポット:ユキワ M-5
  • フィルター:カリタ カリタ コーヒーフィルター101(ホワイト)
  • 秤:ハリオ ドリップスケール
  • 豆の使用量:20g
  • お湯の温度:約94℃
  • 抽出量:120cc

コーヒーを入れる&比較

異なる焙煎度のコーヒー豆

焙煎日から1週間経過したコーヒー豆がこちら。見た目は特に1週間前から変わりません。浅煎りのほうは相変わらず表面にコーヒーオイルは出ていませんし、深入り・・・(半分失敗しているのですが)は、コーヒーオイルにまみれています。ここから20gずつ取り出して、120ccのコーヒーを入れていきます。

瓶を開けると、浅煎りの方はナッツ感が強い匂い。豆だから当然といえば当然ですが、火が通った感じが少ない香り。深入りの方は、ナッツ感はなく、しっかり焙煎された、ほんのり焦げたような焙煎臭です。・・・実際に焦げていますが。香りを確かめたら、その後は特に特別なこともなく、それぞれ120ccのコーヒーをいれました。

異なる焙煎度のコーヒー豆で入れたコーヒーの色

左が浅煎りのほう、右が深入りのほう。色の違いも顕著です。

コーヒーを飲み比べる

準備が整って、コーヒーを飲み比べます。

まずは浅煎りのほう。カップに鼻を近づけると、酸味が効いていそうな匂い。口に含むと、酸味が強く、苦味は少ない。というよりかほぼ酸味。なるほどなーと思いつつ、次に深入りのほうを飲みます。こちらはカップに鼻を近づけても酸味が強そうな匂いはしません。口に含むと、しっかりとキレの良い苦味で、酸味は全く感じられません。同じコーヒー豆だと言うのに全くの別物のように感じられます。

今回の結果

今回の結果をまとめると、以下のようになります。

  • 同じコーヒー豆でも、焙煎度によって味わいは大きく異なる

考察・感想

わかったこともあり、わからなくなったこともあり。単純ではありませんね。

冒頭で詳細に書くことを忘れていましたが、今回検証したかったのは、例えば、苦味がメインとされているコーヒー豆はコーヒー豆自体が苦いのか、それとも焙煎者がこぞって深入りにするから苦いのか、という部分です。今回はブラジルのコーヒー豆を使用しました。私が調べた範囲で、一般的にはブラジルは苦味と酸味のバランス型という認識のようですが、それでは苦味の部分というのは豆自体の持つ特徴なのか、それとも焙煎による焦げのせいで苦いのか、という部分を見てみたかったわけです。

今回の検証をざっとおさらいすると、浅煎りで酸味しか感じられず、深入りでは苦味しか感じられませんでした。この結果から考えられるのは、まず苦味というのは焙煎によって与えられているもので、ブラジルのコーヒー豆自体に備わっているものではないということです。そして、ブラジルのコーヒー豆にはしっかりとした酸味が備わっていることも同時に言えます。これらのことから、一般的なブラジルのコーヒー豆への認識である、酸味と苦味のバランス型というのは、それなりの焙煎度で焙煎されることで豆の持つ酸味を保ちつつ焦げによる苦味を備えたブラジルのコーヒー豆が一般的に流通している、もしくは好まれているということが理由と考えられます。

しかし、気になる点もあります。というのも、深入りの方のコーヒーは苦味ばかりで酸味を全く感じなかった点です。この場合、焙煎によって酸味が消失したか、苦味が強すぎて酸味がわからなくなったということが考えられます。前者の場合は、熱による要素の変質があるのかもしれませんが、残念ながらそのメカニズムまでは追うことはできません。後者はわかりやすいですが、単純に飲む人間の舌次第のように思います。

話が一転しますが、コーヒー豆によって丁度よい焙煎度、みたいなものがありますが、今回の結果から考察すると、どんな豆でも浅煎りだったら酸味ばっかりになり、フレンチローストくらいの深入りになったら苦味ばっかりになると考えています。それでは、例えばフルシティローストがオススメのコーヒー豆の場合は、何故フルシティローストがオススメなのかというと、恐らくそのくらいまではコーヒー豆の持つ酸味が感じられつつ、焙煎による苦味もしっかり出て来るからではないかと思います。

でも、そうなると酸味の少ない苦味系の、例えばトラジャなどのコーヒーはどうなのでしょうか。これまでフルシティローストくらいのトラジャを飲んだことは何度かありますが、酸味を感じたことはあまりなかったように思います。この場合、何故トラジャはフルシティローストで焙煎されているのか理由が説明できません。

ここで色々主を巡らせてみると、視野が狭くなって苦味と酸味ばかりに集中してしまっていて、それ以外のコクとか甘みとか香りとか、説明できないような複雑な要素について忘れていることに気が付きました。要するに、トラジャのような苦味系のコーヒー豆は、酸味ではない、それ以外の要素が丁度よく感じられるのがフルシティローストなのかもしれません。また、まったく同じ焙煎度でもコーヒー豆によって苦味の質に違いが出て来る可能性も考えられます。

ごちゃごちゃになりましたが、今言えることはアラビカ種のコーヒー豆においては浅煎りにすればどんなコーヒー豆でも酸味の強い味わいになって、深入りにすれば苦くなるんじゃないかな、と言うことです。当たり前か。

さいごに

まだブラジルのコーヒー豆の焙煎しか行っていないのでまだまだこれからですが、確認するべき点はあらかた掴んだように思います。ちなみに今回の考察などについて、基本的に焙煎によって与えられるのは酸味以外の要素で、酸味は持っているものが熱によって変質することはあっても、新たに発生することは無いという前提で書いています。

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