強火の遠火で。キャンプついでに炭火でコーヒー豆を焙煎する
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キャンプついでにコーヒー豆を焙煎してきました
今年も暖かくなって、すっかりキャンプシーズンになりました。毎年数回キャンプする程度で、3度の飯よりキャンプ!というタイプの人間ではありませんが、やっぱりその年一発目のキャンプは特別ワクワクします。
ただ今回はワクワクする理由がもう一つあります。ようやく、前々からやりたかった炭火でのコーヒー豆焙煎ができるからです。家で炭を焚けばまあいつでもできると言えばできるもんではありますが、キッチンを灰で汚したくないのでキャンプに行くタイミングまで待っていました。
今回はキャンプついでにコーヒー豆を炭火で焙煎してみたので、その所感について書いていきたいと思います。
炭火でコーヒーを焙煎する
キャンプ場に付いてテントを張って、昼飯を食って一息ついたのは夕方頃。ちょっと風が強めで、軽い椅子は座っていないと勝手にコケてしまうくらいでした。焙煎する環境的にはちょっと微妙かもなーとは思いましたが、焙煎したコーヒーを飲むつもりで来たので、焙煎済みのコーヒー豆の持ち合わせは無し。焙煎しないとコーヒー自体を飲むことができません。コーヒーを飲むために風が吹く中、自分を風防代わりにして炭を熾します。
炭熾し。今回はあまり炭を持ってこなかったので、料理に使用する分を踏まえて控えめで。炭はかなり熱くなるから少量でも多分問題ないでしょう。
焚き火台はB6君という、ソロキャンパーの定番商品。小さく畳めてかつ頑丈、グリルプレートもついていて料理からこじんまりとした焚き火までこなせるスグレモノです。
笑's コンパクト焚き火グリルB-6君 3点セット(B6君/専用ハードロストル/グリルプレート)SHO-0004-10-25 |
炭に火をつけてしばらく置いて、白くなって熱くなってきたら炭火焙煎を始めます。
火も落ち着いて、白くなった炭。手をかざすとすごい熱気を感じます。
焙煎は手網で。なるべく炭に近づけるようにして、シャカシャカと振って焙煎していきます。
始めはコンロの火でやるように、炭の上でシャカシャカと振っていたら焙煎香が立ってきたので順調かなと思いましたが、そこから中々焙煎が進みません。仕方ないので少しだけ焚き火台の上に置いて放置してみたところ、十数秒ほどでパチパチと音がしてきました。マズいと思って引き上げると、案の定一部だけ焦げた状態になりました。
黒い部分が焚き火台に置いたことで焼けた部分。なんだかたまごボーロみたいですね。
仕方ないので再度シャカシャカ振るスタイルに戻しましたが、これだとやっぱりじれったい。そこで、焦げない程度に上下をひっくり返しながら焚き火台に置くスタイルで焙煎してみることにしました。焚き火台の上に手網を置いて、少ししたらひっくり返してフタ側を下にしてまた置く。たまに左右に振りつつ、それを繰り返していくと、1回目のハゼが始まり、2回目が始まり・・・。順調にコーヒー豆が焙煎されていきました。
焙煎開始から35分ほど経って、ようやく全体的に飲める焙煎具合になったので炭火から下ろします。
炭火で35分ほど焙煎したコーヒー豆。
やっぱりシャカシャカ振りながら焙煎しなかったので、焙煎具合にかなりムラが出てしまいました。コンロで焙煎するより時間がかかっていることも考えると、炭火焙煎、結構難しいかもしれません。
炭火焙煎したコーヒーを楽しむ
コーヒー豆の焙煎が不出来な感じですが、今回はキャンプ。雲ひとつ無い空の下で飲むコーヒーは外ごはん効果で美味さがアップするので問題はありません・・・。めげずにコーヒー豆を挽いていきます。
グラインダーはクラウドファンディングで買ったハリオの電動グラインダーを使います。家では使うことがありませんが、キャンプでは役に立つヤツです。
ギャリギャリと適当な粗さに挽いたら粉をドリッパーに投入します。
後はお湯を注いでドリップするだけ。ケトルはキャンプ用なのでドリップが少しおざなりになってしまいますが、キャンプでの飲み食いってのは大胆くらいがちょうど良いもんです。お湯の温度も量もテキトーに調整して、チョロチョロとドリップすれば、炭火焙煎したて、挽きたて、淹れたてのドリップコーヒーのできあがり。
ドリップしたてのキャンプコーヒー。薪が机代わりです。
味は粗挽き過ぎたか、ちょっと薄かったですがまあ良し。炭火感はあったかというと、正直不明です。そもそもキレイに焙煎できませんでしたからね。しかし炭火でコーヒー豆を焙煎するという目的は達成できたのでとりあえず満足です。
考察・感想
炭火焙煎を少し侮っていました。炭火を扱うのは初めてでは無いので楽にいかないことは分かっていたつもりでしたが、コーヒー豆を焙煎するとここまで焦れったいとは。多分、最初のペースでずーっとシャカシャカやっていれば、いずれはキレイに焙煎できたとは思います。ただ、それには恐らく非常に長い時間焙煎を続ける必要があって、そう考えるとイマイチ実用的な範囲を超えているし、ついででやる、という域も超えてしまっていて、ストレートに言うと炭火で丁寧にコーヒー豆を焙煎するのは面倒くさいと感じてしまいました。
そう思ってしまう理由は、炭火で焙煎したコーヒーが特別美味しいかどうかが未知数である、という点も影響しています。ガス火と炭火でコーヒーの味が格段に違うのであれば、もっと世の中の焙煎屋さんは炭火を使っているべきでは?と考えてしまいますし、炭火焙煎の文句を売り出しているのは自家焙煎コーヒーを飲ませるお店であって、コーヒー豆の販売専門店ではない、という印象があり、つまり真に焙煎を生業にしている人が取り組まないのであれば、なにか誤魔化しのような理由があるのではないか、と勘ぐってしまいます。
もちろん、炭火は単純にコストが掛かるので使われないだけで、本当は炭火でコーヒー豆を焙煎したほうが美味しいのかもしれません。焼き鳥だって炭火のほうが美味しいですし、火という要素だけで見れば、ガス火が炭火を超えることは無いんじゃないかとは思います。もしくは、炭火焙煎だと安定して焙煎するのが難しいから、とか。自分も今回やってみて難しいと思いましたし、ガス火と違ってコントロールが難しい点を考慮すると、メインの手法として利用されないのもうなずけます。
ただそうなるとやはり、炭火焙煎というのは難しくて、上手くやるためには慣れや根気が必要で、普段の焙煎手法としては取り入れにくい、という結論になります。商売としてではなく、趣味として取り組むなら全然良いと思いますが、本気でやった場合に必要な時間など考えると、今の自分には難しそうです。
とまあ、炭火焙煎は時間がかかってしかも難しい、というところから色々想像が膨らみましたが、一つだけ確かなのは、今回の場合はキャンプでコーヒー豆を焙煎して飲む、という体験が重要だったということです。味とか時間とか焙煎の綺麗さとかは度外視して、澄んだ空気の山奥で晴れた日に空の下で炭を焚いてコーヒーを焼いて飲む、それだけで良いと思いました。
・・・なんか締め方的にキャンプメインの話って感じになっちゃいました。もっと何か言いたいことあった気がするのですが、途中から”キャンプはいいぞ”的な話をしたくなって、忘れてしまいました。あ、コーヒーの炭火焙煎、キャンプに行く機会があったらぜひ試してみてください。